Bon Vin , Bon Sake , Bon Fromage

ブルゴーニュワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒とチーズの出会いを中心に日常を綴ります。

ブルゴーニュの旅~ヴォーヌ・ロマネ村(後編)

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8/30~9/8の10日間でフランスのシャンパーニュ地方とブルゴーニュ地方をレンタカーで旅行しました。ブルゴーニュ地方のヴォーヌ・ロマネ村は、「神に愛される村」と讃えられ、ワイン・ラヴァ―にとっては、憧れの地だと思います。前編では、この村の旅行記を、そして、この後編では、自身の目で見たヴォーヌ・ロマネの銘醸畑について書きたいと思います。

ヴォーヌ・ロマネ村の訪問は、2015年に引き続き2回目になります。前回は、ロマネ・コンティの畑にただただ舞い上がりして、朝夕その周りをひたすら歩きまわっていましたが、今回は、もう少し視野を広げて、ヴォーヌ・ロマネの畑を観察してみました。

ピノ・ノワールという同じ品種のブドウの樹が、同じような仕立てで規則正しく並んだ畑は、一般の人にとっては、全て同じように感じられるかと思います。

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しかし、ブルゴーニュワインの熱狂的な信奉者は、それぞれのワインを生み出す畑のテロワールに注目し、そして生産者に注目します。
広い意味でのテロワールとは、土壌(地質)だけでなく、標高、斜面の方角や日当たりといった様々な育成環境を反映したものであり、その差異が、ワインに個性を与えます。

もともと高価なブルゴーニュワインですが、最近は、需要と供給の関係から高騰の一途をたどっています。そんな状況の中でこそ、好みに合ったお気に入りの1本を如何に効率良く選ぶかという点で、ワインを生みだすブドウが育ったテロワールを知ることは、ヴィンテージや生産者とともに重要なことと思っています。

今回泊まったホテル Les Richebourgは、ニュイ・サン・ジョルジュに近い国道74号線沿いにあります。ということで、特級畑・1級畑を中心に南側からヴォーヌロマネ村とフラジェ・エシェゾー村の畑をご紹介していきたいと思います。

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①クロ・デ・レア Clos des Reas (1erCru)

最も国道に近い1級畑が、クロ・デ・レア(Clos des Reas)です。ホテルから歩いて直ぐのところにあります。

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クロ(Clos)の名前が示すとおり石垣に囲われた畑です。この畑は、ドメーヌ・ミッシェル・グロの単独所有畑(モノポール)です。最近は15K円近くまで騰がってしまいましたが、ミッシェル・グロのワインは、他に比べると値上がり幅が大きくなく、比較的コストパフォーマンスの高いワインなので、よく購入しています。この畑は、地質的により恵まれた1級畑オー・ブリュレに比べ、常に評価は後塵を拝していましたが、樹齢が上がるに従い、評価も高くなっているようです。 

②レ・ショーム Les Chaumes(1erCru)

クロ・デ・レアの北西に位置するレ・ショーム の畑です。比較的地味な1級畑ですが、道を挟んで、ラ・ターシュやマルコンソールの畑があります。地質の関係からか、ボリューム感はそれほどありませんが、繊細でチャーミングなワインを生みだします。
所有者としては、メオ・カミュゼ、フランソワ・ラマルシュ、ロベール・アルヌーやフィリップ・パカレ等が有名で、彼らのラインナップの中では、いつもお買い得な1級キュヴェの存在だったのですが、いつの間にか、2万円近くになってしまっています。

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③ラ・ターシュ La Tache(GrandCru)

ヴォーヌ・ロマネの特級畑の中で一番南に位置するのが、このラ・ターシュ「La Tache」です。

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▼ラ・ターシュの畑の下部を通るラ・ターシュ通り(RUE de la Tache)とグラン・クリュ通り(RUE des GRANDS CRUS)が交差するところです。なんとも豪華な交差点です。

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▼ラ・ターシュ通りから西側の斜面に広がるのがラ・ターシュの畑です。
(反対側の畑が、前述のレ・ショームになります)

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▼十字架(Croix)のモニュメントが目印です。

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ラ・ターシュは、ドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティ(DRC)社の単独所有畑(モノポール)です。
広さは、6.06haでDRC所有の畑の中では比較的大きなは畑で、なだらかな丘陵の上から下にかけて縦長の形状が特徴です。
ラ・ターシュは、もともとは、1.4haほどで、ロマネコンティよりも小さな畑でしたが、西側(すなわち標高の高い方)に隣接するレ・ゴーディショの畑と地質学的に類似していることを1932年にDRCが指摘して、行政に働きかけ、その結果、区分変更により、現在のラ・ターシュになっています。統合されたレ・ゴーディショには、DRC以外の所有者も点在しており、レ・ゴーディショのクリマ名で時々見かけます。しかし、品質的にはラ・ターシュには及びません。
ラ・ターシュの土質は、最上部はプレモー石灰岩、中央部は頁岩状石灰岩、下部は貝殻堆積泥岩と3つの土壌に分かれていることが分かっています。DRCの畑は、この全てに属していますので、それらをブレンドして複雑なワインが生みだせるのがラ・ターシュがしばしばロマネ・コンティ並みの評価を得ている理由と言われています。レ・ゴーショが、ラ・ターシュの品質を超えられないのは、造り手の力量もあるかもしてませんが、このブレンドの妙もあるのかと思います。

▼丘の上からみたラ・ターシュです(左端は、グラン・リュ)。なだらかな斜面であることが、良く分かります。

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▼2018年11月に飲んだDRCラ・ターシュ[2005]です。濃密・芳醇・芳香・甘露、そして複雑と、あらゆる賛辞に値する素晴らしいパーフェクトワインでした。

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④レ・ゴーディショ Les Gaudichots(1erCru)

レ・ゴーディショの畑は、1932年にDRCの申し入れでラ・ターシュに組み込まれた区域の以外のところにラ・ターシュを囲むように3箇所に点在した形で存在しています。一つはラ・ターシュの最上部、もう一つはオー・マルコンソールとラ・ターシュの中腹で、もう一つは下部にあるグラン・クリュのラ・グランド・リュにくいこんでいる土地です(おそらく下の写真の右付近だと思います)。トータルで僅か1.028haの希少な畑で、公表されている所有者は、マーシャル・ド・グラモン、DRC、ティエリー・ヴィゴ・バトー、フォレ・ペール・エ・フィスの4社です。最近はあまり見かけませんが、ネゴシアンの二コラ・ポテルが、レ・ゴーディショを出しています。これはDRCから買ったブドウのようです。

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未だ飲んではいませんが、2017年のドメーヌ・マーシャル・ド・グラモンは購入することができました。ラ・ターシュほど、長熟ではないので、あまり待たずに飲もうかと思っています。

⑤レ・マルコンソール Les Marconsorts(1erCru)

ラ・ターシュの南に隣接する1級畑マルコンソール(Les Marconsorts)です。
5.86haほどの畑に多くの所有者が存在しています。特にシルヴァン・カティアール、フランソワ・ラマルシュ、デュジャック、モンティーユ、アラン・ユドロ・ノエラ等が評価の高い生産者でしょうか?

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▼ドメーヌ・デュ・クロ・フランタン(現在アルベール・ビショの傘下)の畑。マルコンソール最大の所有者です。

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↓2005年のレ・マルコンソールの比較です。
https://www.wine-and-cheese.net/entry/2019/05/10/124144

シルヴァン・カティアールのレ・マルコンソールが突出していました。

 ⑥ラ・グラン・リュ La Grand Rue(GrandCru)

ドメーヌ・フランソワ・ラマルシュの単独所有畑(モノポール)です。ラ・ターシュと(道を挟んで)ロマネ・コンティと隣接するこの畑は、地質学上もグラン・クリュに相応しいクリマですが、当初の当主であるアンリ・ラマルシュが、高額な税金や費用を恐れ、グランクリュに格付けされるのを拒否していたと伝えられています。1991年に1級から特級に昇格しています。ラ・ターシュと同様に縦長の畑で、上部では褐色の石灰岩の浅い表土で、下部ではより深くなる土質で、エレガントでありながら、比較的力強いワインを生みだします。

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▼上部から見るグラン・リュ(左側)です。右は、ラ・ターシュの畑です。

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ロマネ・コンティ La Romanée-conti (GrandCru)

言わずと知れた最も高価なワインを生み出す珠玉のクリマです。Contiは、18世紀仏ブルボン朝のコンティ公(prince de Conti) に由来します。コンティ公ルイ・フランソワ1世は、国王ルイ15世の愛人ポンパドゥール夫人との争奪戦の末、1760年にこの畑を手に入れています。 
東および南東に面した水はけのよい斜面。岩石と泥灰土の基盤に鉄分の多い石灰岩の土壌で、海抜約240メートルの地にブドウの木が植えられています。ブドウの木の平均樹齢は非常に高く約55年で、有機栽培で育てられています。 

▼畑の前の十字架が、目印です。右側は隣接するのは、リシュブールの畑です。

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ここは、大きなバスは近づけませんが、昼間は、小型のバンや自家用車が時々止まって観光客がガイドの話に耳を傾けている風景を見かけます。
▼車が向かいの畑の前に止まっているのを時々見かけます。駐車場の前の畑のようになってますが、このちょっと可哀そうな畑、ロマネ・サン・ヴィヴァンのルイ・ラトゥールが所有する区間のようです。

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最初にここを訪れた時に驚いたのは、これだけ重要な畑にもかかわらず、警備する人もいなければ、監視カメラもないことです。ロマネ・コンティの畑は、一応低い石垣に囲われており、こんな警告の掲示もありますが、畑に入ろうと思えば入れてしまうのでは?という余計な心配をしてしまいます。

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今では1本200万円近くするワインですが、ガイドの川﨑さん曰く、「決してこのブドウそのものに価値がある訳ではなく、このブドウがDRCによって収穫され、醸造され、熟成され、瓶詰めされ、最後にロマネ・コンティのラベルが貼られて、はじめて、その価格に値するワインなる」。
確かに日本でも収穫直前の高級ブドウが盗難にあったといった話を聞きますが、そのまま市場に出せる生食のブドウだからですね。

▼前にご紹介したグラン・リュとは、車も通れる道路一本挟んではいますが、標高的にもほぼ同じところに位置しています。

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以前、訪れた時には、気がつかなかったのですが、この道路を挟んで存在する2つの特急畑のブドウを見ると大きな差があることが分かります。訪れたのは、9月1週目で、収穫間近な時期です。
▼グラン・リュの畑の葡萄の木には、健康そうな多くの房が見られます。

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▼しかし、道路を挟んで同じ位の位置にあるロマネ・コンティの木には、あまりブドウの房は多くなく、実も小さめです。

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中には未だ熟していない青い房も見られます。ミランタージュでしょうか?

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残念ながら未だ飲んだことはないので、ワインの特徴については控えます。何より、飲まれることより、語られることの方が多いワインのようです。

⑧ラ・ロマネ La Romanée (GrandCru)

ロマネ・コンティの上部(西側)に隣接するドメーヌ・デュ・コント・リジェ・ベレールの単独所有畑(モノポール)で、僅か0.85ヘクタールの面積から最大4000本のワインが生産されます。

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リジェ・ベレール家はナポレオン帝政期に活躍したルイ・リジェ・ベレール将軍を先祖にもつ貴族(コントは伯爵の意味)です。ナポレオンがワーテルローで敗れ、セント・ヘレナ島に幽閉された1815年、同家はヴォーヌ・ロマネ村のシャトー・ド・ヴォーヌを手に入れ、ここを本拠と定めています。1827年に「ラ・ロマネ」として登記し、今日まで単独所有が続いています。

表土が粘土石灰質、下層土がプレモー石灰岩という土壌構成は、ロマネ・コンティと同じようですが、やや斜度がきつくなっていることが分かります。

ここのワインも飲んだことが無いので語れませんが、ロマネ・コンティに比べると複雑性に欠けるという評価を見かけます。個人的なイメージとしては、長らく畑を管理していたボーヌのネゴシアン、ブシャールのイメージが強く、(偏見かも知れませんが)どうしても低く見ていましたが、最近は、ロマネ・コンティとほぼ同じ評価を得ているヴィンテージもあり、価格も30万円を超えているようです。何よりも、価格以前に入手が難しいワインになっています。

⑨レ・レーニョ Les Reigniots(1erCru)

ラ・ロマネの更に上部(西側)に位置する1級畑ヴォーヌ・ロマネ・レ・レーニョです。

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f:id:turque1991:20190927172554j:plainリジェ・ベレール、アルヌー・ラショー、オーディフレッド、ドミニク・ローラン(正確には従業員の親族が所有しているらしい)などが所有していますが、生産量が限られるのに加えて、流石にこのロケーションということで、リリースされるとあっという間に売り切れてしまいます。4年前にこの畑を見て興味が湧き、オーディフレッドとドミニク・ローランのいくつかビンテージを購入しています。熟成を待って、飲んでみたいと思います。

⑩プティ・モン Les Petits Monts(1erCru)

▼オー・レーニョの北側に隣接しますが、これは、北側から撮影したものです。

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ロベール・シュルグ、フランソワ(現ベルト―)・ジェルべ、モンジャール・ミュニレ等が代表的な所有者です。シュルグやジェルべは、価格も比較的手頃だったので何度か飲みましたが、ヴォーヌ・ロマネの華やかな香りが感じられる好みのワインです。よく考えると、この畑、北をクロ・パラトゥ、西をリシュブールと接しています。ある意味凄い位置にあります。

⑪オー・シャン・ペルドリ Aux Champ Perdrix(Village)

ラ・ターシュの上部(西側)にあります。といっても舗装路を挟んでる上に一段と盛り上がったところにある為、ラ・ターシュに隣接しているというようにはあまり感じられません。

▼ラ・ターシュは、左の塀の少し下、オー・シャン・ペルドリは、右の土手の上にあります。地図上で見ると、見るとオー・レーニョとラ・ロマネの関係と同じように見えますが、現地で見ると距離も標高差もあり、かなり違うことが分かります。

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▼石垣を登ると、畑の全貌が見えます。雑草が結構多く、畑の周りはあまり手入れされていないようにように見えます。

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▼かなり上部にある畑という感じです。ちょうど夕方で西に陽が落ちるところですが、ラ・ターシュの下半分は未だ陽を浴びていますが、ここは、既に日陰になっています。

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DRCの醸造にかかわったオーディフレッドやライヤール(ヴォーヌ・ロマネ村名にブレンド)が所有しています。オーディフレッドは何回か飲みましたが、正直、あまり印象に残っていません。4年前もこの畑を目にしていますが、あまりにも高台にある、陽が落ちるのが早い、雑草が多い、表土が結構薄い(ように見える)といった、あまり良くないイメージを持ってしまっているかもしれません(あくまで個人的な感想です)

⑫ロマネ・サン・ヴィヴァン Romanée-Saint-Vivant(GrandCru)

ヴォーヌ・ロマネ村の中で最大の面積(8.45ha)をもつのが、ロマネ・サン・ヴィヴァンです。

ロマネ・コンティと道路を挟んだ東側の畑(ルイ・ラトゥールの所有?)です。

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ロマネ・サン・ヴィヴァンは、11の生産者が所有していますが、最大の所有者は、DRCです。この特級畑は、国道74号線沿いまでに及ぶクロ・ヴージョを除くと標高の低い位置にあります。

下部の畑は、村の住宅地と接しています。上部の下層土は、ロマネ・コンティ同様ウミユリ石灰岩、下部は粘土泥灰になります。

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▼評価の高いロベルト・アルヌーの畑は、結構下部にあります。

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⑬リシュブール Richebourg(GrandCru)

「金持ちの(豊かな)町」の意味をもつリシュブールは、標高260m~280mに位置しています。粘土質の表土(80cm)の下の母岩はロマネ・コンティと同じバトニアンのプレモー石灰岩です。

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元々のレ・リシュブール Les Richoubourgs(5.05ha)と格付け時に加わったレ・ヴェロワイユ・オー・リシュブールLes Verroilles ou Richebeourgs(2.98ha)をあわせた面積8.03haはロマネ・サン・ヴィヴァンほどではありませんが、比較的大きなグラン・クリュと言えます。実際ここを歩いてみるとその大きさを実感します。最大の所有者は、↓DRCで、3.51haと全体の44%を所有しています。

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ロマネコンティとは、地続きの北隣、ロマネ・サン・ヴィヴァンとは道路を挟んで、西隣になります。

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左側がロマネ・コンティ、右側がリシュブールの畑

南北に長いリシュブールの中央を斜めに道が走っています(下記の青い道)。通り抜けできませんが。ここのどん詰まりの直ぐ近くに銘醸1級畑のクロ・パラトゥがあります。今回は、そこまで辿りつきたく、この道をひたすら歩きました。f:id:turque1991:20191005010353j:plain

▼これが、斜め右上に向かっている道です。

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▼この写真の右端の少し高い樹があるところの近くがクロ・パラントゥになります。 

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▼ここは、この道路の終点位置にある畑で、ドメーヌ・アンヌ・グロが所有している畑と思われます。近くにルロワの区画もあります。

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▼1級畑のレ・スショに面する道路を歩いていた際に。ブドウが全く植えられていないリシュブール(レ・ヴェロワイユ・オー・リシュブール)の畑を見つけました。DRCの所有区画と思われますが、理由は分かりません。休耕地なのでしょうか?

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⑭クロ・パラントゥ Cros Parantoux(1erCru)

さて、クロ・パラントゥです。今回どうしてもこの目で見たかった畑です。クロ・パラントゥは、もともと「ブルゴーニュの神様」と呼ばれたアンリー・ジャイエが開墾した畑です。「クロ」の名前から、てっきり石垣で囲われた畑と思っていましたが、よく見るとClosではなくCrosです。調べてみると、「空き地」の方言、石灰を意味するCrais、窪みを意味するCreuxといったように様々な語源説があるようです。

神の雫にも登場するこの僅か1haほどの畑は、アンリ・ジャイエの死後、愛弟子のメオ・カミュゼと甥のエマニュエル・ルジェに3:1の割合で引き継がれました。特にエマニュエル・ルジェの造るクロ・パラントゥは評価が高く、特にリアルワインガイド誌が絶賛した2014年ヴィンテージ以降、価格が急騰しており、今や多くの特級を凌ぐほどの値が付けられています。土壌母岩は石灰岩ですが、標高がやや高いため少し冷涼な気候になると思われます。

畑の位置は、分かりにくく、地図と見比べて探しましたが、このあたりのようです。右手に少し先が丸い樹が見れますが、この東側に広がっているようです。

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▼オー・ブリュレの畑から観たクロ・パラントゥです。

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 エマニュエル・ルジェのクロ・パラントゥは、最近2014年と2016年を清水の舞台から飛び降りる思いで購入しました。正規の小売価格は、10万円台半ばのようですが、現在は、プレミアム価格になっており30万とか40万とかで見かけます。
当然ながら未だ飲んでいませんが、今回訪れたシャンボール・ミュジニーのレストランで、ルジェの2015年のコート・デ・ニュイ・ヴィラージュとニュイ・サンジョルジュを飲むことができました。どちらも、華やかな香りに豊かな果実味、甘く滑らかなタンニンを感じる素晴らしいワインで、このフラッグシップワインは、大きな期待が持てます。

⑮レ・ボーモン Les Beaux-Monts(1erCru)

「美しい丘」の意味を持つレ・ボーモンです。ヴォーヌ・ロマネ北部の標高の高い位置にあり、南東向きの斜面は、この写真からも分かるように結構、急です。場所的に、ヴォーヌ・ロマネの中でも少し冷涼な気候と思われます。

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エマニュエル・ルジェ、デュジャック、ルロワ、ジャン・グリヴォ、ラショー等錚々たるドメーヌが所有しています。華やかな香りと果実味にややスパイシーさを兼ね備えたワインを産し、お気に入りの畑のひとつです。ドメーヌものは、それなりに高価ですが、ドミニク・ローラン等のネゴス物は、比較的入手しやすく、しばしば飲みます。最近飲んだ中では、ジャン・グリヴォの2009年ヴィンテージが素晴らしいレ・ボーモンだったと記憶しています。

⑯レ・スショ Les Suchots(1erCru)

ロマネ・サンヴィヴァンの北、13haもの面積を持つ大きな1級畑で、多くの生産者が所有しています。道路を挟んだ下側(東側)に大きく広がる畑は、ほぼ平坦に見えます。上記のレ・ボーマンとは対照的です。20もの所有者が存在します。エシェゾーに近い区画が高く評価されています。

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生産者の多さ故、品質にばらつきがあり、時に低く評価されることもあるスショですが、造り手によっては、しばしば特級も凌ぐような素晴らしいワインに出会うことがあります。最近飲んだ中では、2005年のプリューレ・ロックのレ・スショが素晴らしいワインでした。

⑰ラ・クロ・ラモー La Croix Rameau (1erCru)

所有者はフランソワ・ラマルシュ(0.21ha)、ジャック・カシュー(0.17ha)、クドレ・ビゾ(0.202ha)の3社のみで、1930年にこの内の一人の反対で特級畑の地位を得ませんでした。グラン・リュ―同様、ラマルシュが税金の関係で反対したのではないかと思います(確かではありません)。その後の格上げ申請時は村の他の生産者たちによる反対で認められなかったという経緯があり、「特級畑に最も近い一級畑」や「悲運の一級畑」と言われています。
ヴォーヌ・ロマネ村には、5つの十字架(Croix)があります。有名なロマネ・コンティもそのうちのひとつですが、このラ・クロワ・ラモーにある十字架が最も古いものになります。

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ラ・クロワ・ラモーの畑名の由来は、この十字架と、ここを以前所有していた栽培家の名前Rameauにちなんでいるようです。

実際に見たところ、ここは、ロマネ・サンヴィヴァンの最下部に、あたかもその一角を切り取ったような感じの畑です。標高が最も低いとは言え、隣り合っている畑はルロワのロマネ・サンヴィヴァンの区画です。ちなみに道を挟んで隣には墓地があります。

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⑱クロ・デュ・シャトー Clos du Chateau (Village )

ドメーヌ・デュ・コント・リジェ・ベレールの村名単独所有畑(モノポール)クロ・デュ・シャトーです。街中にありますが、Closの文字通り、石垣の塀に囲われています。なぜか、ブルゴーニュの畑の地図には名前が記されていません。

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このワインは、残念ながら飲んだことがありません。

最後に、フラジェ・エシェゾー村の有名な2つのグランクリュ畑です。

⑲エシェゾー Echezaux(GrandCru)

コート・ド・ニュイの中ではクロ・ヴージョに次ぐ大きな畑で37.69haの面積をもちます。畑は、標高約230~300mの場所に位置し、丘の上から谷間にかけての急斜面になっています(中腹で13%の傾斜)。
小石、泥土、黄色の泥灰土などの地質になりますが、もともとは、11のリュ―・ディ(小区画)に分かれていたものが、1937年のAOC制定時に統合しているため、ここのテロワールはモザイク模様のように複雑で、品質にもばらつきがある所以になっています。

  ▼最も評価の高いリュ―・ディである「エシェゾー・デュ・ドシュ(du Dessus)」の畑です。

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 エシェゾーは、計84もの生産者が所有しています。DRCをはじめ、モンジャール・ミュニュレ、エマニュエル・ルジェ、ジャック・カシュー、フェヴレイ、アンヌ・グロ、ジャン・グリヴォ―、デュジャック、ダヴィド・デュパン、メオ・カミュゼ、セシル・トランブレー等々多くの有名ドメーヌが名を連ねます。

南側のヴォーヌ・ロマネのワインに比べるとややタニックでスパイシーなものにあたる確率が高いように感じています。ここは、エシェゾーという銘柄ではなく、むしろ生産者で選んだ方が良いかと思います。
最近飲んだ中では、美味しく感じたのは、意外にも(失礼!)2010年のフェヴレイでした。濃いワイン系の生産者のエシェゾーはあまり口に合いません。例えばジャック・カシューやグロ・フェレ・エ・スール(現在はエレガントになったと聞きます)などです。

⑳グラン・エシュゾー Grands Echezeaux(GrandCru)

エシェゾーの東側に位置しており、道路を挟んで、クロ・ヴージョに接しています。
エシェゾーと違いは、単一のリュ―・ディで、土壌は均質です。薄い土壌で、水捌けの良い粘土層がのっており酸化鉄を多く含んでいる特徴を持ちます。この為、エシェゾーと比べると、やや大柄で骨格がしっかりしたスタイルになります。

22の所有者を9.14haの畑を分割所有しています。 DRCを筆頭に、モンジャール・ミュニュレ、ジョセフ・ドルーアン、フランソワ・ラマルシュなどが代表的な所有者でしょうか?

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▼ジョセフ・ドルーアンの区画です。 

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以上、長々とヴォーヌ・ロマネ村とフラジェ・エシェゾー村のブドウ畑をご紹介しましたが、この地を訪れることがあれば、参考にして頂ければ幸いです。

<了>