古風な造りで 飲み頃の判断が難しいヴォルネイのドメーヌ、ミシェル・ラファルジュです。何故か最近、正規インポータもののバックヴィンテージが市場に出回りました。そのなかから、まず、ボーヌ・1erCru・レ・ゼグロ 2005年を飲んでみました。
ヴォルネイの地で自然体に徹したワイン造りを行うこのドメーヌの設立は19世紀の初めに遡ります。1930年代には既に元詰めに取り組んでおり、1960年には全量元詰めしています。1949年に父の後を継いだ現当主ミシェル・ラファルジュは、既に80歳を超えており、実質は、息子のフレデリックが栽培から醸造まで取り仕切っていますが、今なおドメーヌの顔であり続けています。
ドメーヌが所有する畑は計12haで、お膝元のヴォルネイに1級畑のクロ・デュ・シャトー・デ・デュック(モノポール)、クロ・デ・シェーヌ、カイユレ、ミタンを所有しています。
ブドウ栽培においては、2000年に完全ビオディナミに転換していますが、ワイン醸造は古典的で、赤は完全除梗ながら、フルーティで濃い色のワインを造り出す低温マセレーションを意識的に行うことはせず、13~18時間発酵。新樽の比率は極めて低く、トップキュヴェでさえ15%程度のようです。
一般的に、ヴォルネイというと女性的というイメージがありますが、ここのヴォルネイはしっかりとした骨格をもつ長期熟成形のワイン(ヴァン・ド・ガルド)として知られています。
札幌にミシェル・ラファルジュのオールド・ヴィンテージを多数保有しているワインショップがありますが、2年程前に聞いたところ、2005年のヴォルネイ1級はまだ飲み頃に達しておらず、逆に2009年を勧められて購入したことを覚えています。何度か飲んでいますが、やはり飲み頃の判断が難しいワインです。
今回の、ボーヌの1級畑、レ・ゼグロですが、ジョセフ・ドルーアン所有で有名なクロ・デ・ムーシュに隣接しています。下の写真は、クロ・デ・ムーシュですが、ボーヌの中でやや標高の高いところに位置しているのが分かるかと思います。
ミシェル・ラファルジュがここの畑を手に入れたのは、まさに今回のヴィンテージの2005年のようです。
ミシェル・ラファルジュ ボーヌ 1級 レ・ゼグロ 2005年
Michel Lafarge Beaune 1erCru Les Aigrots 2005
結構濃いめラズベリーレッド。周囲に僅かにオレンジ。ラズベリー、ダークチェリーの赤系果実にブラックベリー等の黒系果実が混ざる。甘草、ハーブ、黒胡椒、シナモン、タバコに、腐葉土のアロマ。しっかりとした、しかし過剰ではない酸。タンニンは果実に溶け込んでいる印象。このワインに限らず、ラファルジュのワインは結構滓が多いようです。
(3.6)
娘の手作り餃子と鍋に合わせました。骨格を感じさせるラファルジュの赤と餃子との相性は悪くありません。
今回の2005年のラファルジュ、香りもまずますで、流石にガチガチな感じではなく、飲み頃には達していますが、まだまだ熟成しそうな感じです。おそらく、さらに5年くらい経つと、獣香的な妖艶な香りが加わるのではないかと思われます。
やはりこの造り手のワインは、長期の熟成を経て真価を発揮するタイプのようです。
<了>