先日、ルショット・ジャンベルタンに近接する1級畑「クロ・デ・イサール」を飲みましたが、地図を見ていたらすぐ下に同じ1級畑の「レ・フォントニィ」の畑があることに気づきました。飲み頃と思われる2005年のジョセフ・ロティのレ・フォント二ィを開けてみました。
ジュヴレ・シャンベルタンの1級畑レ・フォントニィ(Les Fontneys)は、フェヴレイのモノポール1級畑クロ・デ・イサール(Clos des Issarts)同様、ルショット・シャンベルタンの道を隔てた北側に隣接しています。
▼写真で見るとこんな位置関係です。
リュショット・シャンベルタンの上部のクロ・デ・リュショットもクロ・デ・イサールも名前の通り石垣で囲われていますが、レ・フォントニィの畑にも石垣が見られます。分かりにくいですが、赤い矢印の先です。畑の由来は、泉を意味する”Fountain”からきているそうで、古くは岩盤の隙間から水が湧き出る場所であったことから、その名がついたようです。
レ・フォントニィは、面積3.5haほどの畑で、ジョセフ・ロティが所有する区画は、このうち、0.4haと小さく、生産本数も2500本程度のようです。この区画は、石垣の近くで、熱が溜まりやすく、熟度の高いブドウが産出されるようです。
ロティ以外にこの畑を所有している有名なドメーヌとしては、セラファン(0.3ha)、ブリュノ・クレール(0.7ha)などで、他はあまり名前を聞いたことがないドメーヌで分割所有されています。
ジョセフ・ロティ ジュヴレ・シャンベルタン 1級 レ・フォントニィ 2005年
Dom.Joseph Roty Gevrey Chambertin 1er Cru Les Fontenys 2005
ドメーヌ名になっているジョセフ・ロティ氏はロティ家の23代目(ドメーヌとしては11代目)にあたりますが、2008年に亡くなっています。跡を継いだのが、当時ドメーヌの栽培、醸造を担当していた長男のフィリップ・ロティです(フィリップ・ロティも2015年に46歳の若さで亡くなっています)
2005年はちょうど代替わりした頃で、この年に初めて、一部のワインがフィリップ・ロティの名前でリリースされています。
ドメーヌのフラッグシップは、シャルム・シャンベルタンの樹齢100年を超える古樹のブドウから造られる「シャルム・シャンベルタン・トレVV」です。かつて、1995年を飲んで感動したのを覚えています。
トロンセの樽を100%使用し、どちらかというと抽出も強く、クラシカルな造りで、熟成により真価を発揮するワインだと思います。
レ・フォントニィのブドウの樹齢は、40~60年と古樹が含まれています。
▼上が今回のジョセフ・ロティのレ・フォントニィ、下は先日飲んだ、隣の畑のフェヴレイのクロ・デ・イサールです。ヴィンテージやブドウの樹齢が違うので、正しい比較とは言えませんが、造り手によって、隣接する畑でもこれだけ色調が違います。
レ・フォントニィの方は、深みのある濃い目のラズベリーレッド。グラスの底が見えないほど濃い色調。ブルーベリー、ブラックベリー、ダークチェリー、カシス、プラム等の黒系甘酸果実の香り。ドライハーブ、胡椒、甘草、バニラ、コーヒー、シナモン。樽由来のアロマも強いが、果実の濃縮感が強く、樽香はあまり気にならない。酸もタンニンも滑らかで果実のエキスに溶け込んでいる感じ。大好きな2005年の甘露さも。熟成香はそれほど強くなく、まだまだ複雑になりそう。これは美味しい。
(4.3)
▼チーズは、上:コンテ18M、下:ブルー・ド・ジェックス( Bleu de Gex)。
ブルー・ド・ジェックスは、フランス ジュラ地方のAOPチーズです。白い部分も見られますが、全体的に少し黄色が入ったブルーチーズです。見た目はスティルトンにも似ていますが、カビは細かく、どちらかと言えば穏やかなブルーチーズです。僅かに苦みがあり、ビールにも合うと言われています。
どちらもこの濃縮感のあるワインに良く合います。
▼生マッシュルーム(オリーブオイル、パルメザンチーズ)です。
▼毎度ですが、やはり、ブルゴーニュ赤は、香ばしい炭火焼きのやきとりとの相性がベストです。
最近のブルゴーニュワインの高騰のなかで、ご多分に漏れず、このワインも最新ヴィンテージでは、2万円に近づいてしまっています。ただ、この1級ワインは、かなり前から1.5万円くらいで推移しており、グラン・クリュを除くと値上がり幅は比較的小さいような気がしています。
令和2年になってから飲んだワインとしては、グラン・クリュ含めてベストでした。
やはりジョセフ・ロティと今飲む2005年のブル赤は、外すことが少ないワインだと思います。
<了>