ヴォルネイの名門ドメーヌ・プス・ドールのジャラール・ポテル氏の息子ながら、ドメーヌを引き継ぐことなく、1997年に自らの名前を冠したネゴシアンを立ち上げた二コラ・ポテル氏。一世を風靡し、僅か10年ほどの間に多くのワインを産出したメゾン・二コラ・ポテルのラトリシエール・シャンベルタン、良年の2005年ヴィンテージです。
ジュヴレ・シャンベルタン村の南、モレ・サンド二村に近いグラン・クリュ、ラトリシエール・シャンベルタンは、グランクリュ街道の上部、滑らかな斜面に広がり、北はシャンベルタンに接するロケーションにあります。
二コラ・ポテル ラトリシエール・シャンベルタン 2005年
[2005] Nicolas Potel Latricières-Chambertin Grand Cru
シャンベルタンと隣合わせという絶好のロケーションにも関わらず。そのワインは、軽めで女性的と評されています。マット・クレイマーの「ブルゴーニュワインがわかる」の中で、「高名な隣地にできるワインとはおおよそ似ていなくて、驚かされる。ラトリシエールはきまって軽く、熟成がすみやかで、シャンベルタンやクロ=ド=ベーズ、マジほどの充実感がとぼしい。ブルゴーニュの理論派のあいだでは、クロ・ド・ラ・ロシュがラトリシエールに交替すればいい、といわれる」といった表現で酷評しており、「ラトリシエールにつらなる一級畑オー・コンボットとくらべてみるほうが有意義だろう」と評しています。ロケーションに反して、結構、虐げられたグラン・クリュのようです。地形的には、上部近くの渓谷からの冷風の影響を受けていると思われます。
少しガーネットがかった中庸なラズベリーレッド。
カシス、ラズベリー、アメリカンチェリーの完熟した赤黒フルーツ。薔薇やドライハーブ、シナモン、ナツメグ、甘草の甘苦い香り、スーボワや腐葉土、紅茶の熟成ブーケ、味わいの酸は中庸でタンニンは意外に円やかで、きめ細かい。ジュヴレ・シャンベルタンのグランクリュの骨格はあまり感じないが、これはこれで今飲んで美味しい。
(3.8)
昨年末に全く同じワインを飲んでいますが、印象はかなり違いました。以前飲んだものは、ジュヴレらしい骨格や鉄分の感じられるワインだったものの、香りはやや閉じた印象で、今飲んで美味しい外交的なワインではない印象でしたが、こちらは、グラン・クリュの風格はともかく、2005年らしい華やかさと甘露さ、更に熟成感が感じられる1本でした。購入時期も保存環境も異なっていることはありますが、やはりワインは生き物といわれる所以かと。
▼定番のコンテ18M、フルムダンベールにオッソー・イラティ、羊乳のコクがたまりません。どれも旨味があり、濃厚すぎず、ミディアムボディの赤によく合います。
▼メインはステーキで。
二コラ・ポテルのワインは、以前から結構飲んでいますが、唸るほど印象に残ったものはあまり無かったのですが、この1本は、個人的には、過去に飲んだ二コラ・ポテルの中では最良の部類に入るワインだと思います。