Bon Vin , Bon Sake , Bon Fromage

ブルゴーニュワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒とチーズの出会いを中心に日常を綴ります。

ハードチーズと味わう辛口ひやおろし

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兵庫県姫路市で「龍力」のブランドで、兵庫県産特A地区の山田錦にこだわり酒造りに取り組む本田商店の特別純米ひやおろし播州辛口」です。フランスとイタリアのハード・セミハードチーズに合わせてみました。

龍力」の本田商店は大正12年創業の蔵元で、兵庫県の地の利を活かし、最上の山田錦
を大量に買い入れ、品質にこだわる酒造りに取り組んでいます。この蔵で使用する酒米の何と85%が山田錦のようです。吟醸酒造りにも力を入れており、山田錦特A地区の最上の酒米を40%~35%まで磨いた大吟醸を仕込んでおり、全国新酒鑑評会金賞の常連蔵でもあります。
その一方で、昔ながらの生酛造りにも取り組んでおり、龍力の生酛純米酒は、何回か購入して飲んだことがありますが、生酛造りらしい酸味と旨味が感じられる純米酒という印象を持っています。

この「播州辛口ひやおろし」も兵庫県特A地区の山田錦揖保川の軟水で辛口に仕込んだ特別純米酒です。精米歩合は65%となっています。

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クリスタルカラー、炊いた米の上品な香り、メロンの果実香もあります。辛口という触れ込みですが、最初のアタックでは甘みを感じます。その後、直ぐにほのかな苦みが広がり、それが辛口を感じさせます。苦みと言っても不快なものではなく、あくまで柔らかな苦みです。余韻はやや短めですっとキレあがる印象です。適度な酸も感じられます。ドライで単調な辛口ではなく、甘み~酸味~苦みという変化を楽しめるタイプの純米酒です。ひやおろし特有の落ち着いた旨味も持ち合わせ、食事に合わせ易い日本酒だと思います。

▼合わせたハード・セミハードチーズです。上左から、トム・デ・ボージュ、ぺコリーノ・トスカーノ、マッカーニョ、下がコンテ18か月熟成です。

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トム・デ・ボージュ(Tome des Bauges)

フランスサヴォア地方のボージュ山地一帯で造られるチーズです。ごつごつした厚めの表皮に覆われていますが、中はアイボリーのしっとりとした食感のチーズです。藁(わら)やナッツっぽい香りもあり、どちらかと言えば、果実味主体のフレッシュな白ワインや吟醸っぽい日本酒よりも、やや長く熟成させて複雑さの出た白ワインや日本酒との相性が良いかと思います。

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コンテ(Comte)18ヶ月

お馴染みの最も有名なフランスハードチーズのコンテです。これは、最も気に入っているフェルミエで販売されている18ヶ月熟成タイプです。塩味と旨味のバランスがベストな熟成期間だと思います。ワインは比較的濃厚な白、日本酒は、旨味が強く出た純米酒ややや熟成させた古酒がベストだと思います。今回の龍力も比較的相性は良いと思います。

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ペコリーノ・トスカーノ(Pecorino Toscano)

名前が示す通りトスカーナ地方の羊乳チーズ(ペコリーノは羊乳チーズの総称)です。有名なペコリーノ・ロマーノと並び歴史のある羊乳チーズですが、塩味がかなり強いペコリーノ・ロマーノに比べると塩味はかなり抑えられた穏やかなチーズです。
若いフレスコと4ヶ月以上熟成させたスタジオナートの2種類がありますが、今回のチーズは、1ヶ月熟成のフレスコです。

比較的穏やかといえ、今回の他のチーズに比べるとやや塩味を強く感じます。この塩味と羊乳特有のミルキーなコクと酸味が日本酒にピッタリ合います。今回のチーズの中での日本酒との相性は、このチーズがベストと感じました。当日少し残っていた濃厚な甘みを感じる新政のNo.6 Xtypeとも合わせましたが、この塩味との相反的な相性も中々のものでした。

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右がペコリーノ・トスカーノ、左がマッカーニョ
マッカーニョ(Maccagno)

イタリア・ピエモンテ地方のセミハードチーズです。写真では、白っぽく見えますが、実際はコンテより薄いクリーム・イエローです。
口に入れた瞬間は、マイルドな甘みを感じますが、その後はしっかりとした塩味も感じます。比較的癖のない無殺菌牛乳製チーズで、幅広いワイン、日本酒に合うチーズだと思います。原産地名称統制(D.O.P.)でないチーズです。

▼最後に、こちらはソフトタイプの白カビチーズです。

クロミエ(Coulommiers)

フランスのイル・ド・フランス地方の白カビチーズです。ブリの仲間で、ブリ・ド・モー、ブリ・ド・ムランとあわせて「ブリ3兄弟」と呼ばれています。ブリ・ド・モーに比べ小型のチーズです。これも原産地名称統制(A.O.P.)外のチーズです。

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味覚はブリそのものです。やや若いせいか、中央に白い芯があり熟成が進んでいません。これも幅広い白ワインや軽めの赤ワイン、日本酒に合わせられるチーズだと思います。

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今回のチーズは、総じてマイルドで癖の強くないものであり、比較的広いタイプの日本酒に合うと思います。ただ中でも、塩味と旨味に特徴があるチーズとの相性が特に高いと思われます。今回以外のチーズでは、パルミジャーノ・レッジャーノミモレットですが、意外にイタリアの羊乳チーズ(ペコリーノ)との相性もありかと感じました。

<了>

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