いかの口(めぼう)に合わせて、辛旨口と思われる純米酒をチョイスしました。
高知の「酔鯨 特別純米生酒 しぼりたて」と青森の「六根 山廃純米」です。
伊東の干物店で購入したイカの口の干物です。熱海や伊東では、「めぼう」と呼ばれていますが、能登地方等では「とんび」とも呼ばれているようです。ぷりっとした食感でイカの旨味が凝縮されており、酒の肴として最高です。
「酔鯨 特別純米酒 生酒 しぼりたて」
「酔鯨」は、南国土佐を代表する酒で、自ら「鯨海酔侯」と名乗った幕末の土佐藩主、山内豊信(容堂)にちなんで名づけられた日本酒です。しぼりたて生酒は冬季限定の新酒。
原料米:非公開(高知産)、精米歩合55%、日本酒度:+6.5、酸度:2.0
アルコール度数17度
生酒特有のメロンやピーチの果実香。炊いた米や上新粉の上品な米の香り、サワークリーム。まず、酸が口中に広がり、余韻に僅かな苦みを感じます。
生酒の甘い香りはあるものの、味わいは、結構ドライ(辛口)に感じられます。
酔鯨の純米酒は、比較的辛口にふってあり、この特別純米酒も酸度2.0が示すように、酸も結構あることから、食中酒として最適です。もちろん、イカの口との相性は抜群でした。
▼辛口日本酒の苦みとオイルサーディン+ワインビネガーの苦みが良く合います。鳥の塩麴フライもOK。幅広い料理にあわせられる純米酒だと思います。
▼チーズは、「パルミジャーノ・レッジャーノ」と薬草の入ったワインで漬けたスイスの「アッペンツェラー」です。パルミジャーノ・レッジャーノは24M熟成で旨味がかなり強いものです。どちらかというと少し甘みと旨味のある日本酒の方が合うかもしれません。アッペンツェラーは、少し苦みを感じる濃厚なチーズで、この酔鯨との相性は悪くありません。
「六根 山廃純米酒」
「六根」は、森県弘前市にある蔵元松緑酒造(旧 齋藤酒造)のブランドで、世界遺産の白神山地系岩木山の湧水を仕込み水に使っています。「六根」というのは、五感に心を加えた言葉のようです。
ここの純米酒や純米吟醸酒は、比較的良く飲んでいますが、通常のラベルは、「六根」の文字だけが大きく縦書されているシンプルなもので、ダイヤモンド、サファイア、ルビーなど、石にちなんだ名前が付けられています。しかし、この山廃純米酒のラベルは、六根の文字はあるものの、ちょっと変わっており、最初は六根と気づきませんでした。期間限定酒のようですが、これまで飲んだ六根とは、全く違う酒質でした。
原料米:華吹雪、精米歩合70%、日本酒度:+18、酸度:2.0
アルコール度数19度
初日、開栓直後は、香りも殆ど発たず、無口な印象。極めて辛口で、苦みを伴う余韻は短い感じ。良く言えば、シャープで、切れがある純米酒。
2日目になると前日とは打って変わり、少しとろみもあるコクを感じ、山廃らしいサワークリームを感じる酸も出ている。辛口には変わりないが前日に比べると全然良い。温度を少し上げたことによるものかもしれない。アルコール度数は19度あるが、特に「原酒」の表示はない。
アルコール度数の高さもあり、ギンギンに冷やすと、かなりドライに感じます。おそらく燗で飲むとまた違う印象になると思います。
ここ最近は、どちらかと言えば、甘口の吟醸系の日本酒が多かったこともあり、特に日本酒度が+18という六根 山廃純米は超辛口のインパクトを感じました。ただ干物のように旨味が凝縮したものに合わせるには、日本酒側の旨味をより引き出すために、冷やし過ぎは禁物で、温度をある程度上げて飲むのが望ましいようです。
<了>