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ブルゴーニュワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒とチーズの出会いを中心に日常を綴ります。

ちょっとプレミアムなブルゴーニュ・レジョナル 2015年飲み比べ

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5千円オーバーのちょっと贅沢なブルゴーニュ・レジョナル(A.C.ブル)赤を飲み比べました。造り手は、ジャン・マリー・フーリエ、セラファン、そしてレアもののシルヴァン・カティアール。ヴィンテージは、いずれも良年の2015年です。

軒並みに高騰の波に乗ってしまっている昨今のブルゴーニュワイン、有名ドメーヌのグラン・クリュやプルミエ・クリュは、手の届かない価格になりつつありますが、比較的手頃なのが、ブルゴーニュ・レジョナル(所謂A.C.ブル)のワイン。必ずしもドメーヌの特徴を反映したワインではないという声もしばしば聞きますが、少なくとも高品質で評価の高いA.C.ブルを産出しているドメーヌは、優れたドメーヌであることは言えるかと思います。一般的には、3~4千円台というのが、妥当な価格かと思いますが、5千円を超えるようなプレミアムなA.C.ブルも存在しています。多くは生産量が極めて少ないという需要と供給のバランスを背景に持つものですが、それだけ価値があるのかを知りたくなります。

ということで、好みのドメーヌの中から5千円オーバーのA.C.ブル3本を飲み比べてみました。

家のみで1日3本はとても飲みきれないので、コラヴァンを使用して3日掛けて飲み比べました。細いワインでボトル内に空気を入れず、アルゴンガスで封印するコラヴァンは確かに劣化防止には最適な道具だと思いますが、劣化はともかくワインに全く影響を及ぼさないという影響ではないと感じています。コルクによっては、横にすれば漏れも発生することがあり、宣伝文句のような過度の期待は禁物ですが、1週間程度使用する分には、最適な酸化防止ツールだと思います。

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まず、人気のフーリエから。

ドメーヌ・フーリエ ブルゴーニュピノ・ノワール 2015年
[2015] Domaine Fourrier Pinot Noir 

ジャン・マリー・フーリエが行った2016年の醸造設備更新をきっかけに品質が向上し、2007年ヴィンテージがメディア(ワインリアルガイド誌)で絶賛されたことから、大ブレーク、2009年以降価格が高騰し、手を出しにくい存在になってしまったドメーヌです。品質と価格が釣り合わなくなってしまったことと、ネゴシアンに手を出して品質が落ちたという理由で、ベタ褒めだったリアルワインガイド誌は、愛想を尽くしたのか、最近は掲載を取りやめています。

現在は、村名やプルミエ・クリュは、高値のまま、売れ残っているケースも目立ちますが、このA.C.については、以前ほどでないにせよ、結構早く完売してしまうようです。

ドメーヌものと思い込んでいましたが、実際はネゴシアンもの(買いブドウ)のようです。
しかしながら価格は、6千円台と高価です。ただ、高騰してしまった村名やプルミエ・クリュに比べると相対的な格安感はあるようです。

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少し暗めのラズベリーレッド。薄旨と評されることも多いですが、必ずしもそうとは思いません。下の写真ではわかりにくいですが、濃さについてはそれほど薄い訳ではありません。ただ、今回の3本を比較すると、最も淡い色調です。ラズベリーアメリカンチェリーの赤系果実。薔薇、ドライハーブとスパイス。酸は豊か。タンニンはそこそこ主張するが、初日のファーストアタックとしては、3本の中では最も柔らかく感じる。
2日目は、やや甘味が出てきて、より近づきやすいワインに。3日目は、若干の清涼感。甘酸にあまり変化はないが、収斂性が強いわけではないが、タンニンは意外にはっきり感じられる。

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▼ハーブ入りソーセージと。

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ドメーヌ・セラファン・エ・フィス ブルゴーニュ 2015年
[2015] Domaine Serafin et Fils Bourgogne

ジュヴレ・シャンベルタンの好きな造り手のひとり、ドメーヌ・セラファンです。

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ここのA.C.ブルゴーニュは、生産量が比較的多く主力のジュヴレ・シャンベルタンやジュヴレ・シャンベルタンV.V.に比べて目にすることが少ないワインです。
ジュヴレ・シャンベルタン村の国道の東側のプレソニエ(Pressoniers)やプルニエ(Pruniers)といった畑で、その面積はわずかに0.4haということで、生産量は多くありません。樹齢は40年ほど、約70%を除梗、新樽比率は、A.C.ブルとしては多めの50%のようです。価格は5千円台前半でした。

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フーリエに比べて僅かに濃い色調。より熟した果実の凝縮とA.C.ブルにしてはシッカリした骨格を感じるが、ややスパイシーな面も。50%の新樽比率であるが、決してオーキーな感じではない。2日目になると、タンニンは少し丸く感じられるようになり、甘みや旨味も出てくる。酸、甘み、タンニンのバランスが調和が取れている印象。

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ドメーヌ・シルヴァン・カティアール・エ・フィス ブルゴーニュ ルージュ 2015年
[2015] Domaine Sylvain Cathiard et Fils Bourgogne Rouge

ヴォーヌ・ロマネのカリスマ的存在のドメーヌです。
▼後ろに見えるジョルジュ・ノエラと対象的で、ドメーヌの看板は無く、郵便受けの所に小さな表札があります。

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ドメーヌ・シルヴァン・カティアール・エ・フィス ブルゴーニュ 2015年
[2015] Domaine Sylvain Cathiard et Fils Bourgogne


生産量の関係もあり、とにかく高価なうえに、手に入れ難いワインです。ネットショップを覗いても、2万円台の村名と3万~5万円のプルミエ・クリュが並びます。A.C.ブルはほとんど見つからず、最新ヴィンテージの1.7万のものが売れ残っているだけのようです。間違いなく極めてレアなA.C.ブルだと思います。ちなみにこのワインは、某実店舗で8千円ほどで入手したものです。2015年は特に人気で、このA.C.ブル2本とヴォーヌ・ロマネ村名1本(1.7万)のみの入手でした。

調べてみると、ヴォーヌ・ロマネとクロ・ヴージョの間にあるフラジェ・エシェゾー村に1987年に植樹されたブドウからのようです。面積は、0.27haと極小です。100%除梗、ここの新樽比率は、村名で50%ですが、このA.C.ブルは、不明です。

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セラファンに比べても黒っぽい色調で少し紫を残した艶のあるガーネットに近い色調。ブラックベリーの黒系果実。ドライハーブや黒胡椒のスパイス感。濃い色調ですが、タニックでオーキーな感じはなく、熟した果実の凝縮感がこの色に出ている印象です。酸に明らかな上質感があり、タンニンは主張はあるもののきめ細かく、やはり上質に感じます。

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▼セラファン(左)とシルヴァン・カティアール(右)の色調の違い

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ちなみにシルヴァン・カティアールのネック部分には、最近高価なワインに採用されつつある偽造防止用のプルーフタグ(prooftag)が付けられています。

試しに読み込んでみると、照合用のイメージが現れます。実際のラベルが横向きで、スマホに現れるイメージが縦なので、最初は間違えてしまいました。間違えると一定時間アクセスできなくなります。

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照合OKだと、以下のページが現れます。ドメーヌの紹介と銘柄が表示されますが、最後に経由しているインポータ名(TOYOTA TSUSHO)も書かれています。

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以上、2015年のプレミアムなA.Cブル飲み比べでしたが、A.C.ブルとは言え、流石に良年の2015年ヴィンテージだけあって、開けるのが少し早かったかなという印象です。高価なA.C.ブルなので、もう少し複雑さや熟成感が出てから飲みたかった気がします。いずれも、熟成のポテンシャルを持ったワインだと思います。

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フーリエのネゴシアンものですが、この造り手の特徴である柔らかさは感じられるもの、前回飲んだ2010年ほど外交的なワインではありませんでした。よく言われる「フーリエ香」も正直ドメーヌの村名や1級ものほど感じられません。6千円台の価値があるかはちょっと?です。少し頑張ってジュヴレ・ジャンベルタンV.Vに手を出した方が賢明かと思います。

セラファンは、ジュヴレらしい骨格感を感じますが、やはり、村名や村名V.V.に比べると差は感じてしまいます。ただ、このドメーヌのワインは、10年近い熟成により真価を発揮すると思うので、心理的にどうしても早く飲みたくなってしまうA.C.ブルをリピートすることはおそらくないと思います。

最後にシルヴァン・カティアール。価格に惑わされている訳ではありませんが、やはり、他の2本に比べ上質感があります。深みのある凝縮果実と綺麗な酸と上質なタンニン。更なる熟成で、熟成感が出てくれば最強のA.C.ブルになるかと思います。価格はともかく、レア度は半端なく、バックヴィンテージの入手はまず不可能なので、手頃なものが見つかれば買いですが、忍耐の必要なワインだと思います。

良いA.C.ブルは、その造り手の代表的な村名やプルミエ・クリュのワインの特徴が反映されたもので、その上級ワインの特徴が想像できるようなワインだと思っています。
その意味で、トロ・ボーやベルトラン・アンブロワーズ、アルロー等のドメーヌのA.C.ブルは秀逸かと思います。

最近ほとんど見かけなくなってしまったルロワのA.C.ブルは、ネゴシアンものとは言え、特筆ものです。

最後に、一緒に飲んだカミさんのひとこと感想。
フーリエ:柔らかくて飲みやすい、セラファン:結構スパイシー、シルヴァン・カティアール:一番深みがある
でした。

<了>