Bon Vin , Bon Sake , Bon Fromage

ブルゴーニュワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒とチーズの出会いを中心に日常を綴ります。

極上の和牛焼肉と合わせる熟成ローヌ&熟成ナパワイン

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61回目の誕生日は、銀座にて、極上の和牛焼肉をとっておきの熟成ワインと堪能しました。お気に入りのギガル・コート・ロティ・ラ・トゥルク1995年とロバート・モンダヴィカベルネ・ソーヴィニヨン ト・カロン・ヴィンヤード1997年です。20年を超える熟成を経たワインは、異なる顔ながらも期待どおりの素晴らしいものでした。

▼娘に予約してもらった銀座並木通りの焼肉店「うしごろ」です。国産A5ランクの黒毛和牛が売りのようです。

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 ワインの持ち込み(有料)が可能なお店ということで、セラーに長年入れっぱなしになっていた熟成ワインを2本持ち込みました。普段は、圧倒的にブルゴーニュ派ですが、焼肉には、ボルドーやローヌの赤を意識してしまいます。今回は、北ローヌのギガルのコート・ロティとボルドーならぬカルフォルニア ナパ・バレーのロバート・モンダヴィ  カベルネ・ソーヴィニヨンです。

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どちらのワインから飲むかを店員から聞かれ、少し悩みましたが、やはり酔いが回らないうちにお気に入りのギガルのコートロティ ラ・トュルクをじっくり味わいたく、右のギガルからスタートしました。

▼エティエンヌ・ギガルのコート・ロティ  ラ・トゥルク 1995年です。

1946年創業のエティエンヌ・ギガルは、北部ローヌ最大の生産者です。千円ちょっとで買えるコート・デュ・ローヌは、どこのワインショップでも見かけるワインですが、ギガルの赤のトップラインが、コート・ロティのギガル三銃士とかギガル三兄弟と呼ばれる「ラ・ランドンヌ」、「ラ・ムーリーヌ」と今回の「ラ・トゥルク」、そして1995年に買収した「シャトー・ダンピュイ」です。

コート・ロティは2つの丘に分かれており、一方は「コート・ブリュンヌ」で粘土質土壌から力強く男性的なワインを産出し、もう一方の「コート・ブロンド」は石灰質土壌から繊細で女性的なワインを産出するとされています。ギガル三銃士の「ラ・ランドンヌ」は、コート・ブリュンヌにある畑で、最も力強いタイプ、「ラ・ムーリーヌ」は、コート・ブロンドにある畑で華やかで女性的なタイプ、そして今回の「ラ・トゥルク」は、コート・ブロンド寄りのコート・ブリュンヌにある畑で、前2つの畑の中間的な性格をもつと言われています。

ギガル三銃士は、ワイン・アドヴォケート(WA)誌のパーフェクト(100点)ワインの常連で、この1995年のラ・トゥルクもそのひとつです。ビンテージにもよりますが、3つとも100点というパタンも珍しくありません。それ以外の年では、どちらかというと力強いワインを好むWA誌では、ラ・ランドンヌが最も評価が高く、僅差で、ラ・ムーリーヌとラ・トゥルクが続くというパタンです。

ただ、人気という点では、ラ・トゥルクが一番のようです。理由は、やはり華やかなラベルでしょうか?
ギガルが畑を入手した時期は、ラ・トゥルクが最も遅く、ファーストヴィンテージは1985年です。

ラ・トゥルクは、過去に1989年と1991年を飲んでいますが、1985年はどうしても入手できませんでした。いずれもWA誌の100点ワインです。もう市場で見つけることは殆どありませんが、仮に見つけても20万円近いと思います。1989年と1991年は、銀座屋酒店でリリースされて間もなく購入しました。価格はよく覚えていませんが、確か1万円台だったような記憶があります。ちなみに、当日立ち寄った東急本店で2015年を販売していましたが、価格は6万円でした。

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ラ・トゥルクのセパージュは、シラー93%、ヴィオニエ7%です。この比率はずっと変わっていないようです。36ヶ月新樽で熟成後出荷されます。

さて1995年のラ・トゥルクです。

(写真では黒っぽく見えますが)少し赤みがかったダークチェリーレッド。赤スグリブラックベリーアメリカンダークチェリーの赤黒系果実(意外に赤系を感じます)、牡丹、ドライハーブ、甘草、黒胡椒、コーヒー。抜栓後、時間が経っていないにもかかわらず、華やかな香りがどんどん湧き出てきます。若いシラーやシラーズに感じられる肉っぽさ、血液、なめし皮といった感じは薄れており、エレガントなシラーに変身しています。過去飲んだトゥルクもいずれも20年近く熟成させたもので、今回と同じように感動しました。タンニンはシルキーで滑らかですが、まだまだしっかり感じられ、後で飲んだロバート・モンダヴィよりもスパイシーに感じられます。長い余韻も最高です。

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▼食事ですが、以下の2つのコースを選びました。

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▼上右端は、いぶりガッコとクリームチーズです。下の3種が牛刺しですが、特に真ん中のユッケが絶品でした。

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▼(焼く前の)牛タン、ハラミ、赤身です。

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▼絶妙な焼き方もあるのか、厚切り牛タンの柔らかさが感動モノです。

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さて2本目のワインです。

▼ロバート・モンダヴィ カベルネ・ソーヴィニヨン ト・カロン・ヴィンヤード 1997年

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▼現在ラベルデザインは変わっており、これは1990年代に使われていたラべルです。一見、普通のロバートモンダヴィカベルネソーヴィニヨンのラベルですが、よく見ると ”TO KALON VINEYARD”の文字が入っています。ト・カロンの畑については、後述しますが、当時、この畑名が入っているものは、市場には出回っておらず、ワイナリーでしか購入できないものでした(現在は、市場に出ているリザーブにはTO KALON VINEYARDの文字が入っているようです)。 1998年だったと思いますが、このワインの存在を知り、ちょうど出張でカリフォルニアに行った際に、ワイナリーに立ち寄り、購入しようとしましたが、1996年ヴィンテージのこの畑名の入ったワインは無く、翌年にならないと入手できないことが分かりました。そこで、当時カリフォルニアに駐在していた同僚に頼み込んでワイナリーで買ってきてもらったのがこのワインです。そういった意味で、非常に思い入れのあるワインです。

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 ト・カロン(To Kalon)はギリシャ語で“最高の美”“至高”といった意味をもちます。その名の通り、ナパバレーの中でも最高の畑と言われています、フランスでいえばグラン・クリュに相当する畑にあたると思います。

ト・カロンは、ロバート・モンダヴィのワイナリー設立時に最初に拓いた由緒ある畑で、このワイナリの歴史と発展に大きく関わっています。

ト・カロンの歴史はナパ・バレーの畑を知るうえで、非常に興味深いものです。ネットで探すとト・カロンの歴史的な背景に関する情報が色々と見つかりますが、以下のブログの記事が、一番わかりやすいと思います。

https://californiawine.jp/blog/item/6928

この記事の中で紹介されいている以下の詳細記事もこの畑を知るのに十分なものかと思います。

https://www.guildsomm.com/public_content/features/articles/b/stamp/posts/the-true-story-of-to-kalon-vineyard

要約すると以下のような内容になります。

・ト・カロンは1868年にハミルトン・クラブという人が名付けたナパ・バレーの中心にある(当初)240エーカーの畑
・マヤカマス山脈から流れてきた小川が形成する水はけのよい沖積扇状地とサンパブロ湾から吹く海風がブドウに酸と自然のバランスを与える
・ロバート・モンダヴィは1966年にト・カロンの可能性に気づき、ワイナリーを設立し、畑を入手。
・所有者は、6社(オリジナルの畑の所有者は4社)、代表的な主要な所有者は、ロバート・モンダヴィのほか、アンディ・ベックストファー、オーパンワン。
・To Kalon及びTo Kalon Vineyardは、畑名であると同時に、モンダヴィ登録商標だが、訴訟の結果、アンディ・ベックストファーもト・カロンを名乗ることができるようになった(ベクストファー・トカロンの畑名)。葡萄栽培者であるアンディ・ベックストファーは、複数の生産者にブドウを提供。提供先のひとつであるシュレーダー等は多くのパーカー100点ワインを生みだしている。

要は、ナパ・ヴァレ―を代表する銘醸畑であるわけですが、モンダヴィリザーブ(Reserve)でない通常のカベルネ・ソーヴィニヨンにこの畑名が入っているのは、結構レアなワインなのではないかと思っています。

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1997年のワインですが、色は未だ十分濃いガーネット。ブルーベリー、ブラックベリーアメリカンダークチェリーの黒系果実の香り、ドライハーブ、タバコ、黒胡椒、西洋杉、なめし皮に加えて芝生やグリーンペッパの香りが出ています。グリーンノートに関しては、モンダヴィの「リザーブ」でないカベルネ・ソーヴィニヨンには、カベルネ・フランが混醸されているようなので、その影響かも知れません。
ただ、決してネガティブな香りではなく、良い意味で、熱量を下げ、複雑性をもたらすアクセントになっているように思います。

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▼シャトー・ブリアンです。とろけるような滑らかさで最高でした。

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熟成コート・ロティとカルフォルニア最高の銘醸畑からのカベルネソーヴィニヨン、どちらも素晴らしいワインでしたが、やはり、コート・ロティ・ラ・テュルクの香りは、いつまでも嗅いでいたいとても魅力的なものでした。

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 (了)

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