Bon Vin , Bon Sake , Bon Fromage

ブルゴーニュワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒とチーズの出会いを中心に日常を綴ります。

クロ・ド・タール2006年 in 斑尾高原

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モレ・サンドニのグラン・クリュ、クロ・ド・タール 2006年です。スキーで訪れた斑尾高原タングラムのホテル・タングラムのLe Tangramのフレンチと楽しみました。

 クロ・ド・タールの畑は、グラン・クリュ街道の西側、シャンボール・ミュジニー寄り、北をクロ・デ・ランブレイ、南をボンヌ・マールという2つの特級畑に挟まれた絶好の位置にあります。標高270m~300mのなだらかな斜面に南東向きに広がる畑は、7.53haに及び、コート・ドールのグラン・クリュとしては比較的広い畑です。
土壌は、粘土石灰岩ですが、粘土質と石灰質の割合やミクロクリマにより6つの区画に分かれているようです。単独所有で一貫した管理のもと、それぞれの区画で造られたブドウから造られたワインがブレンドされることで、このワインの複雑性が生み出されています。

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 クロ・ド・タールの畑は、1911年にベネディクト派のタール修道院が単独所有を開始したことがその名前の由来になっていますが、880年もの間で、所有したのは3生産者のみになります。直近では、ネゴシアンとしても有名なモメサン家がドメーヌとして、長い間単独所有していましたが、2017年にシャトー・ラトゥールのオーナー、フランソワ・ピノー氏一族が買収して話題になりました。

1980年代から1990年代前半までの評価は、あまりぱっとしなかった記憶がありますが、1996年に醸造責任者に就任したシルヴァン・ピティオ氏が、品質向上に努め、名声が復活したようです。ピティオ氏の引退に伴い、2015年にドメーヌ・ド・ラルロにいたジャック・デヴォージュ氏が醸造責任者となり、更に評価を高めることになりました。昨年、ローヌのシャトー・グリエの醸造責任者であったアレッサンドロ・ノリ氏にバトンタッチしたようです。

デヴォージュ氏作の2015・2016年ヴィンテージは、非常に高い評価を得ています(価格も一気に上がりましたが..)

グランクリュ街道沿いに建つ結構目立つドメーヌです。ドメーヌの前には石のベンチがあり、地元の人が寛いでいる風景が見られました。

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▼畑は、ドメーヌの建物の裏手になりますが、石垣(クロ)で囲われています。石垣の奥に見える畑は、村名畑になります。

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前回クロ・ド・タールを飲んだのは、3年ほど前で、2002年ヴィンテージ(2008年に2万円で購入)です。やはり、ホテルのレストランに持ち込みました。当時は特にメモは残していませんが、素晴らしい艶のある色合いで、華やかで妖艶な香りに圧倒されたことを覚えています。これがきっかけとなり、意識して購入するようになりました。評価の高い2010年も3万強で購入できましたが、2015年、2016円は、5万円を超えてしまいました。2017年は日本ではこれからのリリースになると思いますが、7万円を超えてくるのではないかと思います。手の届かない価格になってきています。ちなみに、今回の2006年は、2年前にバックヴィンテージとして3.7万円で、購入したものです。

▼まず、白ワインをグラスで。

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たかやしろファーム&ワイナリー シャルドネ

同ワイナリーのエントリーラインのようですが、青リンゴの果実香に、意外にも結構樽香が感じられます。アフターの苦みも良いアクセントになっています。

アルプス ミュゼドゥヴァン 善光寺竜眼 2018年

塩尻ワイン」で有名なアルプスワインが善光寺産の竜眼から造ったワインです。長野県原産地呼称管理委員会認定のマークがついています。いわゆる日本のGI(地理的表示)ワインです。アロマチックでライチっぽさを感じる果実味です。樽熟成しているようですが、果実味が主体的で、樽香はそれほど目立ちません。

かつて甘く、単調という印象もあったエントリークラスの日本のワインですが、ここまで来たかという印象です。どちらも和食にも合いそうなワインです。 

クロ・ド・タール 2006年

▼ここは、ソムリエが常駐していませんが、たまたま応援で系列のホテルからソムリエが応援に来ており、その方にデキャンタージュをお願いしました。滓は僅かでしたが、ちょっと気難しさがある印象の2006年ヴィンテージをより開かせるためです。

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中心に少し黒が入った深みのあるラズベリーレッド。
デキャンタージュの効果もあり、最初から良く開いています。クランベリーラズベリーアメリカンチェリーの赤系果実。薔薇、ハイビスカスの赤い花、ドライハーブ、シナモン、甘草の甘苦のスパイス香。モレ・サンドニらしいアーシーな香りも少しまざり、複雑な香水のように溢れます。味わいのアタックは熟度を感じさせる凝縮果実と豊かな酸、タンニンは、滑らかながらやや少し芯がある感じで、完全に液体に溶け込むのは、あと数年必要と思われます。時間が経つと腐葉土やタバコといった熟成香も感じられますが、それ程強くはなく、今は、まだ熟成の入り口に立ったという印象。といっても、今飲んで十分美味しいワインです。

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2006年のブルゴーニュ赤については、結構スパイシーに感じるものに出会うことも多く、良年の2005年に比べてもタンニンが強めのように感じます(2005年は果実の甘さもありタンニンが裏に隠れているのかも知れません)がポテンシャルは高いと思います。

▼信州産柚子餅子と薫のブランマンジェ ぼたん海老のクリュスタッセ 荒クレーム和え 南信州 市田柿のクレームフランと百合根の泡

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▼蛤とカワハギのポタージュ あおさ海苔風味

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真鯛の低温調理 菊菜とフルーツのトマトのバターソース 蕎麦の実 リゾット添え

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▼国産牛のグリエ 信州の幸衣とエシャロットとオリーブのソース

この頃になると、タンニンも和らいできており、甘みも加わり、更に妖艶な香りが出てきます。

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▼最後のデザートです。

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このレストランは、数年前までスキーシーズンを中心に何回か来ていましたが、正直、料理のレベルはいまいちでした。
今回久しぶりに訪れてみて、レベルが上がっていたのは驚きでした。

クロ・ド・タール。やはり素晴らしいワインだと思いますが、真価を発するには、時間を要するワインでもあると感じています。前回の2002年と今回の2006年の間の2003年や2005年を是非飲んでみたいと思いますが、残念ながら、市場に出てくることは、殆どありません。チャンスがあれば、Getしたいワインです。

<了>

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