11月の平日に飲んだワインです。
ひやおろしの季節の平日の家呑みは、日本酒を飲む機会も多く、ワインの消費ペースが落ちがちですが、アメリカ、チリ、イタリアのアパッシメント、フランスと色々なバリエーションを楽しみました。
ヘス・セレクト ノース・コースト ソーヴィニヨン・ブラン 2016年
ナパ・ヴァレーの山岳地帯に位置するマウント・ヴィーダー地区に本拠を置くワイナリーです。マウント・ヴィーダAVAのカベルネ・ソーヴィニヨンが有名ですが、カーネロスやセントラル・コーストのモントレーにも畑を有しており、主にそれらのブドウから「セレクト・シリーズ」というスタンダードワインが造られています。このソーヴィニヨン・ブランは、ノースコースト広域AVAとなっています。ラベルに書いておらず、知らなかったのですが、ソーヴィニヨン・ブランの亜種、ソーヴィニヨン・ムスケという品種を併用しているようです。
鮮やかな青色のラベルが目を引きます。
少し緑がかったやや淡いクリームイエロー。グレープフルーツ、ライム、レモンの柑橘系果実やパイナップル、ハーブ、溌溂とした酸と僅かな甘み。同じ新世界のニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランに似ていますが、ハーべシャルやパッションフルーツ的なアロマではなく、やや冷涼な感じもあります。といっても、すごく軽い感じではなく、そこそこの厚みも感じられるワインです。価格1.7K円。
(2.9)
レイダ(Leyda)レゼルヴァ ピノ・ノワール 2018年
チリのレイダという地区のピノノワール・ワインです。
この地名は知りませんでしたが、アコンガグアD.O.(原産地呼称)のD.O.サン・アントニオ・ヴァレ―のサブゾーンのようです。サン・アントニオ・ヴァレ―は、ソムリエ協会教本に「海岸山脈の西側で太平洋に面した斜面。冷たい海風が直接吹き付ける。ここに1990年後半からブドウ畑開発ラッシュがやってきた。爽やかな酸味とミネラルの要素をもつ白ワインや繊細なピノ・ノワールで頭角を現してきている。ソーヴィニヨン・ブランも増えている。」と解説されています。新しい産地のようです。
このチリの中でも冷涼な産地のレイダ・ヴァレーのドメーヌ・デ・グラスが作るピノ・ノワールです。信濃屋で1.6K円くらいだったっと思います。チリのデイリーワインとしては、少々高く感じましたが、店頭のPOPに書かれていた「ブルゴーニュと同じ粘土・石灰質のテロワール」という売り文句に惹かれて購入しました。
かなり薄めのラズベリーレッド。最近飲んだピノとしては、リアルワインガイド誌の表紙でも取り上げられたルーマニアの「ラ・ヴィ ピノ・ノワール」に近いものがあります。フランボワーズ、クランベリーといった甘い赤系果実の香りが抜栓直後から感じられます。スミレ、ドライハーブに甘草の甘苦さ、樽熟成に起因すると思われるスパイス感や、ややスモーキな香りも感じます。
女性醸造家の造る繊細で香り高いピノ・ノワールです。ブルゴーニュに似ているかは、ともかく、ここまで抜栓後すぐに開くのは、ブルゴーニュ・ピノではあまりありません。デイリー・ピノワインにピッタリです。ただ、香りは素晴らしいのですが、飲むとさらっとし過ぎている気がします。贅沢を言えば、もう少しだけ味に厚みが欲しいところです。
(3.0)
チーズ3種(コンテ18ヶ月、パルミジャーノ・レッジャーノ30ヶ月、フルム・ダンベール)に合わせました。この中では、風味が最も穏やかなコンテとの相性がベストです。
シックス・エイト・ナイン ”サブミッション” カベルネソーヴィニヨン
久々に訪れた恵比寿の「ワイン・マーケット」で購入したカリカベ。2K円ちょっとだったと思います。聞いたことがありませんでしたが、「プルミエ・ワイン・グループ」というカリフォルニアのマーケティングエージェント会社がカルフォルニアの有名な醸造家ケント・ラスムセン氏と設立したジョイントベンチャーのようです。689という数字は、”6-幸福・8-豊かさ・9-長寿”という各要素が一つに調和、融合する、という意味を持つとのこと。
極めて濃いダークチェリーレッドで縁に紫が混ざる。長いレッグ。カシス、ブラックベリー、プラム等の黒系果実。杉、バニラ、コーヒ、タバコのスモーキーな香り。黒胡椒、ローズマリー、八角。甘く、タール、グリセリンのニュアンス。
久々に濃厚でオーキーなカリフォルニアを飲みました。コストパフォーマンスの点では特筆ものかもしれません。昔は好きなタイプのワインでしたが、年を取るとこの手のワインは、かなりきつく感じます。カリフォルニアのガッツン系ワインが好きな方や大勢で飲むワインとしては良いかもしれませんが、家呑みのデーリーとしては、おそらくリピートはないです。
(3.0)
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オールド・ワールド・キュヴェ99・アパッシメント プロヴィンコ 2017年
プロヴィンコは本拠地をトレンティーノ州に構え、1970年代に醸造家の協同組合としてスタートしています。トレンティーノ州のワイナリーということでなく、イタリアの主要生産地でワインを生産しており、ワインの専門家や販売のプロによって運営されているようです。
オールドワールド・キュヴェ99・アパッシメントは、プリミティーヴォ主体のブドウからアパッシメントスタイルで造られたワインです。アパッシメントは、通常より遅くブドウを収穫することによる干からびるほど過熟させ、糖度と凝縮感を高め、圧搾する製法です。いわば干しブドウから造るワインで、濃厚で濃密な風味をもちます。アルコール度数も高めになります。このワインの度数も15度あります。
イタリアの甘口赤ワインとしては、「アマローネ」が有名ですが、アマローネは、ヴェネト州のヴェローナのヴァルポリチェッラ種からアパッシメント製法で造られるワインで、産地・ブドウ・製法が細かく規定されています。
このワインは、イタリアのワインガイド誌の「ルカ・マローニ」で最高満点99点獲得したことで注目を浴びました。ルカ・マロ―二誌は、Consistenza(凝縮感・充実感)、Equilibrio(バランス感)、Integrita(全体感)の観点で各33点満点で採点しています。すなわち、全ての要素が、満点だったということになります。
▼新聞記事風のユニークなラベルです。ルカ・マロ―99点も大々的に記載されています。
オーク樽(新樽率10%)6カ月熟成。
グラスの底が見えないほど漆黒のダークチェリーレッド。縁は紫色。レッグは長い。
完熟プラム、プルーン、カシス、イチジクのコンポート、シナモン、アタックは、糖蜜のような甘さ、続いて酸が口中に広がり、アフターに僅かな苦み。確かに甘みが特徴ですが、適度な酸があり、デザートワインとしてではなく、甘辛い煮付けや中華等、食中酒としてもいけるような気がいます。
実は、このワインを開けたのは、ブルーチーズとの相性に興味があったためです。
▼イタリア・ピエモンテ州のグラティン ブルーとフランス・オーヴェルニュ地方のブッシュ ・デ・ネージュです。ブルーチーズとソーテルヌに代表される甘口白ワインとの相性は良く知られていますが、甘口赤ワインとの相性は、あまり語られません。
実際に試してみましたが、確かブルーチーズの強い塩味とワインの甘さの相性は良いのですが、そこそこ感じられる酸が微妙です。好みにもよるかとは思いますが、ソーテルヌやアイスワインほどの相性ではありません。赤ではソーテルヌに負けない甘みを持つリヴザルトとの相性も興味はあります。いずれ試してみたいと思います。
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ショーヴネ・ショパン コート・ド・ニュイ・ヴィレッジ 2017年
ショーヴネ・ショパンは、1990年代のヴィンテージから飲んだ記憶があります。当時は、いささかダサいラベルデザインで、ワインの印象もそれほどパッとしなかったのですが、とにかく手頃なブルゴーニュワインでした。ラベルのデザインも新しくなり、2015年ヴィンテージ頃からワイン評価誌の評価が急に上がり、2016年・2017年とブレークしています。今でも価格は抑え目で、このコート・ド・ニュイ・ヴィラージュも3K円を切る価格で入手できました(2016年より少し下がっている気がします)
濃いめの紫がかったラズベリーレッド、2017年のヴィラ―ジュクラスなので、最初から開いていると思われましたが、流石に早すぎるのか抜栓してしばらくは、あまり香りは立ちません。しかし、ベリー系の果実味の凝縮感が充分に感じられ、酸と柔らかいタンニンとのバランスが絶妙です。1時間ほど経つと香りが開いてきます。2016年もレジオナル、村名まで飲んでますが、同じようにコストパフォーマンスの高いワインと感じました。何本かストックしておきたいワインです。
合わせたチーズは、フランスの馬蹄型チーズ「バラカ」です。通常は白ワイン向きの白カビチーズですが、賞味期限を少し過ぎて、熟成が進んで濃厚さを増しており、相性は悪くはありません。
<了>