バッカスのささやき

ワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒との出会いと趣味のブルーベリー栽培を中心に日常を綴ります。

シャンボール・ミュジニー・1erCru・レ・ザムルーズ飲み比べ

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グラン・クリュ並みの評価を得ており、「恋人たち」の意味をもつレ・ザムズ―ルは、シャンボール・ミュジニーだけでなく、ブルゴーニュ・ワインの中でもとりわけ人気の高い1級ワインです。トップ生産者のレ・ザムズ―ルは、もはや手の届かない価格になっていますが、飲み頃の2本を飲み比べてみました。

ブルゴーニュ・ワインで最も優美で女性的と表現される、レ・ザムズ―ルは、シャンボール村のヴージョ寄りにあります。特級畑のミュジニーに一部を接しており、粘土石灰岩質土壌(石灰質の厚い層に30~50cmの赤粘土質が重なる土壌)で、ピノノワールに最も適した土壌です。

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レ・ザムズールには、17名の所有者がおり、有名な造り手としては、コント・ジョルジュ・ヴォギュエ、ジョルジュ・ルーミエ、ジャック・フレデリック・ミュニュレなどが挙げられますが、ロベール・グロフィエは、レ・ザムズール最大(1.12ha)の所有者として知られています。ヴォギュエ、ルーミエといった極めて評価の高い造り手の畑は、道路を挟んでミュジニーに面する上部に存在していますが、グロフィエの畑は、中腹~下部に存在しています(上記のマップの黄色い部分ですが、実際にはもう少し複雑です。あくまでこの辺りという参考までに)。グロフィエのレ・ザムールも評価は非常に高いですが、生産量のお陰か、ヴォギュエやルーミエに比べると入手し易いレ・ザムールです。価格もヴォギュエやルーミエが今や10万円を超える中で、なんとかその半分以下で収まっています(それでも十分高いですが...)

▼ヴォ―ジュ村に隣接するヴォギュエの畑です。遠くにクロ・ヴージョを臨みます。

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▼グロフィエの畑は、このあたりと思われます。

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ドメーヌ・フランソワ・ベルトーは、小さなドメーヌなので、知名度は低く、実は、私も購入するまで、知りませんでした。2004年に先代の父ピエール・ベルトーより畑を引き継いだ5代目のフランソワが設立したドメーヌです。シャンボール・ミュジニー村を中心に約6haの畑を所有し、年産15,000本程のワインを造っている小規模生産者です。
リュットレゾネ(減農薬)の畑から作られたブドウから、非常に繊細で優美なワインを生みだす生産者と評価されているようです。

レ・ザムールを所有している有名なドメーヌは、大抵、特級畑のボンヌ・マールも所有しています。ヴォギュエ、ルーミエ、グロフィエ、そして、フランソワ―・ベルトーもそうです。両方の畑のワインは、評価的にもほぼ同等で、価格的にもほぼ同等か、最近は、むしろレ・ザムールのワインの方が高いようです。人気と希少性の関係かと思います。フランソワ・ベルトーのワインもレ・ザムール購入時に同時にボンヌ・マールを一緒に買いました。

ヴィンテージを統一したかったのですが、2008年は殆ど購入しなかったので、異なるヴィンテージでの比較になります。2日に渡って飲みましたが、アルゴンガスで抜栓せずに品質を長期維持できるコルヴァンを使用しました。2日ほどでは必要ないかもしれませんが、直ぐに飲みきれない多くのワインを比較したいときには便利なツールで、最近よく使っています。

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ドメーヌ・グロフィエ シャンボール・ミュジニー 1級 レ・ザムズール 2008年

評価がいまいちな2008年ヴィンテージです。酸が過多なワインに出会うことが多く、個人的にはあまり好みではありませんが、在庫が余っているせいか、最近も時々、有名ドメーヌの比較的安いバックビンテージが手に入ります。このボトルは、リリース直後に購入したもので、当時の価格は、14Kほどでした。

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色は、ガーネットがかったルビー。縁にレンガ色が混ざりますが、比較的暗めの色調です。
赤黒系の果実香、完熟ラズベリー、ダークチェリー、プラム。甘いシナモン、甘草、スーボワ。最初から開いており、甘い果実味が強く感じられます。タンニンは溶け込んでおり、問題の2008年の酸ですが、かなり抑えられています。
酸は、天候とブドウの収穫のタイミングにも依存しますが、マロラクティック発酵(果汁やワインに含まれるリンゴ酸を乳酸と炭酸ガスに分解し、ワインをまろやかにする発酵)の時間を少し長めにとることで抑えられます。それぞれの造り手のやり方は、分かりませんが、グロフィエだけでなくジュヴレ・シャンベルタンのクロード・デュガやデュガ・ピィなどの実力のある造り手は、2008年の強い酸を抑えるのに成功していると最近は感じています。
少し時間が経つと、好きな腐葉土の香りが出てきます。レ・ザムールらしい繊細かどうかは別として、果実味溢れる美味しいワインだと思います。

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最近は高くて、手が出しにくくなってしまいまいたが、2005年から2015年までのヴィンテージは、何本か購入しました。もう少し熟成して良年のグロフィエのレ・ザムールも味わってみようかと思います。

ドメーヌ・フランソワ・ベルトー  シャンボール・ミュジニー 1級 レ・ザムズール 2010

こちらは、グッドヴィンテージの2010年です。2年ほど前にバックヴィンテージとして購入。何と11K円でした。今では信じられない安さです。

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色調は、ややガーネットがたったルビー。ヴィンテージが異なるのでグロフィエとの比較はあまり意味がありませんが、左のフランソワ・ベルト―の方がやや艶があり、色合いのやや淡く感じます。縁に(下の写真では分かりにくいですが)少しオレンジがかった色が見られるものの、全体的には、若い印象です。

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一方で、香りの方は、グロフィエに比べると控えめです。抜栓直後こそ甘い香りがありましたが、直ぐに消え、その後、時間が経つとじわじわと香りがたってきます。ミネラルを伴うラズベリーアメリカンチェリー等の赤系果実、ドライハーブ、甘草。このヴィンテージによく感じるスパイス感は殆どなく、シルキーなタンニンは完全に丸く溶け込んでおり、僅かに甘さを感じます。
何かが突出している訳ではありませんが、非常に綺麗な印象のワインです。ヴィンテージからは、大きな期待をしてしまいますが、まさにエレガントで女性的というレ・ザムールの特徴を現したワインという印象です。

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こんな食事と合わせてみました。「大山どりのラタティーユソース」です。地下にワインを保管している世田谷のスーパ、信濃屋さんの定番料理ですが、ブルゴーニュ赤にすごく良く合います(手前のオリーブは自家製です)

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以上、年末に飲んだ2本のレ・ザムールの感想です。

グロフィエは、このドメーヌワインの特徴である果実味溢れるレ・アムズ―ルです。適度な熟成感も感じられ、今飲んで最もおいしいワインかと思います。

一方フランソワ・ベルト―は、香りや味付きの面では、グロフィエに少し劣りますが、繊細で優美なレ・ザムールの特徴を具現化しているワインで、エレガントという意味では、こちらに軍配が上がります。香りの面からは、もう少し熟成させれば更に素晴らしいワインになったと思われます。

(了)