バッカスのささやき

ワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒との出会いと趣味のブルーベリー栽培を中心に日常を綴ります。

クロ・ヴージョとシャトー・ド・ラ・トゥールを訪ねる

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9月初旬のブルゴーニュ地方への旅行で訪れたヴージョ村にあるブルゴーニュ最大の特級畑クロ・ヴージョ。今回は、クロ・ヴージョの畑の中に建つシャトー・ド・ラ・トゥールを訪問しました。

 ヴージョ(Vougeot)は、ディジョンの南約17km、シャンボール・ミュジニー村とフラジェ・エシェゾー村に隣接する約67haの村です。ヴージョとは、村を流れる小川「Vouge」に由来する名前で、ブルゴーニュ公国時代、王が頻繁にディジョンとボーヌの間を行き来していた際、ちょうど中間地点にあたるこの地に休憩所兼宿泊所を建て、その周りに村落が出来たといわれています。

クロ・(ド・)ヴージョは、面積50.6haの特級畑で、村の面積の75%をも占めます。12世紀にブルゴーニュの領主たちの寄進でこの地を所有したシトー修道院の修道士たちが興した歴史ある畑で、周りを石垣(クロ)に囲われています。

▼シャンボール・ミュジニーのレ・ザムールから見たヴージョです。奥の石垣で囲まれた畑が、クロ・ヴ―ジョです。手前の畑は、ヴージョの1級畑です。

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クロ・ヴージョは、標高240~270mに存在します。広大な畑にも拘わらず、標高差は30mほどで、見た目もかなり緩やかなことがわかります。上部は、石灰石の多い畑、中部は砂利の多い畑、そして下部は粘土質と大まかに3つの土壌に分かれており、修道院が所有していた時代にはそれぞれを「教皇の畑」「王の畑」「修道士の畑」として扱っていました。すなわち斜面上部の畑から造られるワインが最も優良で、水はけが悪い最下部の粘土質の畑は、あまり良いワインを生みださないと言われています。しかし、後で触れるように優良な生産者は、下部からも評価の高いワインを産出しています。
ちなみに畑の最下部は、国道74号線に接しています。一般にコート・ドールの特級畑は、国道から離れた斜面中腹から上腹部の存在していますが、このクロ・ヴージョとマゾワイエールシャンベルタンのみが国道に接した特級畑になります。

▼斜面下部からのクロ・ヴージョです。中心の建物が、クロ・ド・ヴージョ城で「栄光の3日間」の時にこの場所で利き酒騎士団の叙任式と晩餐会が行われています。道路を挟んで上部奥に見える畑が、シャンボール・ミュジニーの特級畑 Musigny になります。

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さて、今回訪れたシャトー・ド・ラ・トゥール(Château de la Tour)です。
▼斜面の中腹部の北部の畑の中に建っています。

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シャトー・ド・ラ・トゥールのクロ・ヴージョは、過去1度飲んだっきりで、正直あまり印象には残っていません。日本では、メディアやショップでもあまり取り上げられず、やや地味な印象です。

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醸造所の2階にあるレセプションルームです。籠の中にボトルがありますが、持って行ってしまう中国人がいるそうです。ちなみにこのボトル、中にワインは入っていないダミーです。

女性の従業員がカーヴを案内してくれました。f:id:turque1991:20191012120407j:plain

新樽比率は、ボーヌ村名赤で30%、クロ・ヴージョで50%、クロ・ヴージョVVで100%とのこと。 

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CADUSというメーカの樽を使っていますが、これは、ルイ・ジャッドが設立した樽製造を担う専門会社のようです。1社でなく複数の樽業者でトライアルしいるそうです。
▼Chambordというのは国営の森の木材から造られているとのこと。

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醸造に関しては、1987年から100%全房発酵を取り入れているとのことです。

▼1978年物があります。

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▼クロ・ヴージョの畑について、詳しく説明してくれました。テロワールの特徴は、前述のとおりですが、この畑は、80名もの所有者が存在します。

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最上部の北隅に位置する畑が、「ドメーヌ・グロ・フレール」のミュジニー区画です。ミュジニーに隣接していることからこの名が付いたようで、ラベルにもその名が入っていましたが、何故か2016年ヴィンテージから消えています。

クロ・ヴージョ城の東側は、メオ・カミュゼの畑が広がっています。

▼赤枠の5つの区画が、シャトー・ド・ラ・トゥールの所有です。中腹部がメインですが、最上部と下部にも存在しています。

▼青枠は、最も評価の高いルロワの区画です。優秀なテロワールを持つ最上部と中~下部の2区画を持っています。特徴の異なるテロワールからのワインをブレンドすることで力強さと華やかを兼ね備えた複雑なワインが生み出せるのではないかと思います。

ちなみにクロ・ド・ラ・トゥールの畑の挟まれた下部にジャン・グリヴォ―の畑(黄色の区画)があります。一部の力量のある生産者は、不利なテロワールでも素晴らしいワインを生みだすようです。 

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ちなみにこの所有者が記された畑地図ですが、ボーヌ市内の書店で売っていました。主要なグラン・クリュの畑の所有者マップがポスターとして市販されているようです。マニアックな商品ですが、価格20€を超えておりやや高いので購入は諦めました。

▼テースティングは、ボーヌ村名の赤・白とクロ・ヴージョです。

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まず、ボーヌ2017の白です。
薄いレモンイエロ―。フレッシュな酸とミネラル。やや酸が強いですが、今飲んで素直に美味しい白です。赤のボーヌは、新樽率30%のようですが、白は20%で450Lの大樽を使用しているとのこと。

ボーヌ2017の赤です。
中庸のルビーカラー。ラズベリー、薔薇、舌触りでややタンニンがばらつきを感じます。サーモンの油脂や白身肉と相性が良いとのこと。

そしてクロ・ヴージョ2017です。
所有している5つの区画をブレンドしています。流石にまだ若く、縁に紫色が混じります。思ったほど濃い色調ではありませんが、ボーヌとは明らかに違います。果実味は、石灰質土壌で出やすいやや収斂性のあるタンニンにマスクされている感じで、オリエンタルなスパイスを結構感じるワインです。少し苦みを伴った余韻は長めです。
ミュジニー(区画のことだと思います)よりやまろやか(固くない)とのこと。スパイスを聞かせた料理やジビエに良く合うとのこと。

▼試飲はできませんでしたが、クロ・ド・ヴージョのヴィエイユ・ヴィーニュ(VV)です。(左端のワイン)ラベルの文字は金色です。
2012年のみ樹齢100年のブドウだけ、それ以降は、他もブレンドしているとのこと。

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迷いましたが、折角なので、VV(2017)を購入しました。

▼この後、テラスに出ました。クロ・ド・ヴージョ城が良く見えます。

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ドメーヌの周りは、このドメーヌ所有の最大区画の畑です。
今年の収穫は、9月10日から15日を予定しているとのこと。ボーヌでは一般に白の方が収穫が早くなります(酸をできるだけ残すため)

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▼レセプションルームにある窓です。写真には写っていませんが、当日は、遠くにモンブランが見えました。

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コート・ド・ニュイのドメーヌは家族経営のところが多く、一般観光客向けのカーヴ見学を受け付けてくれるところは僅かですが、このドメーヌは、説明も丁寧で、好感が持てました。最も知りたかったクロ・ヴージョのテロワールと生産者の関係等も色々と教えてくれました。
ワインの評価も、最近はアメリカのメディア中心に高くなっているようです(日本のリアル・ワインガイド誌はずっと無視していますが..)。
購入した、クロ・ヴージョVV2017年の飲み頃は、まだまだ先のようですが、楽しみです。

(終)