Bon Vin , Bon Sake , Bon Fromage

ブルゴーニュワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒とチーズの出会いを中心に日常を綴ります。

ポマール村のドメーヌ アンヌ・フランソワーズ・グロ訪問記

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ブルゴーニュの名門グロ家の一角、ドメーヌ・アンヌ・フランソワーズ・グロ(Anne-Francoise Gros)です。この女性醸造家の造るワインは、繊細でしなやかな特徴を持ちます。9月4日にポマールにあるドメーヌを訪れ、試飲しました。帰国後に飲んだヴォーヌ・ロマネのワインと合わせてこのワインの印象について少し書きたいと思います。

アンヌ・フランソワーズ・グロは、グロ家の名声を高めたジャン・グロ氏の長女です。1988年にポマールのパラン家13代目のフランソワ・パラン氏と結婚し、設立したドメーヌが、ドメーヌ・アンヌ・フランソワーズ(A.F)・グロです。ドメーヌは、ポマールにあり、「Maison Parent-Gros」と「Domaine A.F Gros」の名前が併記されています。

1988年にグロ夫妻が引退する際に、子供3人(ミシェル、アンヌ・フランソワーズ、ベルナール)が畑を分割して継承しましたが、その中に特級のリシュブールがあります。本来は、ジャン・グロ時代、醸造を担当していた長男のミシェルに譲るのが、普通かと思われますが、長女のアンヌ・フランソワーズが譲り受けています↓。モノポールのクロ・デ・レアの畑の分割をさける為とも言われています。

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▼少々見にくいですが、グロ家とパラン家の家系図です。ジャン・グロの子供は3人ですが、従姉妹のアンヌ・グロを加えた4人が一般にグロファミリーと呼ばれている生産者になります。

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ヴォーヌ・ロマネ、ポマールを中心に10haの畑を所有しています。収穫されたブドウは100%除梗され、コンクリートタンクとステンレスタンクを併用し、発酵を行っています。樽熟成は村名、プルミエ クリュで約18ヶ月間(新樽比率50~70%)、グラン・クリュは約18ヶ月間(新樽比率100%)させます。

ラベルにある女性の絵は、自身の娘をもとに、ワインの特徴を表情に反映させているとのこと。

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ドメーヌ・AFグロの訪問ですが、カーヴ見学はできず、試飲(Dégustation)のみです。試飲のコースは下の2つが選べましたが、25€のコースを選択しました。

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▼まず、クリュ・ボジョレのムーラン・ナ・ヴァン(Moulin-à-vent)2017年です。

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初めて見るラベルです。実は、AFグロがムーラン・ナ・ヴァンの畑を持っていることは知りませんでした。日本には入っていないのかも知れません。

ボーヌの造り手によるムーラン・ナ・ヴァンは、ルイ・ジャドが有名で、2、3回飲んでいますが、それ以外では初めてです。

やや薄い赤に紫が入ります。スーリズ(さくらんぼ)、いちごの香り。ガメイにありがちなジャムっぽさは、全く感じません。

ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイ 2016年

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このワインは、コート・ド・ボーヌとの境界に近い、アルスナン村の区画のブドウから造られているそうです。

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▼後から調べたら、アルスナンは、シャトーヌフからコート・ド・ニュイへの帰路で通った村でした。標高がそれなりにありますが、この辺りの畑かと思います。

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フルーティーさやフレッシュさを生かすために樽熟は新樽で短期間にしているようです。

少し紫の入った淡めのラズベリーレッド。アセロララズベリー、フレッシュな感じのワインですが、フィニュッシュにややタンニンと苦みを感じます。

▼サヴィニー・レ・ボーヌ 1er Cru レ・クロ・デ・ゲット 2016年 (右端)

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▼ボーヌ北西、やや高い標高ながら南向きの斜面のようです。

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前銘柄に比べると香りはより高くなります。100%除梗ということもあり、複雑さは別として、繊細でチャーミングな印象のワインです。

▼ヴォーヌ・ロマネ オー・レア 2014年(左端)
兄ミシェルの隣に位置する、村名畑です。
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こちらも、やや淡い色調ですが、チェリー、赤いベリーの香り。やはり繊細でチャーミングなワインですが、ややスパイシーさも感じます。 

最後の2本は、ポマールの1級畑です。

・ポマール 1er Cru レ・ペズロル(Les Pezerolles)2016年
・ポマール 1er Cru レ・アルヴレ(Les Arvelets)2011年

※ボトルサーバからの提供なので瓶の写真はありません。

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▼レ・アルヴレの畑は川に沿った畑で石灰質の土壌。やや収斂性があり、鉄のニュアンスも感じられます。あまり聞いたことのない畑です。過去に日本で輸入されているのか、不明です。f:id:turque1991:20191013143343j:plain

ドメーヌでの試飲は、以上ですが、短時間・少量の試飲に慣れないこともあり、ワインの特徴をやや掴みにくかったこともあり、帰国後にセラーにあった「ヴォーヌ・ロマネ・クロ・ド・ラ・フォンテーヌ(Clos de La Fontaine)」を飲みました。村名のモノポール(単独所有畑)のワインです。地図で調べると、ヴォーヌ・ロマネで泊まったリシュブールホテルのそばにある小さな村名畑のようです。

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ドメーヌではこの銘柄は飲んでいませんが、オー・レアは、少し淡い色調に感じましたが、今回はそれほどでもなく中程度の濃さのラズベリーレッドです。ラズベリークランベリーアメリカンチェリー、薔薇、スミレ。時間たつとどんどん華やかな香りが湧き立ってきます。さらに時間を置くと、好きな腐葉土の香りも僅かですが出てきます。酸は十分ありますが、綺麗で伸びやかな酸でかつ尖っていません。タンニンはそれほど強くなく比較的円やか。力強さよりも華やかな典型的なヴォーヌ・ロマネのワインです。鶏肉のガーリックソテーに良く合います。
家族で飲みましたが、あっという間になくなりました。

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他のグロファミリーに比べて、リアルワインガイド等のメディアでも取り上げられず、なんとなく専門家の評価が低いAFグロですが、久しぶりに飲むと癒し系で、素直に美味しいワインです。確かに濃いワインでもなく、あまり評論家受けはしないかもしれませんが、華やかで優しいワインを飲みたい時に開けたいワインだと思います。
気に入りました。

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<了>

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