8/30~9/8の10日間でフランスのシャンパーニュ地方とブルゴーニュ地方をレンタカーで旅行しました。今回の旅のラストは、コート・ド・ボーヌ地方です。ボーヌ市内に3泊して4年前に続き2度目のコート・ド・ボーヌを楽しみました。
今回は、ボーヌを少し長く楽しみたく、コート・ド・ニュイ地方のヴォーヌ・ロマネ村2泊、ボーヌ市内に3泊しました。しかし、移動にレンタカーを利用した為、車で30分程の距離にある両方を行き来した結果、結局は、コート・ド・ニュイで過ごす時間の方が長めになってしました。
限られた時間の中で、ボーヌ市内の観光は最小限として、畑の見学とドメーヌ訪問を愉しみました。
ボーヌ市内の最大の観光名所といえば、ホスピス・ド・ボーヌですが、今回は省略です(自由に入れるショップだけは行きました)
▼2015年に訪れたホスピス・ド・ボーヌです。
↓ホスピス・ド・ボーヌについては、こちらで少し触れています。
https://www.wine-and-cheese.net/entry/2019/08/04/233116
今回のボーヌの宿泊は、メディチス ホーム ボーヌ(MEDICIS HOME BEAUNE)というアパートメントスタイルの3つ星ホテルです。
ボーヌ市中心からから1~2km、徒歩15~20分ほどかかりますが、大きな敷地の中に駐車場も完備されており、車での旅行や長期滞在に向いたホテルのようです。ボーヌ最大のスーパーCarrefourにも車で5分で行くことができます。
▼アパートメントスタイルの広く明るい部屋です。唯一残念なのは、バスタブが無いことです。
▼テラスからは、畑が見渡せますが、西向きのようで、西日が少々きついです。
▼畑の上を気球が飛んでいました(テラスからの撮影です)
▼ボーヌの街中です。コート・ドール県の中では、ディジョン(人口15万人)についで大きな街になりますが、人口は2.2万人ほどです。
▼前回宿泊した4つ星ホテルLe Cepです。ここには、ロワゾー デ ヴィーニュLoiseau des Vignesというミュシュランの1つ星レストランがあります。4年前は、ディナーはとても無理なので、ここでランチを取りました。グラスワインの充実が結構すごかったことを覚えています。
今回は、街歩きや観光を最小限にし、ドメーヌ訪問と畑ウォッチに徹しました。
ボーヌ地区で訪問したドメーヌは、以下のドメーヌになります。
▼ドメーヌ・アンヌ・フランソワーズ・グロ(ポマール)
▼ドメーヌ・コント・スナ―ル(アロース・コルトン)
▼ジョセフ・ドルーアン(ボーヌ)
▼ルイ・ジャド(ボーヌ)
ジョセフ・ドルーアンとルイ・ジャドは、ネゴシアンとしても有名ですが、自社畑を結構持っておりドメーヌでもあります。
ちなみに、前回訪問時は、以下のドメーヌを訪問しました。
▼シャトー・ド・ムルソー
▼シャトー・ド・シャサーニュ・モンラッシェ
▼ピエール・アンドレ
それと、コント・スナ―ルでした。すなわちコント・スナ―ルについては2度目の訪問になります。
ドメーヌの訪問記については、別途書きたいと思います。
上記の中でカーブ見学が充実しているのが、シャトー・ド・ムルソーとジョセフ・ドルーアンです。ルイ・ジャドも見学可能なようですが、訪問した時間が5時を過ぎていたので試飲のみになりました。
コート・ド・ニュイに比べるとコート・ド・ボーヌは、一般の観光客に門戸を開けているドメーヌが多いように感じます。多くの観光客が宿泊するボーヌ周辺にドメーヌがあることや、ボーヌ市内に大手ドメーヌ(ネゴシアン)が集中していることが理由と思われます。ルイ・ジャドやジョセフ・ドルーアン以外に、ブシャールやシャンソンも見学可能なようです。
次にレストランです。
ガイドの川﨑さんお奨めのムルソーにある「Le Soufflot」というレストランです。
例によって膨大な量のワインリストでしたが、最後にスペシャルワインのページがありました。まず、ドーヴネのボンヌ マールが目に入りました。3000€(37万円)!です。まあ、日本だとショップ価格で60万円を超えますからお得と言えばお得ですが、さすがに飲めません。ヴォギュエのワインも安いものの、まあ、これも飲めません。ということで、ここは地元のムルソーでと考え、ピエール・イヴ・コラン・モレのムルソー・レ・ナルヴォー2017をオーダしました。
実は、ムルソーを飲んでいるときに、隣のテーブルを見て気づいたのですが、このワインリストの一番上にあるシャブリ、よく見ると何と「ラヴノー」です!
日本では、ショップ価格で2~3万、2010年のヴァルミュールであれば5万近いと思います。そもそも、手に入りませんし、レストランに置いてることはまずありません。
このワインを見落としていたのが、この旅行で最大の後悔でした(笑)
ランチは、1種類のみで32€です。オープンキッチンでなかなか雰囲気のあるレストランです。メインは大好物の鴨。見た目も味も最高でした。
ディナーは50€と価格的にも手頃です。
さて、畑巡りです。
▼いきなり銘醸畑モンラッシェです。これは、マルキ・ド・ラギッシュの畑です。ジョセフ・ドルーアンに畑を貸しており、実際の栽培や醸造は、ジョセフド・ルーアンが行っているようです。2016年の霜害はモンラッシェの畑に大きなダメージを与えましたが、この畑は、モンラッシェの北端にあり、被害の大きかった南側に比べて被害が少なかったようで、なんとか収穫が行えたようです。
▼ジャック・プリウールのモンラッシェです。
▼バタール・モンラッシェです。道路を挟んだ右側がマルキ・ド・ラギッシュのモンラッシェの畑になります。
▼杭のプレートに所有者が書かれているのは初めて見ました。モレ一族の新星ドメーヌ・モレ・コフィネの所有区画のようです。
▼クリオ・バタール・モンラッシェです。
▼ビアンヴニュ・バタール・モンラッシェです。「ビアンヴニュ」は、フランス語で、「ようこそ」の意味です。バタール・モンラッシェに隣接する斜面の下側に位置します。力強いバタール・モンラッシェに比べると優しく、華やかな香りと評されます。
▼そして、今回最も確認したかったのは、この畑、レ・ドモワゼル(Les Demoiselles)です。なかなか手の出ないル・モンラッシェと地続きの畑ということで、期待して、 ギィ・アミヨの2014年とフィリップ・コランの2017年を購入しました。しかし、手元の地図を見ても、この名前は見当たりません。
実は、Le Domisellesという区画は、1級畑のル・カイユレ(Le Cailleret)に含まれる区画(下の青の領域)と特級畑のシェヴァリエ・モンラッシェ(Chevalier-Montrachet)の1区画(下の赤の領域)の2つがあるようです。前者のル・カイユレは、本来のLe Cailleret区画3.324haに対して、Les Domoiselles区画は、0.6081haほどの小さな畑です。ル・カイユレは、マット・クレイマー「ブルゴーニュがわかる」の中で、「ル・モンラッシェの深いひびきが無く、むしろ石のような風味と鋼を思わせる固さを持つ点でシュヴァリエ・モンラッシェに通じる」と評されています。1級畑のLe Domoisellesの所有者は、購入したギイ・アミヨ、フィリップ・コランの他にコラン・ドルジェ、ファミーユ・ピカールの4人のようです。
一方、シェヴァリエ・モンラッシェのLe Demoisellesは、ルイ・ジャドとルイ・ラトゥールが保有していることで知られています。
▼ルフレーヴ等で有名な、1級畑のレ・ピュセルです。かなり緩やかな斜面で、角にある十字架が目印です。道路を挟んで南側が、バタール・モンラッシェとビアンヴニュ・バタール・モンラッシェになります。
▼余談ですが、下の道路の舗装が変わっているところが、ピュリニ・モンラシェとシャサーニュ・モンランシェの境界とのこと。
▼少し戻って、ボーヌへ。ジョセフ・ドルーアンの1級単独所有畑(モノポール)クロ・ド・ムーシュの畑です。ポマールとの境界にあります。奥はポマールの畑になります。やや高台に位置しています。
▼ボーヌのさらに上部は、急な斜面になります。最上部は、表土が極めて薄くなっておブドウの栽培には向かないことがわかります。石灰岩と粘土質の地質が混ざっている断面が観察できます。
ブルゴーニュの優良畑は、国道74号線から西側の斜面上に存在していますが、必ずしも同じような斜面ではなく、盛り上がっているところと、えぐれているところがあります。一般的に盛り上がったいる地形のとことろに良い畑が存在しているようです。ムルソーやコルトン、ニュイのボンヌ・マールとかでしょうか?あまり斜面が急だと、土壌の石灰質が落ちてしまうこともあり、良い畑にはならないようです。もちろん、地質や標高、斜面の向き等々の広い意味でのテロワールがぶどうに、そしてワインに影響を与えます。少々マニアックな世界ではありますが、そこにブルゴーニュワインの多様性と奥深さがあると思っています。
▼コルトンの丘です。
▼今回は、コート・ド・ボーヌの中でも最も高い位置にあるアペラシオン、サン・ロマン(Saint-Romain)まで足を延ばしました。最も高いところで、標高は400mあります。ここから見るボーヌのブドウ畑が広がる風景はなかなか見ものです。
下の写真の右端の下の方が、オーセー・デュレスになります。
▼ボーヌの高い場所からの光景です。ブドウが斜面に向かってきれいに並んでいます。
▼ポマールの畑です。
さて、予定していたシャンパンメゾンとブルゴーニュのドメーヌの訪問が終わりましたが、それらで購入したワインは、全部で16本になりました。流石にこの本数をスーツケースに入れて持ちかえることはできません。宅急便を使う手もありますが、この本数だと結構、送料がかかるうえ、未だ高い気温も心配だったので、梱包のうえ飛行機の預け荷物として持ち帰ることにしました。そこで安全な梱包が必要だった訳ですが、ル・グルマンディのガイドの川﨑さんが、ワインの梱包材を販売しているショップを紹介してくれました。ちょっと面白いショップなのでご紹介したいと思います。
ボーヌ市内の園芸ショップと隣り合わせているLa Vigne Le Vinというショップです。
▼わかりにくいですが、このロータリーの右上の建物になります。
一見、ワインアクセサリーショップのように見えますが、実は、ワイン生産者・販売業者向けのショップです。但し、業者以外に一般の人も購入できます。
▼なんと、ブドウの圧搾機を売っています(結構小さいのもあります。趣味で使えそうです)
▼SO₂の液を売っています。
▼収穫したブドウを入れるケースのようです。
▼ワイン販売用の木箱も色々な種類のものが手に入ります。
▼この発泡スチロールを複数組み合わせて、同時に購入した段ボールに入れて、12本入りの梱包を造りました。
▼こんな感じで梱包できました。
ボーヌ最終日は、僅かな時間ですが、ムルソー村に立ち寄りました。コンパクトですが、 ホテル、洒落たレストランやベーカリーショップ、ワインショップ等、滞在するのには困らない村のようです。
帰路は
シャンパニュー、そしてブルゴーニュの旅行はこれで終わりです。帰路は、ボーヌからシャルル・ドゴール国際空港に向かいます。
▼途中立ち寄った高速道路のサービス・エリアです。マック、ベーカリーショップ(Paul)、ミニスーパー(Casino Express)の店舗が入っています。もう少し大きいところもありますが、どこも、だいたいこのような構成のようです。
少し時間に余裕があったので、空港近くのショッピングセンター「エアロビレAeroville」に立ち寄りました。ここは、空港からシャトルバスも出ているようなので、時間潰しにも良いかもしれません。
巨大なショッピングモールです。レンタカーの旅行での最後の買い物には、良い場所のようです。
2度目のブルゴーニュは、6泊7日で、今回は、念願のシャブリも回りました。やはり、どうしても、コート・ドールが中心になってしまいますが、今回は、シャトーヌフやヴェズレー、ブルゴーニュ運河等、「非ワイン」のブルゴーニュ地方を楽しむことができました。ただ南部とか、まだまだ行っていない部分もあり、機会があれば、また訪れたいと思っています。
最後に、ブルゴーニュ滞在中、4年前に続いて2日間ガイドをして頂いたレ・グルマンディの川﨑大志さんに感謝したいと思います。ブルゴーニュのテロワールの話は、大変参考になりました。
<了>