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ブルゴーニュワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒とチーズの出会いを中心に日常を綴ります。

ミシェル・ラファルジュのヴォルネイ1級2003年&2005年飲み比べ

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ミシェル・ラファルジュのヴォルネイ1級2003年クロ・デュ・シャトー・デ・デュック(モノポール)と2005年レ・ミタンです。ヴァン・デ・ガルド(長熟型のワイン)と言われるミシェル・ラファルジュのワインですが、そろそろ飲み頃とも思われる2本を飲み比べてみました。

 19世紀初めにヴォルネイの地に設立されたこのドメーヌは、1930年代には既に元詰めを始め、2000年には、100%ビオディミに転換するなど、過去、ワイン造りに先進的な取り組みを行っています。しかし、醸造に関しては、完全除梗ながら、低温マセレーションを意識的に行わず、14~18時間の発酵、極めて低い新樽率(15%以下)による古典的な手法により、長い熟成期間を経て真価を発揮するワイン造りを行っています。

ドメーヌ当主として、長年にわたり、この手法で素晴らしいワインを造り出してきたミシェル・ラファルジュ氏は、今年1月に亡くなり、現在は、息子のフレデリックがドメーヌを引継いでいます。

ヴォルネイに所有する4つの1級畑を含め、21haの畑を持ち、その中で唯一のモノポール(単独所有畑)がクロ・デュ・シャトー・デ・デュックという畑です。似たような名前でクロ・デ・デュックという畑がありますが、こちらは、ドメーヌ・マルキ・ダンジルヴィーユの単独所有畑です。
マット・クレイマーの「ブルゴーニュワインがわかる」という本の中で、”クロ・デュ・シャトー・デ・デュックを鬱蒼たる木立ちに例えるならば、さだめしクロ・デ・デュックは繊細をきわめる羽衣だろう。だがどちらにも畏れに似た心もちがわく”と評して比較しています。

▼クロ・デュ・シャトー・デ・デュックはドメーヌ(★印)の裏手に広がる畑で、家屋と名前が示す通り石垣(クロ)に囲まれた、砂利の多い暖かなミクロクリマです。

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ドメーヌ・ミシェル・ラファルジュ ヴォルネイ 1級 クロ・デュ・シャトー・デ・デュック 2003年
Domaine Michel Lafarge 2003 Volnay 1er Cru Clos du Chateau des Ducs

ブルゴーニュの猛暑の年、2003年ヴィンテージです。2003年のワインに関しては、何度か取り上げていますが、生産量のせいか、今でもしばしばバックヴィンテージが出てきます。2015年や直近3年のブルゴーニュも非常に気温が高かったことで知られていますが、最近は、造り手がこのような高温の気候に慣れたせいか、ダレたワインが出来ないように収穫時期等で酸をコントロールしているようです。しかし、こと2003年に関しては、突然の猛暑に対応できなかったせいか、酸が少なく甘いブルゴーニュワインが散見されます。
加えて、この畑のように、家屋や石垣に囲まれたクリマは、一層の高温になることが予想されます。すなわち、この年のこの畑のワインは、酸が少なく甘いと予想されますが、実際は、如何に?

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全体的にレンガがかったラズベリーレッド。抜栓直後にブショネっぽい嫌な香りが一瞬あったものの、スワリングすると、直ぐに消え、ダークチェリー、完熟プルーンの黒系果実。湿ったスーボワの香り、タバコ、紅茶、キノコ、リコリス、ドライハーブ、東洋スパイス。スーボワの香りは徐々に腐葉土っぽい香りに。意外に酸はしっかりしており、甘みはそれほど目立っていない。タンニンは完全に溶け込んでいる印象。

初日の印象は、2003年らしくない(?)酸を感じさせますが、2日目は、よりタバコっぽい香りが強くなるのと同時に、酸よりも甘みがやや目立ってきました。

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ドメーヌ・ミシェル・ラファルジュ ヴォルネイ 1級 レ・ミタン 2005年
Domaine Michel Lafarge 2003 Volnay 1er Cru Les Mitan


こちらは、良年の2005年ヴィンテージです。大抵のブルゴーニュワインは、飲み頃をむかえています。

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やや濃い目のラズベリーレッド。全銘柄と2年の違いですが、明らかに若々しい色をしています。ラズベリーアメリカンチェリー、ブラックベリーの赤黒系果実香が優勢で薔薇、ドライハーブ、なめし皮、鉄っぽい土の香り。酸が結構しっかりしているおり、甘みはあまり感じない。タンニンはきめ細かく、余韻もそこそこ長い。

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▼濃いめのワインには、スペアリブと鴨の焼き鳥が良く合います。

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畑の違いこそあれ、同じ15年以上の熟成のプルミエ・クリュで、僅か2年の生産年の違いですが、ビンテージの性格を明確に感じる2本でした。
2003年のクロ・デュ・シャトー・デ・デュックは、猛暑のヴィンテージに、熱のこもりやすいクリマながら、甘くダレたワインにはなっておらず、やはり、その点はこの造り手の力量を感じさせます。ただ、やはり酸は強くない分、熟成は早く進んでいます。上記の写真ののとおり瓶にはかなりの滓が見られます。熟成ピークから少し落ち始めるタイミングのように感じます。
2005年のミタンは、良年らしく、濃縮した果実味と酸がしっかり感じられるワインです。ただ2005年のワインに見られる甘露さや妖艶な熟成香は現時点ではあまり感じられません。飲み頃に入っていることは間違いないと思いますが、本領を発揮する熟成のピークはもう少し先のような気もします。
いずれにせよ、やはり晩成型のワインであることに間違いないようです。

ドメーヌのフラッグシップのクロ・デ・シェ―ヌの2015年の評価が高かったので、最近購入しましたが、飲み頃がいつになるかと考えると、ちょっと気が遠くなります。

<了>

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