DRCのラ・ターシュと地続きで接し、ロマネ・コンティと道を隔てて隣り合うという最高のテロワールをもつフランソワ・ラマルシュの特急畑ラ・グラン・リュ。ヴィンテージは、2006年です。
ラ・グラン・リュは、 2015年と2019年にヴォーヌ・ロマネ村に泊まった際に、何度も周りを歩きまわった、個人的に非常に思い入れのある畑です。
▼(右)ロマネ・コンティと(左)ラ・グラン・リュを隔てる舗装路です。ロマネ・コンティの畑には、道路に面した側は、全て石垣で覆われていますが、ラ・グラン・リュも低い石塀でほぼ囲われています。
▼上部から見るとこんな感じです。中央左に縦に長いラ・グラン・リュの畑です。夕方なので上部の西側に太陽が沈み、山の影ができます、中央右は、DRCのラ・ターシュです。左端の畑が、ロマネ・コンティとロマネ・サン・ヴィヴァンです。
▼裏ラベルの地図。赤矢印が撮影方向です。
▼グラン・リュのブドウです。隣のロマネ・コンティに比べると、1本の樹に比較的多く実がなっています(2019年)
ドメーヌ・フランソワ・ラマルシュ ラ・グラン・リュ 2006年
[2006] Domaine Francois Lamarche La Grande Rue
DRCのラ・ターシュとロマネコンティに挟まれた東西約300メートル、南北約50メートルの細長い矩形の面積1.7ha弱ほどの単独所有畑(モノポール)です。樹齢は約35年で、この畑は、1992年にプルミエ・クリュからグラン・クリュに格上げになっています。
ドメーヌのワイン造りは、実質的にフランソワ・ラマルシュの長女ニコル・ラマルシュに任されていますが、この世代交代にともなう改革で、2010年頃以降から飛躍的に品質が向上しており、現在は極めて高い評価を得ています。このニコルが全面的にワイン造りを任されたのが2006年とのことで、このワインは、まさに彼女の手によるファーストヴィンテージとなるようです。
中程度の濃さのラズベリーレッド。縁に僅かにレンガっぽい色合いもみられるが、枯れた感じは全くない。ファーストアタックに、少しロースト香を感じるが、暫くすると、ラズベリーやアメリカンチェリーの甘酸っぱい赤系果実の香りが支配的になり目立たなくなる。ただし、最初はそれほど華やかな香りではなく、ドライハーブや森の下草、スパイス、さらに少し肉っぽさも感じる複雑な香り。タンニンは液体に完全に溶け込んでおり滑らか。ベリー系の果実香に加えて赤い花の香りは時間とともに華やかになり、1時間もすると全開になり、最後は、お花畑状態でした。
(4.1)
1年ほど前に、ホテルのレストラン持ち込みで2009年のラ・グラン・リュー(→こちら)を飲みましたが、ヴィンテージ的に力強さは感じられるものの、ややタンニンが粗いのが少し気になっていましたが、今回の2006年は、柔らかく、華やかなグラン・リュでした。 おそらく本来の熟成したラ・グラン・リューの姿かと思います。
▼このワインには、子羊のラムチョップと合わせました。
味付けは、塩、胡椒と香草のみ。
ラム特有の臭みはなく、柔らかく、少し甘く感じられる肉質によく合います。
やや硬い印象を持っている2006年ヴィンテージのワインですが、これは、年月を経て、華やかに開いたグラン・クリュでした。
ラマルシュのエチケットは、2011年からデザインが変わっていますが、この旧デザインのラベルのワインは、これでストックが無くなりました。2009年のグラン・リュ以外に2005年、2009年、2010年とスショやマルコンソールを飲んで、概ね好印象でしたが、ややバラツキも見られました。エチケットデザインの変更とともに大きくブレイクしたラマルシュですが、残念ながら値段も年々高騰しています。今回の2006年は、2万円で購入できましたが、限りなく10万円に近づいた最近のラ・グラン・リュは、ちょっと手が出なくなってしまいました。バックヴィンテージが殆ど入手できないワインなので、そろそろ飲み頃の入り口に入ったストックを時間を掛けて愉しみたいと思います。
<了>