ちょっと贅沢な飲み頃のシャペル・シャンベルタンです。ペロ・ミノの2006年とレアもの、クロード・デュガの2007年です。やはり、素晴らしい造り手のシャペル・シャンベルタン、性格の違いはこそあれ、どちらも美味しいグラン・クリュでした。鴨のコンフィと味わいました。
シャペル・シャンベルタンは、ジュヴレ・シャンベルタンを南北に通るグラン・クリュ街道の東側に位置します。一般にこの通りの西側が、シャンベルタン、クロ―ズ・ド・ベーゼに代表される長熟、所謂ヴァン・ド・ガルドのタイプのワインを生みだし、東側は、どちらかと言えば、豊満なスタイルのワインを生みだすと言われています。飲み頃も、早く訪れます。シャペル・シャンベルタンは、En la ChapelleとLes Gémeauxの2つのリュ―・ディから構成され、面積は、トータルでも、5.48haとそれ程大きくはありません。
ペロ・ミノ シャペル・シャンベルタン 2006年
Perrot-Minot Chapell Chambertin 2006
ペロ・ミノは、1973年にドメーヌ・アルマン・メルムがふたつに分かれて誕生したドメーヌです。あまりぱっとしなかったこのドメーヌの評価を一気に高めたのが、現当主のクリストフ・ペロ・ミノです。ブルゴーニュワインの神様、アンリ・ジャイエの薫陶を受けたクリストフのワインは、香り高く果実味豊かで、若いうちから楽しめるスタイルと言われています。
2006年はブルゴーニュ赤ワインにとっては平均的な年と評価されています。過去飲んだ経験からは、ややタニックで華やかさに欠けるワインも多い印象を持っています。
エチケットに、”PERROT-MINOT”とありますが、ドメーヌ(Domaine)がつかないのは、買いブドウによるものと思われます。
↓左がペロ・ミノです、中程度の濃さのラズベリーレッド、思ったより明るい色で下の写真からは分かりにくいですが、縁にオレンジが入っています。
ラズベリー、アメリカンチェリーの赤系果実香、薔薇、ドライハーブ、シナモン。酸・タンニンは滑らかながら、ジュヴレ・シャンベルタンの特級らしい骨格を感じさせる第一印象ですが、時間が経つと、甘みが徐々に出始め、オレンジ・ピールの香りや腐葉土の熟成香も表れてきて、まろやかで、チャーミングな味わいに変化していきます。非常に香り豊かで、同時に熟成感を楽しめるワインです。
ペロ・ミノが所有する区画は分かりませんが、南側に隣接するグリオット・シャンベルタンのワインにも少し似ているような気がします。
(4.0) 2011年に12K円で購入
クロード・デュガ シャペル・シャンベルタン 2007年
Dom. Claude Dugat Chapell-Chambertin 2007
お気に入りの造り手、クロード・デュガのシャペル・シャンベルタンです。わずか0.14haの畑から1樽ほどしか造られません。デュガは、フラッグシップのグリオット・シャンベルタンがレアと言われますが、それよりさらにレアなのが、このシャペル・シャンベルタンです。昨年バックビンテージで比較的安く入手でき、今回初めて飲みました。
2007年のブルゴーニュ赤は、全体的に日照量が少なくあまり良い年ではなかったようですが、デュガのような優れた造り手にはあまり関係ないと思われます。
結構濃い。ラズベリーレッドよりダークチェリーレッドの表現がふさわしい。グラスの底が見えません(2つ上の写真参考)。ペロ・ミノに比べると濃さは一目瞭然です。 ブラックベリー、ダークチェリー、完熟プラム等の黒系果実。甘草、グローブ等のドライハーブ、なめし皮、バニラ、コーヒーのアロマ感じるが、決して過剰な樽香ではありません。少し粉っぽいタンニン。とにかく果実味の濃縮感が強い。
(4.1) 2019年に34K円で購入
▼鴨のコンフィ。濃いめのブルゴーニュ赤とのペアリングは、最高です。
チーズは、イギリスのポートワインダービー。チェダーチーズにポートワインを練りこんだセミハードチーズです(ポートワインというより、ブルベリーリキュールのようです)。あと、ボーフォール、コンテ18M、ブルー・ド・ジェックス。ボーフォールとコンテ18Mは、結構旨味が強く濃厚なので、ペロ・ミノにはやや勝ってしまいますが、他の組み合わせの相性は悪くはありません。
同じシャペル・シャンベルタンですが、造り手によってこれほど違うのかということを実感できた飲み比べです。もちろんヴィンテージも違いますが、それ以上に造り手の差が大きいと思います。
ペロ・ミノのグラン・クリュは今回初めて飲みましたが、意外にも、柔らかく、エレガントな印象でした。適度な熟成感を楽しめる今飲んで最高に美味しいグラン・クリュだと思います。
クロード・デュガのシャペルは、期待通りでした。オフ・ヴィンテージながら、いつもどおりの濃い抽出からの豊かな果実味と熟成による複雑さが感じられるグラン・クリュでした。贅沢を言えばもう少し甘露さが欲しかったところです。今でも十分美味しいですが、あと数年寝かせても面白かったかもしれません。極少の生産量なので、次に飲めるのがいつになるのか分かりませんが...
<了>