Bon Vin , Bon Sake , Bon Fromage

ブルゴーニュワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒とチーズの出会いを中心に日常を綴ります。

フーリエ2009年ヴィンテージ水平

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フーリエの2009年ヴィンテージ水平です。ここ数年で極端に価格が高騰したドメーヌですが、テースティングレポートに加えて、価格高騰の背景と現状やこのワインが全面的に採用している蝋封キャップについても触れてみたいと思います。

ドメーヌ・フーリエについて

ドメーヌ・フーリエは、ジュヴレ・シャンベルタン村にあるドメーヌで、ジュヴレ・シャンベルタンにクロ・サンジャックやコンブ・オー・モワンヌをはじめとした5つ、シャンボール・ミュジニー、ヴージョ、モレサンドニに各1つ一級畑、更に特級畑のグリオット・シャンベルタンを0.26ha所有しており、リージョナル、村名を含めて8.02haの畑から、特に高い樹齢のブドウから評価の高いワインを生産しています。ドメーヌものは、ほとんどの銘柄がヴィエイユ・ヴィーニュです。更に2013年からは、買いブドウからネゴシアンとしてラインアップを追加しています。

現在の当主、ジャン=マリー・フーリエ氏はアンリ・ジャイエの指導を受けながら父を手伝い、23歳の若さでドメーヌを継いでいます。

フーリエのワイン価格の推移と入手について

もともとヴィエイユ・ヴィ―ニュの比率が高いのに加えて2006年の設備更新によりワインの品質が向上したことで、評価が急速に高まりました。日本では、2007年にリアルワインガイド誌が絶賛したことで人気に火が付き、入手が難しくなりました。特に収穫量の少なかった2010年頃から価格が急騰したにも関わらず、インターネット上では数分で完売する等の異常な状況になりました。

2007年ビンテージでこのワインの良さを知り、2009年ビンテージは、都内の店舗やインターネットを通じて20本以上購入しました。

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写真はすべて2009年ヴィンテージです。2トップのグリオット・シャンベルタンとGCクロ・サン・ジャックも1本ずつですが購入することができました。当時の価格は、村名で6K円、コンボ・オー・ボワンヌでも10K円前半くらいだったと記憶しています。ちなみにグリオット・シャンベルタンは、26K円でした。2010年は生産量が比較的少なかったこともあり、僅かしか入手できませんでした。

正規のインポータは、豊通商事(豊通食料)と八田ですが、実は平行物が存在します。板橋に本社を置く「よしや」という中堅スーパが、直接ドメーヌと交渉して買い付けたものです。現在は分かりませんんが、当時はリファーコンテナが使用できず、ルー・デュモンの仲田さんのところに気温が下がるまで保管してもらったという話を聞きた記憶があります。

2011年ヴィンテージは、この「よしや」で多く購入しており、クロ・サン・ジャックや豊通が未輸入であったGCレ・グーロを含めて、正規品より少し安く入手することができました。その後、この平行物は、一般のワインショップに流れたようで、価格も正規品とあまり変わらなくなりました。

2012年以降は、価格高騰と人気で殆ど入手困難になりました。リアルワインガイド誌はは、フーリエのワインに対して高評価を続けてきましたが、2013年から扱い始めたネゴスものに対して低評価を与え、最近の価格は、品質に見合わなくなったとの理由で掲載を止めました。それが原因か分かりませんが、2トップ以外は価格を気にしなければ入手はそれほど困難ではなくなったようにも思われます。実際、売れ残っているショップ多いようです。

2016年ヴィンテージは、久しぶりに2トップを入手しました。某デパートの抽選販売に当たったものです。あっさり当選したので、やや拍子抜けしました。

今回のワイン

リリース時に購入し、寺田トランクに保管している上記の2009年物から以下の3本をテースティングしました。

 ジュヴレ・シャンベルタン1erCruシェルボード

 ジュブレ・シャンベルタン1erCruコンボ・オー・モワンヌ

 シャンボール・ミュジニー1erCruレ・グリュアンシェール

なお、コラヴァンを最近購入した為、このワインに初めて使用しました。その際の使用記をアップしておりますので、興味のある方は参考にしてください。コラヴァンにはハードルが高いワインを選んでしまいました(笑)

蝋封キャップの扱いについて

蝋で封印したキャップは、ラヴノー、一部のルロワ等の高級ワインだけでなく、マルセル ラピエールやドメーヌ べレーヌ等でも採用されていますが、フーリエは全ラインナップで厚めの赤い蝋キャップが使われています。

蝋封キャップの抜栓方法については、インターネット上でも多くの記事がみられます。大きく分けて通常のキャップシールのように上部をソムリエナイフで剥がしてコルクを露出させて抜栓する方法と蝋キャップの上からコルクスクリューを刺してコルクを持ち上げることで蝋キャップを割る方法です。まず、蝋をキャップシールのように剥がす方法ですが、通常のキャップシール同様上部の口回りにナイフ部分で切れ目を入れた後、さらに縦方向に切れ目を入れて蝋を剥がします。縦の切れ目は、通常のキャップシールは1箇所でよいですが、蝋封の場合は、対角上にも切れ目を入れて2つに分けて取り去った方が良いようです。下の写真をご参考ください。

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この方法、蝋が上手くはがれれば、見た目も綺麗ですが、問題は、蝋キャップと瓶との密着度が高いと簡単に剥がせず手が蝋だらけになることがあります。まさに下の写真の左のケースがそれです。ちなみに通常はここまで蝋を剥がし必要は無いのですが、今回はコラヴァンを使用する都合上、この部分の蝋も剥がしています(理由は、コラヴァンの使用記をご覧ください)

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下の写真は、銀座のミラヴィルインパクト(現在は閉店)にフーリエを持ち込んだ際にシェフがソムリエナイフで綺麗に蝋キャップを剥がしているところです。あまりの手際の良さに感動しました。逆に某リゾートホテルに持ち込んだ際は、ウェイターの方が上手く剥がせず、テーブル上で5分近く悪戦苦闘している姿を呆然と見つめる羽目になりました。いずれにせよソムリエ泣かせの蝋封キャップだと思います。

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ジュベレ・シャンベルタンの1級畑比較

前置きが長くなりましたが、ワインの比較です。

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まず、ジュベリ・シャンベルタンの2つの一級畑です。

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黄色で囲った2つの畑です。ちなみに★印はフーリエが所有するグラン・クリュとプレミアム・クリュです。コンボ・オー・モワンヌは、北部のやや標高の高い位置、シェルボードはグラン・クリュに隣接する素晴らしい場所に位置しています。このように見るとシェルボードの方が恵まれた位置にあるような気がしますが、コンボ・オー・モワンヌの方が、畑としては格上です。

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コラヴァンを使用するとエアレーションが期待できないので、グラスに注いで暫く時間を置きました。どちらも芳醇な香りが漂います。右がコンボ・オー・モワンヌですが、色合いはほぼ同じです。明るいルビーを基調に少し黒系果実の色が混じります。縁にはわずかにオレンジ色も見られます。レッグは中程度で、濃いわけでもなく、薄いわけでもない色調です。ラズベリーやチェリー等の果実、シナモンやグローブ等のスパイスに加え、軽くスワリングすると、腐葉土や紅茶等の熟成香が感じられます。当然ながら2つのワインの香りに共通要素は多いですが、コンボ・オー・モワンヌの方がやや深みのある香り、特に果実香、熟成香ともに奥行が感じられます。シェルボードの方はややスパイシーに感じられます。実は、1週間ほど前にも同じシェルボードの別ボトルを飲んでいますが、スパイス、タンニンがやや強めに感じられました。いずれにせよジュブレ・シャンベルタンのテロワールの特徴である、鉄分を感じることができます。ちなみに翌日にコンボ・オーモワンヌは抜栓して飲みましたが、香りはより芳醇で甘くなり、平成最後の日に飲むのにふさわしい素晴らしいワインでした。

ジュブレ・ジャンベルタンとシャンボール・ミュジニーの1級畑の比較

次にジュブレ・シャンベルタン1erシェルボードとシャンボール・ミュジニー1erレ・グルアンシェールの比較です。

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レ・グルアンシェールはシャンボールミュジにのほぼ中央に位置している1級畑です。

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色調はあまり変わりません。シャンボール・ミュジニーはジュベレ・シャンベルタンにあるスパイシーな香りよりも花や果実を感じさせる甘い香りが優勢のような印象です。味わいにやや酸を感じますが、甘みもありタンニンはまろやかに溶け混んでいる印象です。ジュブレ・シャンベルタンの方は、比較すると細かいながら明確なタンニンを感じます。女性的/男性的と言われる両者のテロワールをまさに表現しています。 

総論

リアルワインガイドの評価が低いネゴスものについては、飲んだことがありません。ドメーヌものについては、裾物や村名を含めあまり外れることはなく好みのワインです。2009年ビンテージについては、やはり良い年であることが感じられます。ただフーリエの2009年については、もう少し熟成させても良いように思います。グリオットとクロ・サン・ジャックについては、いつ・どこで飲むか、じっくりと考えたいと思います。

<了>

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