2018年9月にハワイ島を訪れました。2006年に初めてここを訪れてから4度目になります。The Big Island of Hawaii と呼ばれるこの島はハワイ州最大の面積をもちますが、その魅力は、地球上に13あるという気候のうち11もの気候帯を持つ島が造り出す多様な自然の素晴らしさです。4回の旅行で訪れたお気に入りスポットについて綴ります。
ハワイ島は、10,432.5 km²の陸地面積を持ち、全ハワイ州の面積の62%を占めます。ハワイ島最大の町が東海岸にあるヒロ(Hiro)で、日系人が作った町と言われています。西海岸には、コナ・コーヒーで有名なカイルア・コナ(Kailua-Kona)があります。ここは、ハワイ島の商業・観光の中心地で、ここから北部にかけての海岸沿いには、大きなリゾートホテルが立ち並び、世界有数のリゾート地として知られています。国際空港もコナとヒロにありますが、日本から直行便(JALとハワイアン航空)が出ているのは、コナ空港ということで、多くの日本人が訪れています。とはいえ、オアフ島のホノルルほどの混雑はありません。
島の中央には、マウナ・ケア(4205m)とマウナ・ロア(4169m)という2つの4000mを超える高山があり、温かく湿った貿易風がこれらにぶつかることによって東海岸のヒロ側では1年を通じて降雨量が多く、西海岸のコナやワイコロア側ではほとんど雨が降りません。この2つの山の存在が、ハワイ島に多彩な気候をもたらし、多様な自然を造り出すことになります。
最近、ハワイ島を有名にしたのが、火山の噴火です。ハワイ諸島の最南東に位置するハワイ島の海底では、未だ火山活動が活発で、この200年の間にしばしば噴火をおこしてきました。現在の噴火の中心は、東側にあるキラウエア火山になりますが、この島を訪れると西海岸も溶岩だらけであることが分かります。すなわち島全体が溶岩でできているといっても差し支えありません。直近では、2018年5月の噴火が大きなニュースになりました。幸いにも人的被害は殆どなかったようですが、多くの建物や道路が溶岩に覆われる大きな被害を出しました。今回訪れた9月には、噴火は沈静化し、溶岩が流れ出す光景は見られませんでした。
ハワイの多様な自然が感じられるスポットを、「山と火山」「グリーン」「ビーチ」「岬(ケープ)」「パワースポット」の5つの観点でお伝えしたいと思います。
ハワイ島の山と火山
マウナ・ケア(Mauna Kea)
まずは、ハワイ島最大の標高を誇るマウナ・ケアです。キラウエア火山と並んで、最も人気のあるスポットです。マウナ・ケアへは、頂上まで車で登ることができますが、レンタカーは保険がききません。舗装されていると言え、暗く細い夜道を延々と登ることになること、更に急な標高変化の為に体調を崩すこともあり、お奨めできません。頂上へは、何社かの現地ツアーが存在しており、大型の4WDミニバンで宿泊しているホテルに迎えに来てくれます。日本語ツアーもあります。2009年と2012年の2回ツアーに参加しました。夕陽を鑑賞するサンセットツアーと朝日を鑑賞するサンライズツアーです。どちらも星空観賞がついています。
サンセットツアーは、昼過ぎに宿泊地のワイコロア出発します。
途中にこんな虹がかかっていました。ハワイ島では、雨が上がった後で、しばしば見る光景です。
途中は、こんな溶岩台地を通ります。
途中、中腹(2,800m)にある施設に立ち寄ります。1986年のスペースシャトルの事故で亡くなったオニヅカさんをの名前がついたオニヅカ・ビジターセンターです。マウナケア山頂に行く時は高山病予防のための高度順応で必ずここで休憩します。
頂上が近くなると、天体望遠鏡群が見えてきます。空気が澄んでいて、外部の光の影響を受けにくいこの場所は、天体観測に絶好の環境で、各国の様々な機関の望遠鏡が設置されています。↓スバル望遠鏡です。
ここの見学ツアーもあります。
徐々に陽が落ちていきます。
向かいの山です。人が登っています。
しばし、美しい夕焼けを眺めることができます。やがて陽が落ちて真っ暗になった満天の星空を見ながらガイドによる星座の説明があります。利用したのは、現地の「マサシのネイチャースクール」というツアーですが、行き帰りの車中や星空観賞で楽しいガイドの話を聞くことができます。お奨めのツアーです。
次に、2012年のサンライズツアーです。こちらは、夜中に出発します。
サンセットツアーと逆で、まず、満天の星空観賞ツアーから始まります。
徐々に、雲海から太陽が顔を見せ始め、どんどん明るくなっていきます。
サンセットツアーとサンライズツアー、どちらもお奨めです。ただサンライズツアーは、夜出発して、朝にホテルに着くので、車中で眠れないと、朝ついてからホテルで眠ることになるので、その日は半日が潰れてしまいます。短い旅行の中で時間を有効に使いたいのであれば、サンセットツアーがおススメです。
お勧め度
キラウエア(Kilauea) 火山国立公園
マウナ・ケアと並んで人気のスポットだと思います。レンタカーでも気軽に行けること、昼間でも楽しめることから、より敷居が低い観光スポットと言えましたが、残念ながら2018年の大噴火により、近づける範囲が限られてしまったようです。
火山国立公園内にあり、以前は、駐車場近くの展望台から火口を見ることができました。ハレマウマ火口と呼ばれる場所で、夜になると赤い溶岩が見られたようです。
下の写真は2009年のものですが、2018年の一連の噴火で様相は一変し、写真の溶岩湖(クレータ)は消滅し、500m以上沈下したようです。2018年にハワイ島を訪れた時には、一帯は全て閉鎖しており、近づくことはできませんでした。
参考までに、下の写真は、2012年当時のものです。
下は、国立公園内にあったジャガー博物館内にある火の女神ペレに関する展示ですが、この博物館も2018年の噴火で閉鎖しているようです。
お勧め度 溶岩が見られれば、満点です。
ちなみに、今回2018年の噴火で最も被害が大きかった地域が、ハワイ島東部のパホア(Pāhoa)東側です。2018年の噴火は、ここのそばにある「レイラニ・エステーツ」の溶岩の流出が発端になっています。
レイラニ・エステートは、2018年9月にヘリコプターで上空から見ることができました。既に噴火は収まっていましたが、溶岩の流れた跡をはっきり見ることができました。
※このヘリツアーに関しては、ご興味ある方は、以下の記事をご覧ください。
https://www.wine-and-cheese.net/entry/2018/10/15/000000
パホアから南に延びる130号線沿いにこじんまりとした美しい教会があります。
「スター・オブ・ザ・シー」と呼ばれている教会で、もともとは、1928年に少し南西に位置するカラパナ(Kalapna)という町に建てられたものでしたが、1998年にカラパナを溶岩が襲った際に土台から切り離して避難させたとのこと。
溶岩の海岸を走る道路が137号線(Kalapana-Kabocha Rd)です。
▼2012年の時の137号線です。道が畝っています。
パホアを頂点とする130号、132号、137号付近は、以前、直近(2018年)の溶岩の爪痕をみることができますが、至る所で道路が閉鎖されているので、現在どこまで行けるのか分かりません。
ここの火山は生きており、日に日に状況は変わっています。訪れる際は、州の観光局のホームページ等を参考にこの辺りへのアプローチの仕方を確認されると良いかと思います。
ハワイ島のグリーン~渓谷・滝
ワイピオ(Waipio)渓谷
山から一転、渓谷です。ハワイ島で最も有名な渓谷がワイピオ渓谷です。
ハワイ文明発祥の地とされるワイピオ渓谷はカメハメハ大王が幼少期を過ごした地と言われており、ハワイアンにとっては神聖な土地です。
2012年、2018年に訪れましたが、いつも雲がかかっており、この地で青空を見たことがありません。
展望台からワイピオ渓谷を望むことはできますが、やはりこの別世界とも言える渓谷内を経験してみることをお奨めします。
レンタカーでこの渓谷に入ることは禁じられており、車で渓谷内を見学するには、ツアー参加が条件になります。渓谷に下りる道路は、極めて急な坂になっており、渓谷内での移動は、川を横切るような場所もあり、ツアーでは4WDの大型バンで渓谷内を移動します。
以下は、2012年のツアーの様子です。
ツアーの待合所になっているギフトショップです。
4WDのバンで渓谷への急坂を下りると目の前に渓谷の深い緑が迫ってきます。
渓谷内では、乗馬ツアーも行われています。渓谷内のいたるところに川が流れており、それを馬や4WD車で渡ることになります。
ここは決して観光地ではなく、古くから人が日常的に暮らしている場所であることが分かります。タロイモの畑やグアバ等の果樹園を見ることができます。まさに自給自足の世界です。
コナやワイコロアのある西海岸のリゾート地とは、全く違います。まさに時代に取り残されたオールド・ハワイを感じさせてくれる地です。雨が多い天候故、いつもこのような感じですが、この気候が、神秘的な深い緑の渓谷を造り出してくれるようです。気軽にレンタカーで行けるスポットではありませんが、ハワイ島の自然を知るには、是非お勧めしたい場所です。
お勧め度
次は、ワイピオ渓谷に近いもうひとつのハワイ島北部の渓谷です。
ポロル(Pololu)渓谷
ハワイ島北部を走る国道270号線の末端にある渓谷です。ワイピオ渓谷同様、展望台までは、車で行くことができます。ただ、ワイピオ渓谷の展望台ほど観光地化していないので、駐車場が小さく、夏のシーズン等はすぐに車を止められないこともあります。
この渓谷へは、車で下りることはできません。徒歩で30分近くかけて、急坂を下りることになります。2009年と今回(2018年)に訪れていますが、今回は、雨の影響で滑りやすくなっており、渓谷に下りることは断念しました。以下は2009年の記録です。
坂道の先にあるのは、砂浜です。ワイピオ渓谷とは全く違います。人が暮らしているのかは分かりませんが、川を挟んだ対岸には、馬が何頭も見られました。野生の馬でしょうか?
ワイピオ渓谷とはスケールは全く違いますが、徒歩とはいえ、渓谷に行くハードルは低いと思います。展望台からの眺めるのも良いですが、時間と少しの体力があれば、渓谷におりてみることをお奨めします。
お勧め度
アカカ滝(Akaka falls)
アカカ滝州立公園にあるアカカ滝は、全長126m、整備された州立公園の展望台から観ることができます。
滝も良いですが、このあたりは植物園のようになっており、日本ではなかなか見ることのできない様々な熱帯雨林の植物を目にすることができます。
▼バナナの樹です。
レインボー滝(Rainbaw falls)
アカカ滝と並んでハワイ島で有名なのが。ヒロ郊外にある、レインボー滝です。
滝つぼに頻繁に虹がてきることが名前の由来のようですが、2012年に訪れた際には、残念虹は全く見えませんでした。
正直、思ったより滝はこじんまりしていましが、滝よりも、付近に根付いている巨大なバニアンツリーの方が、興味をひかれました。
お勧め度
特に観光スポットではありませんが、毎回、19号線をホノカアからヒロに南下する際に通る場所で、緑が非常に印象的な場所があります。
ガイドブックでは、取り上げられていないので、正しいか分かりませんが、ナヌエ橋(Nānue Bridge)という橋のようです。橋の上なので駐車場などはありませんが、近くの路肩に車を止めるスペースがあります。
特に素晴らしいのが、橋から陸側に見えるジャングルです。正直写真では、この迫力は伝わりませんが、実際見る光景は圧巻です。▼
▼海側はこんな風景です。
何も看板はないので、漠然と走っていると見逃してしまいます。この橋から見るジャングルは絶対おすすめです。ただ、19号線のこのあたりは、結構飛ばしている車が多いので、駐車に関しては、十分に注意する必要があります。
ハワイ島のビーチ~白砂と黒砂
溶岩で構成されるハワイ島では、砂浜よりも、ごつごつした溶岩の海岸が多く見られます。下は、2018年の噴火で被害が出た東部の137号線近くの海岸です。
しかし、西海岸には、ワイキキのような白い砂浜があります。
ハプナ・ビーチ(Hapuna Beach)
▼アメリカでNo.1ビーチにも選ばれたことのある、白砂が美しいビーチです。コハラ・コーストの「ウェスティン ハプナ ビーチ リゾート」にあります。
▼こちらは、三日月型の美しいマウナ・ケア・ビーチです。
▼同じカハラ・コーストにあるマウナ・ラニ・ビーチ(Mauna Lani Beach Club)です。ここは、プライベートビーチになります。近くにあるビーチクラブの専用ビーチになりますが、宿泊者でなくても、入ることはできます。だだ、駐車場に車は止められないので、マウナ・ラ二・ベイ・ホテルの駐車場に車を止めて、歩いて行くことになります。さすがにプライベートビーチだけあって、空いています。こじんまりしていますが、お奨めのビーチです
プナウル黒砂海岸(Punalu’u Black Sand Beach)
ハワイの東海岸には、黒い砂の海岸が多く見られます。これは、細かく砕かれた溶岩がが砂のように見えるためです。代表的な海岸が南東部にあるプナウル黒砂海岸です。
この海岸が有名なのは、単に黒砂ということだけではなく、ウミガメが、甲羅干し(昼寝)えいる姿を見ることができるスポットであることです。ただ、100%ウミガメを見ることができるわけではありません。2009、2012、2018年と3度訪れていますが、直近の2018年には残念ながら見ることはできませんでした。
この海岸は、波が高く海水浴には適していませんが、多くの観光客が訪れます。当然ですが、ウミガメに触れることは、絶対にタブーです。
ハワイ島の岬~南端と北端
サウス・ポイント(South Point)/カ ラエ岬
ハワイ島最南端であり、アメリカ合衆国最南端の岬で、断崖絶壁の景勝地です。ハワイ語でカ ラエ岬と呼ばれています。以下、2012年にこの地を訪れた時の記録です。
ワイコロアからは19号線~11号線~サウスポイント・ロードを経て車で2時間以上を要します。レンタカー会社によっては、11号線からここへ向かう道路は保障の対象外になっているようです。基本的には舗装されていますが、見通しは良いものの、道幅は狭く、対向車があると路肩に出る必要があります。
右側には風車が並びます。
フェンス越しの平原には多くの馬が放牧されています。こんなのどかな風景が岬まで続いています。
サウスポイント沿岸は切立つ崖が続いており、崖の上には所々、船を停泊させるための巻き上げ機が設置されています。
観光客以外に釣りを楽しむ人が結構見られます。有名なフィッシングポイントのようです。崖から海にダイビングする光景も見られるようですが、この日は見られませんでした。
岬の先端には灯台がそびえています。絶好のフォトスポットです。
ここは、多少の移動露店が出ている程度で、あとは簡易トイレくらいしか施設はありません。全く観光地していませんが、真っ青な海に向かう壮大な岸壁やここの向かう途中のどことなくノスタルジックな風景は、新しいハワイの魅力を感じさせてくれます。行くまでのハードルは高いですが、再度訪れたいスポットです。ここの近くにグリーン・サンド・ビーチという観光スポットがあります。文字通り緑の砂の海岸です。残念ながら、この時は行けませんでしたが、是非行ってみたいハワイ島観光スポットのひとつです。
お勧め度
ハワイ島最南端のスポットをご紹介しましたが、では、最北端はどこでしょうか?
地図を見る限りでは、おそらくこのウポル岬でないかと 思います。ウポル空港のそばです。今回(2018年)、ワイコロアから行ってみました。
ウポル空港までは、車で普通に行けます。滑走路は1本、セスナが1機止まっています。
人影はありません。ウポロ空港と書かれた看板の横には、怪しげな動物の頭の骨が...。
観光客らしきは、他に一組だけ。空港近くの道路に車を止めて、岬に向かいます。未舗装の道路で、途中結構ぬかるんでいます。4WD車ならまだしも、セダンではダメです。滑走路沿いに歩くこと30分、右手には、サウスポイント同様、風車が並んでいます。
ウポル岬です、何もありません(笑)観光スポットでもなく、ガイドブックにも載っていません。荒々しい岩だらけの海岸に延々と波が打ち砕ける光景が見られます。この地では珍しい台風が接近していた時期で、特に波が高かったようです。
ただ、ハワイっぽいかと言われれば、そんなことはなく、日本でも見られる風景でま、ハワイ島最北端の地に来たという満足感だけでしょうか?...否、よく見ると隣のマウイ島が見えます。
お勧め度 ※壮観な光景を誰もいない場所で独占できます
最後に、ハワイ島を代表するパワースポットです。
ハワイ島のパワースポット
マウナラニ(MAUNA LANI)
ハワイ語で「天国に手が届く丘」を意味するこのマウナラニは、精霊(マナ)が宿る場所と古くから伝えらています。
マウナラニは、フランスの「ルルド」、アリゾナの「セドナ」と並び世界3大パワースポットのひとつと称されています。ハワイ島にある5つの火山に囲まれたほぼ中心に位置し、古代から神聖な場所として崇められてきたこの土地にオーラが見えるといわれる洞窟があります。この洞窟はパワースポットが連なる歴史保存公園の中、マウナラニリゾート内でもっとも強いマナ(神聖な力)を持つといわれている「カラフイプアア・フィッシュポンド」の近くにあります。「カラフイプアア」とは、マウナラニリゾートの地域の古代名で、「フィッシュポンド」は王族に献上するための魚を養殖していた場所です。
少し分りにくいですが、洞窟の入り口です。
太陽の位置にによって、このようなハート形に光が差し込みます。
お勧め度 ※西岸に宿泊すれば、比較的容易に行けるスポットです
以上、ハワイ島の自然を感じられる代表的なスポットをいくつかご紹介しましが、これほど多様な気候、地形、そして火山が造り出す非日常的なダイナミックな光景を一つの島の中で体感できるところは、世界中を探してもなかなか無いと思います。ぜひ訪れて素晴らしい自然に触れてみられることをお奨めします。
<了>