バッカスのささやき

ワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒との出会いと趣味のブルーベリー栽培を中心に日常を綴ります。

菊姫「鶴乃里」8年熟成酒を唎く

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根強いファンも多い加賀菊酒の伝統を受け継ぐ「菊姫」の山廃純米酒「鶴の里」の古酒を味わいました。2011年醸造(8年物)と2016年熟成(3年物)の古酒です。芳醇で長期熟成により旨味を増した菊姫は、ディープな日本酒ファンにとっては、たまらない逸品だと思います。

 「日本酒のロマネ・コンティ」と称している日本酒に深い造詣を持ったソムリエを知っています。ちょっとオーバーな気がしないでもないですが、好きな人にとっては、この菊姫には思い入れがあるのではないでしょうか?
吟醸大吟醸も良いですが、やはりこの日本酒は、山廃仕込み純米酒だと思います。価格も手頃で、同じ石川県白山市の天狗の舞とともに代表的な山廃純米酒だと思います。酒名の「鶴乃里」は、菊姫のある白山市の旧地名である鶴来町をイメージして命名されています。

原料米には、兵庫県吉川町特A地区産の特上クラスの山田錦を全量に用いて、純米らしい旨みを追求するため精米はあえて65%に留め、麹蓋で丁寧に仕上げられた麹と山廃酒母を使用し、総米1t仕込みの「超吟」レベルでキメ細かな管理の下、丁寧に醸し上げています(同社HPより引用)

なお、菊姫の白山は、H29に国内初の地理的表示(GI:Geographical Indication)の適用がスタートしています。

今回の鶴乃里は、旅行先の伊東市の酒屋で購入しました。ここでは、以前にも鶴の里を購入していますが、今回は、2011年すなわち8年物の古酒があったので、2016年(3年物)と合わせて購入しました。ラベルの色が違いますが、鶴乃里のラベルは赤・黒・青の3種類があり、年ごとに色が変わります。

▼2011年は黒、2016年は赤です。

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▼この純米酒は、醸造から1年置いて出荷されています。

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▼2011年の8年物は、瓶底に滓が溜まっています。少し瓶を揺らすと瓶中に舞います。2016年に関しては、このような滓はみられまん。

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色ですが、確かに2011年は薄い茶褐色を帯びていますが、5年新しい2016年についても更に薄いですが、この色があらわれています。

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一般に日本酒の古酒には、短期間の褐色や琥珀色に変化するタイプと色の変化が少ないタイプの2種類があります。前者は、米をあまり磨いていない(低精米)日本酒、後者は、米を多く磨いている(高精米)日本酒です。日本酒を茶喝色に変化させるのが、ブドウ糖アミノ酸のメイラード反応です。この反応によってメイノイジンと呼ばれる茶褐色の物質が生成されます。低精米の日本酒の方がブドウ糖アミノ酸が多く含まれることからメイラード反応が進みやすくなります。

この精米歩合以上に大きな要素が、熟成温度です。メイラード反応は、温度が低いと進みが遅くなります。したがって、ある程度精米度合いが高く、冷蔵保存した日本酒は、10年ものでも琥珀色までにはなりません。

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まず、2016年(3年物)から

薄い黄色~淡い茶褐色、炊いた米のふくよかな香り、サワークリーム、少しカラメルやナッツ・甘いバター、椎茸、紅茶のニュアンス、比較的はっきりしているが丸い酸、とろみを感じるほどの芳醇な旨味。余韻に僅かに苦みをともなう。

続いて2011年(8年物)です

薄い茶褐色だが、そこが見えなくなるような色ではない。炊いた米、醤油、椎茸、紅茶、香りはより複雑になり、キノコやナッツ類のニュアンスが強くなる。とろみを伴う旨味も強くなるとともに酸はよりやさしい感じる。熟成が進んだ古酒特有の紹興酒的な香りはそれほど感じられない。

いつものようにチーズとの相性、さらにつまみにイカの口(「めぼう」とか「とんび」とも呼ばれています)です。

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パルミジャーノ・レッジャーノ24か月(左上)

24ヶ月以上のものは旨味成分がより強くなります。このチーズのアミノ酸起因の旨味と熟成日本酒の旨味が上手くマッチします。

サンジェルマン(中上)

フランスの工場製(殺菌乳)ウォッシュチーズです。このウォッシュチーズ、すごくマイルドです(ピエ・ダングロワよりマイルドです)。塩味も弱く、ウォッシュ特有の匂いも殆どありません。熟成古酒に合うかと思いましたが、意外にも日本酒の方の主張に負けてしまいます。

ブエナルバ ヴィーノ(左下)

赤ワイン(センシベル)に漬け込んだスペインの羊乳チーズです。ワインっぽい香りはあまりしませんが、タンニン起因なのか、僅かに苦みを感じます。ミルキーな羊乳チーズと山廃特有のサワークリームっぽさが合うかと思いましたが、ワインが邪魔してか?それほどでもありません。

フルム・ダンベール ヴァンモワール・ロドルフ(中下)

甘口ワインを漬け込んだフルム・ダンベールです。予想通り、チーズの個性が強すぎて合いません。

翌日、我が家定番のボーフォールと合わせました。

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このボーフォール、エテでもダルパージュでもない普通のボーフォールなので、旨味は、それほど強くなく、少し苦みを感じます。ボーフォールは、過去何度も様々な日本酒やワインに合わせていますが、どのようなタイプでも比較的良く合います。

ただ、ベストマッチとしては、24ヶ月熟成のパルミジャン・レッジャーノでしょうか?

秋~冬に飲むには最高の日本酒です。今回冷やしましたが、和食に合わせるのであれば、常温やぬる燗の方が良いかもしれません。おそらくこの日本酒のもつ旨味がより引き出されるのではないかと思われます。

(終)