8/30~9/8の10日間でフランスのシャンパーニュ地方とブルゴーニュ地方をレンタカーで旅行しました。シャンパーニュ地方については、初めての訪問になります。僅か2泊3日でしたが、シャンパンメゾンが立ち並ぶランスやエペルネの街並み、広大なシャンパーニュのブドウ畑の光景を満喫することができました。
今回の旅行は、当初ディジョンまでTGVで行き、ディジョンでレンタカーを借りて、2度目のブルゴーニュを周るプランを考えていましたが、ディジョンで1泊せざるを得なくなることと、何とかシャンパーニュを訪れたかったことから、シャルル・ド・ゴール(CDG)空港からより近いランスに宿泊して、全行程をレンタカーで周ることにしました。CDG空港~ランス間はTGVも利用可能ですが、ランスからブルゴーニュへの電車は、とてつもなく不便で、パリを経由せざるを得ないためTGVの利用は諦めました。
今回の主行程は、CDG空港→ランス(2泊)→シャブリ(1泊)→ヴェズレイ→ヴォーヌ・ロマネ村(2泊)→ボーヌ(3泊)です。
金曜朝に羽田を発ち、夕方にシャルル・ドゴール空港に到着。直ぐに予約しておいたレンターカーのオフィスに向かいます。今回は、Rentacars.com経由でAVISで借りましたが、長い走行距離を考慮してオートマ車で、念のため予約時にフルプロテクションのオプションを付けました。にも拘わらずAVISのカウンターでフルプロテクションへの加入を勧められました。どうもRentacars.comのフルプロテクションとレンタカー会社のフルプロテクションは別物のようです。ここで、加入してしまうと2重でフルプロテクションを付けてしまうことになるので要注意です。
最初の宿泊は、ランスの駅近くのレジドーム ランス サントル(Residhome Reims Centre)というアパートメントタイプのホテルです。
車での旅行は都市部での駐車場が気になります。フランス都市部は、路駐や公共の駐車場を利用することも多いのですが、ここは専用の駐車場がありました。有料ですが、安心して利用することができます。市の中心部までは15分程度、部屋は、シンプルながらキッチンが付いており、なかなか利便性の高いホテルです。
ホテルへの到着は、既に20時を回っていましたが、ランスの夜の街を少し散策しました。
週末(金曜)夜のランスの街並みです。
8月末の昼はまだ残暑が厳しいですが、夕方はめっきり涼しくなり、オープンテラスでの食事が心地良いようです。
フランスの町には必ず見られるメリーゴーランドです。
初日は疲れていたこともあり、遅くまで空いていた市内のスーパ「カルフール・エクスプレス」にて、軽食とシャンパン(GHマムのハーフボトル)とチーズ、シャウルス(Chaource)とシェーブルのロカマドール(Rocamadour)を買いました。
翌日は、まる一日、ランスとエペルネ周辺のシャンパンメゾンの訪問とシャンパニューのブドウ畑の見学です。この日は、ランス在住日本人現地ガイド(ロコ)の兵藤さんにガイド兼、メゾン訪問時の通訳をお願いします。
メゾン訪問に関しては、別途、投稿していますので、ご興味ある方は、こちらをご覧ください。
https://www.wine-and-cheese.net/entry/2019/09/18/005840
日本でもよく知られているシャンパンの大手生産者のメゾンは、ランスと30kmほど南下した位置にあるエペルネに集中しています。一方で、ブドウ畑のある周辺の村を中心に多数の家族経営のメゾンも存在しています。前者は、多くの畑の所有者からブドウや果汁を買い集め、醸造・瓶詰め・熟成を行なう「ネゴシアン・マニュピラン(NM)」と呼ばれる生産者で、モエ・エ・シャンドン、ヴーヴ・クリコ、ボランジェ、ポメリー等の大手が該当します。家族経営のメゾンは、「レコルタン・マニュピラン(RM)」と呼ばれ自ら畑を所有し、醸造から瓶詰め、熟成という全ての過程を自社で行っている小規模生産者です。ブルゴーニュでいえば、前者がネゴシアン、後者がドメーヌということになります。
▼ランス市内にあるポメリー(Pommery)です。メルヘンチックなお城のようです。
▼ヴーヴ・クリコです。すべてが、イメージカラーの黄色に統一されています。予想通り、内部も洒落ています。
実はこのドメーヌの見学も考えていましたが、当日、VIP(おそらく大手のインポータかと思います)訪問の為に貸切るとのことで、カーヴの見学はできませんでした。
▼エペルネ市内には、シャンパンメゾンがずらりと並んだ「シャンパン通り」があり、何といってもその代表が、ドンペリで有名なモエ・エ・シャンドンです。
こちらは、まるで学校のような(笑)建物です。
以上は、特徴的な外観をもつメゾンですが、大抵は豪華ながらも街の風景に溶け込むシンプルな建物が多いです。ボルドーのような広大な豪華庭園をもつシャトーとも、ブルゴニューの有名ドメーヌとも異なります。
以下は、ランス市内で見かけたシャンパンメゾンです。
▼G.H.マムです。
▼生産者共同組合のジャカールです。
▼高級シャンパンとして有名なクリュッグ(KRUG)のメゾンです。
大手のシャンパンメゾンは、大抵、予約すれば一般人の見学もOKのようですが、サロンや上記のクリュグ等の高級シャンパン生産者は、業者以外は受け入れてくれません。規模も違うので何とも言えませんが、ブルーゴニュー生産者に比べると門戸は広いように思われます。
ランスでテタンジュのメゾンを見学後、エペルネに向かいました。昼食はエペルネのレストランです。
鴨肉には、ヴォレローのロゼシャンパン(ハーフ)を合わせました。
ランスもエペルネも都市なので街の中に畑がある訳ではなく、ブドウ畑は、周辺の村々に広がっています。17あるグランクリュの畑をひととおり回りたかったのですが、流石に1,2日では到底無理なので、モンターニュ・ド・ランスとヴァレ・ド・ラ・マルヌの一部の畑を案内してもらいました。まず、エペルネに近いアイ村の畑です。
▼グランクリュの中でも有名なアイ村の畑です。左奥の建物は、アラヤのメゾンです。
アイ村の畑は、ほとんどが南向きで主に高品質のピノ・ノワールが生産されています。
ランスやエペルネと違いアイ村では、街から畑が見えます。このあたりは、ブルゴーニュの村々と同じです。
ちなみに8月末日に訪れたアイ村では、何かのフェスティバルがあったようで、街の中央部にはカラフルな傘のオブジェが飾られていました。
次に向かったのが、最も景色が素晴らしい場所としてお願いしたオヴィレ村です。
HautVillers(=高い村)の名前が示す通り、高台にある村です。ここは、ドン・ペリニオンの修道院とお墓があることで有名です。
▼左がドン・ペリニヨンのお墓です。
天井には昔の圧搾機で造られたシャンデリア(?)が。
▼こんな感じの家が立ち並ぶとても美しい村です。
▼オヴィレ村の高台から見るブドウ畑です。
眼下の斜面に広大なブドウ畑が広がります。素晴らしい光景です。
大地に目を向けると真っ白い土壌。白亜質石灰岩が広がっていることが分かります。この石灰の土壌が、シャンパンの酸とミネラルを生み出してくれます。
▼モンターニュ・ド・ランス地方は、ピノ・ノワールとシャルドネが植えられていますが、ヴァレ・ド・ラ・マルヌ地方となるオヴィレ村の畑では、シャンパンのもう一つのブドウ品種「ピノ・ムニエ」が見られます。「ムニエ」というのは「粉屋」の意味で、葉の裏が白いのでそう呼ばれています。
▼オヴィレ村周辺の畑の至る所にこのマークが。モエ・エ・シャンドンが契約している畑かと思われます。
オヴィレ村の高台を下りたところに、モエ・エ・シャンドンの醸造所がありました。収穫したブドウを素早く圧搾するため、大手のネゴシアン・マニュピランは、ブドウ畑の傍に醸造所を構えています。
最後にマイィ(Mailly)に立ち寄り、マイィ・グラン・クリュで試飲後、ランスに戻りました。
2日目のランスの夜は、オープンカフェのレストランで夕食です。ロコお奨めのホテルに近いレストラン「L'expérience」です。
▼ホタテ貝(scallop)のリゾットと揚げ物のシェアプレートです。
夕食後、ノートラダム大聖堂のプロジェクションマッピングを見に行きました。
なかなかの迫力ものでした。しかも無料で、広場で普通にみることができます。
翌朝、ノートルダム大聖堂を再び訪れました。
荘厳な外観と共に、内部のステンドグラスは見ごたえあります。
▼シャガール作のステンドグラスです。
ランス最終日の朝は、散歩を兼ねてフジタ礼拝堂に向かいました。市内中央から少し離れたところにありますが、徒歩で十分行けます。
さすがに日曜の朝は、人通りも少なく、昨晩の賑わいが嘘のようです。
こんなトラムが街中を走っています。
30分くらい歩き、GHマム社のメゾンの隣にあるフジタ礼拝堂に到着です。
フジタ礼拝堂は、1913年にパリにやってきた日本人画家の藤田嗣治がG.H.マムの社長であった友人ルネ・ラルーとともに、GH.マム社の敷地内に建てたロマネスク様式の礼拝堂です。
通常は、入場料が必要なようですが、当日は日曜だったせいか、無料で入ることができました。
壁画はフレスコ画で、キリストの生涯や聖母マリアが描かれていますが、ダビンチやミケランジェロも描かれているようです。
広島の惨状をイメージして描いたステンドグラスもあります。
壁画の中には、藤田嗣治本人や君代婦人も登場しています。
以上、駆け足のシャンパーニュ地方の旅行でした。とても2日では、回り切れません。次に訪れることがあれば、是非、エペルネ南部のコート・デ・ブラン地方にも足を延ばしてみたいと思います。
<了>