バッカスのささやき

ワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒との出会いと趣味のブルーベリー栽培を中心に日常を綴ります。

末廣(すえひろ)を唎く

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会津宮泉に続き福島県会津若松の酒蔵「末廣」です。末廣が有名なのは、明治末期に山廃仕込みを考案した嘉義金一郎が指導して、初めて山廃仕込みを実証した蔵のひとつであることです。山廃を含む純米吟醸と珍しい1989年の古酒を味わいます。

 今年3月に会津若松を訪れた際に、会津宮泉とともに訪問した酒蔵です。

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会津若松市内にある嘉永3年(1850年)創業の酒蔵です。ここの木造建築物の嘉永蔵は登録有形文化財に登録されています。

この酒蔵では見学コースが設けられており、蔵の人が酒造りの場を説明してくれます。訪れた日は、夕方であった為、見学コースの最終時間に間に合わず、残念ながら見学することはできませんでした。会津宮泉も、以前は酒蔵見学ができたようですが、最近はできなくなっています。

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山廃仕込みの考案者、嘉義金一郎氏と山廃が説明されいているパネルがありました。

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この酒蔵訪問時に買ってきた日本酒ですが、酒蔵オリジナル商品もありましたが、今回は、定番品の純米吟醸酒2種と蔵の売店見つけた珍しい古酒です。

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純米吟醸 ゆめのかおり

まず、福島県酒造好適米「夢の香」で造られた純米吟醸酒精米歩合不明)です。

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色はクリスタル・シルバー。グレープフルーツ、メロン、白い花、僅かに炊いた米の香り、ミネラル、石灰。果実感が前面に出た典型的な「華やか」な純米吟醸酒ですが、米の旨味も感じます。またアフターに苦みを感じます。日本酒を飲みなれていない人にも好まれる味わいだと思います。

山廃純米吟醸 末廣

やはり末廣といえば山廃です。もちろん純米酒もありますが、今回は山廃の純米吟醸です。

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色は、ほぼクリスタル。一般に生酛、山廃は、1年程度熟成させて出荷することも多いのですが、この山廃純米吟醸の製造は19年2月、つまり出来立ての日本酒です。

こちらは、前出の「ゆめのかおり」に比べると果実感は抑え気味で、より米の香りを感じます。所謂、より日本酒っぽさを感じるお酒です。口に含むと、やや強い酸味を感じます。山廃の特徴を表しています。吟醸香よりも旨味を重視したお酒のようで、冷酒でもいけますが、ぬるめの燗も美味しいと思いました。

夏のつまみは、やはりこれでしょう。

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塩味と旨味のあるハード、セミハードチーズもすごく良く合います。パルミジャーノ・レッジャーノ、アボンダンス、ボーフォール、ボーフォール・エテです。

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最後に、1989年製造、なんと30年物の古酒です。純米吟醸精米歩合50%)の長期醸造酒「流転」1989年です。日本酒の古酒には、常温で熟成させたものと冷蔵で熟成したものがありますが、この古酒は、前者です。同じように常温熟成させた古酒の造り手としては、岐阜の「達磨正宗」が有名です。常温熟成の日本酒は、メイラード反応が進み易く、僅かな期間でも琥珀色になります。メイラード反応とは、アミノ酸と糖が化学反応し、茶褐色のメラノイジンという物質を作りだす化学反応です。これが、独特の香ばしい風味を生み出します。わかりやすいのは、紹興酒の香りです。一方で、冷蔵保存した古酒は、メイラード反応反応が進みにくくなります。時々3年熟成とか5年熟成と書かれているのに、ほとんど色の付いていない古酒を見かけますが、これが冷蔵保存の古酒です。

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 琥珀色。甘露飴とべっこう飴の中間くらいの琥珀色で30年熟成の割には、意外に濃くありません。醤油、紅茶、紹興酒っぽさ、ドライフルーツ、炊いた米の香りも残ってます。ファーストアタックは、意外にも優しい甘みと酸味、メラノイジンの香ばしい風味が広がり、後味には、心地良い苦味を感じます。

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 色々な食材でこの古酒の相性を探ってみます。

①ブルーチーズ(ブルー・ド・ラカイユ)

日本酒に限らず、甘いお酒と塩味や辛みのコントラストは良く合います(逆に辛口のお酒と甘いものは結構な割合でダメ)。ただし、このペアリングは、イマイチです。古酒の甘みが優しすぎて、ブルーチーズの強烈な塩味が飲み込んでしまいます。

②熟成カマンベール(ロイヤル・ファルコン)

賞味期限を2週間くらい過ぎていますが、パスチュリゼ(殺菌乳のカマンベール)なので、強烈なアンモニア臭等の癖はありません。チーズのそれほど強くない塩味と優しい甘みが微妙なコントラストになっています。

③スモークした鴨

鴨を燻した香ばしさと古酒の持つメラノイジンが比較的良く合います。

③牛カルビ

やや油っぽく、香ばしい甘辛の牛肉にやや押され気味ではありますが、相性は悪くないと思います。適度な酸も助けになります。

④エポワス

そして最後は極め付けのエポワスです。ウオッシュ特有のクセのある香りとの相性がポイントになります。ブルーチーズ同様にややチーズが優ってしまいますが、それ程は悪くはありません。欲をいえば、もう少し強い酒躯の方が合うかと思います。

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1週間くらいで飲み終わりましたが、抜栓後に比べ空気に触れたせいか、メイラード反応が進み、より琥珀色が強くなっている気がします。

はやりの果実味強く華やかな純米吟醸純米吟醸ながら、米の旨味を引き出している、山廃の純米吟醸、30年ものの古酒と末廣の色々な純米吟醸のバリュエーションを味わうことができました。

次回訪問時には、今回時間の関係でできなかった蔵見学と蔵でしか購入できない日本酒をじっくり味わってみたいと思います。

(終)

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