バッカスのささやき

ワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒との出会いと趣味のブルーベリー栽培を中心に日常を綴ります。

シャンパーニュの旅~シャンパンメゾン訪問

f:id:turque1991:20190916182152j:plain8/30~9/8の10日間でフランスのシャンパーニュ地方とブルゴーニュ地方をレンタカーで周りました。シャンパーニュ地方については、初めてということもあり、ランスを中心とした観光を兼ねての旅行でしたが、シャンパン・メゾンを幾つか訪問することできました。

今回最も訪れたかったのが、家族経営のRM(レコルタン・マニュピュラン:畑を所有し、収穫から醸造・熟成・瓶詰めまでを自ら行うメゾン)のシャンパン・メゾンです。大手のNM(ネゴシアン・マニュピュラン:ブドウや果汁を複数の契約生産者から買い取り、醸造~瓶詰めを自社で行うメゾン)については、見学が観光コースになっており、色々なメディアで目にする機会があるのですが、やはり、畑を所有し、自ら栽培・収穫までを行っているメゾンを訪問して、直接話をする機会を経験をしてみたいという思いがありました。

とはいえ、シャンパーニュ地方の旅行は初めてなので、大手のシャンパンハウスも体感してみたいと思い、大手とNMと家族経営のRM訪問調整を現地ガイド(ロコ)の兵藤さんにお願いしました。第一希望は、思い入れのあるシャンパンメゾンで、NMがシャルル・エドシック、RMがマーク・エブラールでした。シャルル・エドシックは、当初業者以外はNGとのことでしたが、兵藤さんの娘さんがエドシックさんのお子さんと同級生ということで、何とか訪問をお願いして頂きましたが、残念ながら当日は案内する人がいないということで、最終的に、テタンジュを予約していただきました。マーク・エブラールに関しては、アポを取ることができました。

テタンジェ(Taittinger)

テタンジェ社は、ランス市内のサン・二ケーズの丘という場所にあり、同名のサン・二ケーズ修道院(Abbaye Saint Nicaise)に本拠を構えています。

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ここの地下は、ガロ・ロマン時代、石灰岩の石切り場になっていたそうです。その後、この石切り場の巨大な穴は地下セラーとして活用され、その上に修道院が建てられました。修道院自体は、フランス革命で大部分が破壊されていますが、その地下が地下礼拝堂として利用されていたとのこと。そして、現在、テタンジェ社の巨大ワインセラーとして活用されています。

ピエール・テタンジェにより1932年に創業されたテタンジェ社は、2005年にアメリカの投資グループに買収されています。この買収は知っていましたが、いつの間にか買い戻されていたようで、現在は、テタンジェ家が経営しているようです。何百万ものシャンパンを生産している大手にしては珍しい家族経営のようです。

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見学+試飲は、コース化されており、NVのBrut Reserve1杯が付く21€のコースから、プレステージシャンパンのコントとコントのロゼが1杯づつ付く60€のコースまで6つのコースを選ぶことができます。今回は、Brut ReserveとBrut Millesimeが各1杯付くコースを選択しました。

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見学は、10数名のパーティにガイドが1名付き地下カーブ内を英語で案内してくれます。当日の同じパーティは、数人を除き日本人客でした。簡単なメゾン紹介のビデオを見たあと、螺旋階段を20m近く地下に下りていくと、石灰岩のヒンヤリとしたカーブが広がります。

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メゾンの歴史から、シャンパンの製造過程まで、詳しく説明してくれます。
▼ルミュアージュ(動瓶:瓶内二次発酵による滓を瓶の口に集めるため瓶を回転させる)を行うためのピュピトル(瓶を立てる板)が至る所に置かれています。各瓶はコルクでなく王冠で封印されています。滓を集めた後に瓶の口を凍らせて取り除くデゴルジュマン(滓抜き)を行った後にお馴染みのコルク栓がされます。

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動瓶は、通常のワイン造りにはない、シャンパン独特の手間のかかる工程です。これほどの大手では、動瓶は機械で行っていると思っていたのですが、ここは、小規模のメゾン同様、昔ながらの手動で行っているようです。たいへんな数なので相当な手間と思われます。

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▼2007年のコントです。瓶の形状が他と異なります。

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▼ここでサンプルを使って滓の説明をしてくれます。

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▼こんな場所を見るとここがワインセラーとして造られたのではなく、石切り場であったことが分かります。

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20分ほどの見学を終えると地上に戻ります。帰りは螺旋階段でなく、エレベータを利用しました。

綺麗なテースティングバーがあり、ここで試飲を行います。
▼これが、最も高価なテースティングコースのコントとコント・ロゼです。

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選択したコースは、スタンダードキュベのNVのBrutとミレジムBrutでした。ミレジムは、確か2011年だったと思います。NVは、美しい黄金色で豊かで溌溂とした酸と柑橘系の果実味溢れるシャンパンでしたが、ミレジアムはNVとの差は殆ど感じられませんでした。もしかしたらグラスを間違って取ってしまったかもしれません(笑)。f:id:turque1991:20190916215947j:plain

▼テタンジェ・コレクション(コンテンポラリーアートの芸術家によるデザインボトル)がずらりと並んでいます。古代の木樽やアンフォラ(陶器の熟成壺)の展示等もあり、大手のセンスが感じられるメゾンでした。

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マーク・エブラール(Marc Hebrar)

マーク・エブラールは、ここ数年のお気に入りのシャンパンメゾン(RM)で、特にここのロゼを気に入っており、常にセラーに置いてあります。日本では、愛知のウメムラワインセラーさんのみで購入できます。楽天やYahooに出店していますので、インターネットでワインを購入する機会の多い方はご存じかと思います。

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今回は、家族経営のRMを訪問したく、このお気に入りのメゾンを選びました。

マークエブラールは、エペルネに近いマルイユ・シュール・アイ村にあるレコルタン・マニュピュランです。道を挟んで目の前を小川が流れています。マルヌ川と並行する運河でしょうか?ランスやエペルネの街中には見られない長閑な風景です。
隣には、B&B(orシャンブル・ドット)が並んでいます。

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シャンパーニュ地方においては、こじんまりしたメゾンです。

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いかにも家族経営という感じです(住居と考えれば豪華ですが)

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当日は、当主のジャン・ポールさんはおらず、従業員のAnneさんが、対応してくれました。試飲ルームには、ここのシャンパンが取り上げられている神の雫の単行本や、以前に訪れたというワインジャーナリストの山本明彦さんの本が置いてありました。

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生産量は14万ほどで、80%が輸出されているとこと。1997年に跡をついだジャンポールさんが当主で、お父さんとメゾンを切り盛りしているとのこと。17歳になる息子さん(下の写真)が収穫を手伝っており、将来跡を継ぐ熱意ももっているようです。まさに家族経営という感じです。

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今年の収穫は9月11日から(おそらくシャルドネからだと思います)で30人で10日間かけて収穫を行うとのこと。
▼2018年のアッサンブラージュの風景のようです。

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当日試飲させてもらったワインです。

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(左から)

1.Blanc de Blancs 1erCru

12%Ch(Oiry,Chouilly GC),88%Ch(Mareuil-sur-Aÿ) 
2016年瓶詰 ドサージュ7g/l 2015年(60%),2014年,2013年の 混醸

淡いゴールド、溌溂として酸、柑橘系果実、青リンゴ、ミネラル、トースト、ブリオッシュ。ドサージュは7gですが、結構ドライに感じます。

2.Rosé Brut 1erCru 

55%Ch(Mareuil-Sur-Aÿ ),38.5%PN(Mareuil-sur-Aÿ),6.5%Marceilの1年寝かせた?赤ブドウの皮  2016年瓶詰め, ドサージュ6.5g/l

淡いサーモンピンク、ストロベリー、チェリー、ライム、シトラス、ブリオッシュ。
日本で最もよく飲んでいるシャンパンですが、少しいつもの果実味よりもイースト香を強く感じました。

3.Mes Favorites 1erCru

75% PN(Mareuil-sur-Aÿ),25%Ch(Mareuil-sur-Aÿ)
2016年瓶詰 ドサージュ6.5g/l 2014年(60%),2013年,2012年の混醸

柑橘系の香り、ミネラル、トースト(パン)にアーモンドやナッツ香が少し混ざりより複雑性を増していることを感じます。

4.Noces de Craie Grand Cru 2015

100%PN(Aÿ Grand Cru)、ドサージュ5g/l(Extra Brut)

上記シャンパンのピノノワール100%(ブランド・ノワール)です。3に比べて明らかにボリューム感や厚みが出ています。少し重めのシャンパンが好みの人にお奨め?

5.Rive-Gauche-Rive-Droite Grand Cru 2011

50%PN(Aÿ Grand Cru),50%Ch V.V(Oiry-   Chouilly Avize Grand Cru)  ドサージュ4.5g/l(Extra Brut)

このシャンパンが最も興味を引きました。このキュベは、樽を使用しているようですが、他にアッサンブラージュ前の冷却工程を経ていないとのこと。フランス語でこの工程は、「Passage au froid」と呼ばれているようです。アンさんによると、ワインを安定化させる(味を落ち着かせる)為と言っていましたが、酒石を取り除く為の行程と思われます。

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アッサンブラージュの前3日間、写真の装置で―3℃まで冷却するそうです。この工程は、全てのシャンパンメゾンで採用されているわけでなく、生産本数の多い大手では、行われていないようです。赤ワインについては、風味に影響することがあるというのを聞いたことがありますが、白ワインについては、良く分かりません。このキュベに関しては、一般の人にはあまりお勧めしていない(シャンパンを良く分かっている人向け?)とのこと。

テースティングした感想としては、2011年ヴィンテージながら他のキュベに比べ、より酸や果実味を残しているように感じました。

他にスペシャル・クラブ・ミレジム2015がリストにはありましたが、スエーデンから大量オーダが入り、在庫が少ないので販売分しかないとのことでした。

最終的に Noces de Craie Grand Cru 2015、Rive-Gauche-Rive-Droite Grand Cru 2011 とSpecial Club Millesime 2015 1er Cruの3本を購入しました。

リブ・ゴーシュについては、再度、他とじっくり比較してみたいと思います。

マイィ・グラン・クリュ(Mailly Grand Cru)

マイィ村はランスの南5kmほどに位置しており、モンターニュ・ド・ランス地区に含まれます。マイィ社は、1929年にマイィ村に設立されたメゾンで、約70ヘクタールの特級畑から年間50万本のシャンパンを生産しています。

このメゾンは、協同組合による生産、いわゆる、CM(コーペラティヴ・マニピュラン)とよばれる形態をとっています。すなわち、ブドウ農家が大手メーカーではなく組合にブドウを供給し、組合によって瓶詰め生産されます。

マイィ村に入って間もなくのところに、近代的な建物が建っており、ここで試飲を行い、同時に話を聞くことができました。

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加盟している組合員(農家)数は、80にも及び、マイィ全体の25%(多分,生産量)に及ぶとのことです。
今年の収穫は、9月8日からを予定しており、8日間で、140人を投入して、収穫を行うとのこと。 

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▼さて、試飲です。

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左から

1.Extra Brut 2012 Millésime

PN75%,Ch25% ドサージュ2~3g/lの超辛口。
シャープな酸、シトラス、ミネラル、トースト、少しナッツ香、確かにノン・ドサージュに近い辛口ですが、果実のもつ甘さは残しています。写真の女性によると、自分のお気に入り、和食に合うと思うとのこと。

2.Rose de Mailly 

PN90%,Ch10% ドサージュ8g/l
サーモンピンク色、サワーチェリー(スリーズ)、ラズベリー、ブリオッシュ、ナッツやや厚みを感じる酸。

3.Brut Reserve

PN75%,Ch25% ドサージュ10g/L 
黄金色。グレープフルーツやレモンの柑橘系果実味にトースト、イースト香が混ざる。やや多めのドサージュですが、基本的には辛口です。

4.Les Échansons 2008

PN75%,Ch25% ドサージュ8~12g/L

同社のフラッグシップシャンパンで、しかも近年の最優良ヴィンテージです。
やや濃いめの黄金色。ヘーゼルナッツ、トースト、ブリオッシュ、柑橘系果実、バター、前3者に比べるとぐっと複雑性が増します。ノワゼット香を最初に結構感じるので、好みが多少分かれるかもしれません。

1か4を買いたかったのですが、マーク・エブラールで3本も買ってしまったので、今回は我慢です。

このの試飲料は確か本数に依らず5€か10€だったと思います。共同組合のせいか、非常に良心的で、対応も丁寧でした。このメゾンは、ガイドの兵藤さんのお奨めでしたが、この辺りの人達はみんな親切とのこと。

わずか1日のシャンパーニュ見学ということで、通常であれば、大手のメゾンを回って終わりというパタンになるかと思いますが、今回は、大手のNM、家族経営のRM、更に協同組合のCMと3つの異なる形態のメゾンを訪問することでき、色々な意味でその違いを体感することができました。

最後に、メゾン訪問の事前手配から、当日の気配りのガイド・アテンドをして頂きました現地ガイドの兵藤(コシュパン)由理子さんに深く感謝いたします。

(終)