Bon Vin , Bon Sake , Bon Fromage

ブルゴーニュワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒とチーズの出会いを中心に日常を綴ります。

フィリップ・パカレ ジュヴレ・シャンベルタン 1erCru ラヴォー・サン=ジャック 2010年

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自然派の代表格「フィリップ・パカレ」のジュヴレ・シャンベルタン1級です。特に日本では、薄旨系として評価が高い造り手が作る良年2010年。畑も、パカレの1級の中で最も評価の高いラヴォー・サン・ジャックです。

ラヴォー・サンジャックの畑は、ジュヴレ・シャンベルタンの中でも標高が高く、渓谷(ラヴォー渓谷)の麓にあります。谷を流れる風の吹き出し口に位置するため気温は比較的冷涼で、ストラクチャーがしっかりとして、緻密さとエレガントさを兼ね備えたワインが生み出されると言われています。 

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▼2019年9月にこの地を訪れました。
石垣に囲まれた畑が、ジュヴレ・シャンベルタン1級の中で、最も評価の高い銘醸畑クロ・サン・ジャック、細い道を挟んでその西隣に位置するのがラヴォー・サンジャックです。f:id:turque1991:20200209001247j:plain

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土壌は、石灰質分が豊富に含まれる粘土石灰質です。

フィリップ・パカレは、ボジョレーの第一人者マルセル・ラピエールの甥であり、プリューレ・ロックの醸造長を務めた人物で、DRCからの醸造責任者の誘いを断って、2001年にドメーヌを立ち上げています。自然派の代表格として知られており、ビオディナミに加え、野生酵母にこだわり、醸造中にSO₂を使用しない等徹底的に自然なワイン造りに拘っている造り手です。

フィリップ・パカレ ジュヴレ・シャンベルタン 1級ラヴォー・サン・ジャック 2010年
Philippe Pacalet Gevrey Chambertin 1er Cru Lavaux Saint Jacques 2010

フィリップ・パカレのワインを初めて飲んだのは2002年ヴィンテージです。最初の印象は「薄っ」です。日本で人気が高まったのは、リアルワインガイド誌でべた褒めされたことが大きいかと思います。いわゆる「薄旨系ワイン」です。アメリカ向けを意識した強い抽出による濃い色、強い樽香とは、真逆のタイプのワインです。
その後も、何回か飲んでおり、このラヴォー・サンジャックも2010年を含め、3回ほど飲んでいます。正直、ムラがあります。しばしば、「梅しそ香・鰹出し汁」と評される薄旨の素晴らしさに美味しいと感じることもあれば、2年程飲んだ2010年のように、完全に閉じており、最後まで開くことがないワインもあります。
今回は、まさに、そのリベンジの意味で同じワインを開けてみました。

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やや淡めのラズベリーレッド。前回も同様な色調だったと思います。
閉じていた前回の教訓から、今回は、デキャンタ―ジュしました。
やはり、最初は、香りはあまり立ちません。少し時間が経つと、ラズベリーや梅紫蘇的な香りが出てきます。ドライハーブ、胡椒、バニラ、甘草。ただ樽香はそれほど強くありません。おそらく新樽率は非常に低いか使っていないかと思います。更に時間をおくと、徐々に甘みが出てきます。タンニンはシルキーで確かに薄旨系の要素はあります。僅かですがジュヴレらしい鉄っぽいスパイス感はあります、但し、ジュヴレ・シャンベルタン、特にラヴォー渓谷の影響を受ける1級畑のワインで感じる強いストラクチャー(骨格)というよりも、どちらかと言えばエレガントなジュヴレ・シャンベルタンという印象です。腐葉土的な熟成香は、あまり感じられません。

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▼料理は、中華とロールキャベツに合わせました。

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前回の終始閉じていたラヴォー・サンジャック2010年に比べると、梅しそ・出汁的な旨味は確かに感じられるワインでした。
ただ個人的に好みの1本かと聞かれれば、ちょとどうかなという気がします。あくまで個人的な思いですが、薄旨系であれば、華やかな香りと早期の熟成による熟成香(ブーケ)を期待しますが、それが、ちょっと弱い気がします。完全に開ききっていないかもしれませんが...

最近飲んだジュヴレ・シャンベルタンの中では、フェブレイの1級モノポール クロ・デ・イサール2012が近いように思います。
https://www.wine-and-cheese.net/entry/2020/02/01/003720

エレガントなジュヴレ・シャンベルタンという点では類似点があります。ただ、フェブレイの方が華やかなアロマやブーケを楽しめ、今飲むなら美味しいと感じられました。

あと、この薄旨系のフィリップ・パカレ、更に熟成させたらどうなるのかという疑問もあります。かつて2002年ビンテージに対して、劣化し始めているという評価(噂?)が流れたことがあり、これをリアルワインガイド誌が、完全否定していました。
私自身もこれは少し感じたことがあり、比較的多くストックしている2009年と2010年が今後どう熟成するのか?良い意味で予想を裏切られることを期待したいと思います。

<了>

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