Bon Vin , Bon Sake , Bon Fromage

ブルゴーニュワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒とチーズの出会いを中心に日常を綴ります。

日本のナチュラルチーズと愉しむ王祿

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先日に引き続いて、島根の「王祿」をチーズと愉しみました。王禄は、最もスタンダードな純米酒「本生」とややレアな「直汲み」です。チーズは、日本のナチュラルチーズ2種。「酒粕クリームチーズ」と共同学舎の「さくら」という少し変わり種のチーズです。

王禄は、1本の仕込みタンクから5種類の酒を取り分けています。☆の数が多いほど、取れる量が少なく希少な酒です(裏ラベル表記より)
 中取り☆☆☆☆☆ 
 直汲み☆☆☆☆ ⇒今回飲んだもの
原酒限定☆☆☆ ⇒前回飲んだ春季限定酒
  生詰☆☆ 
  本生★ ⇒今回飲んだもの

↓前回の王祿の記事はこちら
https://www.wine-and-cheese.net/entry/2020/02/08/000946

この記事で触れましたが、王祿は生酒のまま1年以上熟成させるので、保管条件が厳しく、特約店は限られます。今回も、目黒区五本木の「ますもと」さんからの購入です。

店内には、こんな王禄専用冷蔵庫があり、-5℃に保たれています。 

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通常の冷蔵庫で、マイナス5℃の保管は難しいので、購入後はできるだけ早く飲むことが求められます。開栓後は、3日程度で飲み切るのが望ましいようです。

超・王祿 無濾過本生 BY2018


米:富山県五百万石100%、精米歩合:60%、アルコール分:15.5%
日本酒度:+9.0、酸度:2.1

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僅かに黄色がかっている。生酒らしいメロンや桃の果実香は感じるものの、それほど華やかな香りではない。最初に甘さを感じるが、直ぐにクリーミーな酸味と旨味が広がり、余韻に苦みが感じられる。余韻は、それほど長くない。少しとろみも感じるが、前回飲んだ無濾過生原酒(春季限定)ほどインパクトや重さはなく、比較すれば、こちらの方が淡麗辛口。

もちろん原酒/加水の違いはあるが、生原酒が山田錦100%に対して、こちらは五百万石100%という原料米の違いも出ているように思われます。

続いて、超・王禄「直汲み」です。

超・王祿 無濾過直汲 BY2019


米:富山県産五百万石100%、精米歩合:60%、アルコール分:17.5%
日本酒度:+8.2、酸度:2.7

「直汲み/じかぐみ」は、上槽(醪を搾って酒と酒粕に分ける作業)の際に、搾りたての酒をその場で瓶に詰めたものです。極力空気に触れさせないことで酸化を防ぎ、フレッシュな風味を保つことができます。

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開けたては微発泡が感じられます。スパイシーさも感じられる辛口タイプですが、特に酸度2.7の数字が示すように酸が際立っています。ただ、原酒でもあり少しオイリーっぽい旨味も結構感じられます。かなり個性が強いので、好き嫌いの出るタイプだと思いますが、加水している本生と飲み比べてしまうと、本生の方が可哀そうなくらいあっさりした日本酒に感じてしまいます。日本酒に限ったことではありませんが、お酒の飲み比べをする際に、先にアルコール度数の高いお酒を最初に飲むのはNGです。

▼チーズとの相性です。

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前回は、全てフランス産のナチュラルチーズでしたが、今回は国産チーズ2種です。
1つ目は、酒粕に漬け込んだクリームチーズ信濃屋のオリジナル)です。もう1つは北海道上川郡の共働学舎新得牧場の「さくら」です。

↓以前、食べた共働学舎新得牧場の「コバン」です。
https://www.wine-and-cheese.net/entry/2019/05/14/234829

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▼名前の通り、桜の葉と桜の花が貼りついています。白カビっぽく見えますが、ジオトリカムと呼ばれる酵母の一種で表面が覆われたソフトタイプのチーズです。内部は白く中心近くは、やや水分の少ないカッテージチーズっぽいテクスチャーです。

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辛口の王祿との相性です。

酒粕×クリームチーズ

滑らかながらむっちりした食感。甘く、チーズケーキのような風味。アルコールっぽさはあまり感じられません。酒粕が浸み込んでいるチーズなので、当然ながら相性は良いはずですが、どちらかというと辛口淡麗の日本酒ではなく、甘口の日本酒との相性が良さそうです。今回の2本との相性でいえば、「本生」の方は、チーズの個性の方が勝ってしまい相性はいまいちに感じられますが、酸や旨味のインパクトの強い「無濾過直汲」の方は、結構合います。

さくら

こちらは、穏やかな風味で、塩味、酸味は控えめで非常に優しいチーズです。さくらの葉の香りがアクセントになっており、日本酒との相性は〇です。もっとも、白ワインでも、さらに紅茶にも合うチーズだと思います。国産の白カビチーズは結構ありますが、ジオトリカムで覆われたチーズは、あまり見たことがありません。なによりも桜の葉で覆われたチーズは、国産ならではのチーズだと思います。見た目含めて、面白いチーズだと思います。

▼海鮮カルパッチョです。

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これは、最高に合います。おそらくどんな白ワインでも太刀打ちできないと思ってしまうような相性の良さです。

▼アボガドまぐろ。これもGoodです。

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やはりこの日本酒は、生鮮魚貝類との相性が抜群のようです。

超・王祿で最もレアな「中取り」は、2月末~3月頭位に出るようなので、是非入手して味わってみたいと思います。

<了>