プレモー・プリセ村に拠点を置くドメーヌ・ジャン・ジャック・コンフュロン。そろそろ飲み頃の入り口に入った2012年のニュイ・サン=ジョルジュの2つの1級畑を飲み比べてみました。
ジャン・ジャック(J.J.)・コンフュロンは、かつてのブルゴーニュの超名門、シャルル・ノエラの系譜にあるドメーヌです。シャルル・ノエラは、あのアンリ・ジャイエとも比較される程の偉人です。といっても、残念ながら、シャルル・ノエラ作のワインは、飲んだことはありません(現在市場に出ている、シャルル・ノエラは、ネゴシアンであるセリエ・デ・ウルシュリーヌが商標を引き継いでリリースしているワインです)
シャルル・ノエラのドメーヌは1988年にルロワに買収されていますが、一部の畑は、このジャン・ジャックの妻である孫娘が嫁いだこのドメーヌともう一人の孫娘が嫁いだヴージョのアラン・ユドロ・ノエラに受け継がれました。
その代表的な畑が、ロマネ・サン・ヴィヴァンであり、J.J.コンフュロンのフラッグシップになっています。
J.Jコンフュロンは既に亡くなっており、現在は、娘のソフィーと夫のアラン・ムニエがドメーヌを運営しています。
今回飲み比べたのが、J.Jコンフュロンがニュイ・サン=ジョルジュの2つの1級ワインです。ニュイ・サン=ジョルジュのブドウ畑は、南のプレモー・プリセ村を含めて南北6.5kmに渡っており、土壌により異なる特徴を持っています。
ニュイ・サン=ジョルジュ村の中心(ボーヌほどではありませんがそこそこ大きな街です)の南部に広がる畑は、銘醸畑であるレ・サン=ジョルジュを頂点に、力強く長熟なワインと生み出すことで知られており、北側、特にヴォーヌ・ロマネ近い畑は、華やかで芳醇なワインを産出することで知られています。
ジャン・ジャック・コンフュロン1級 レ・シャブッフ 2012年
[2012] Jean-Jacques Confuron Nuit-Saint-Georges 1er Cru Les Chaboeufs
ニュイ・サン=ジョルジュの南側に位置する3大銘醸畑のうち、レ・ヴォークランとレ・カイユに接する恵まれた位置にある1級畑。完全除梗で、低温マセラシオンは4日程度で過度の抽出を避ける造りのようです。新樽比率は、1級で50%。
それほど濃くはない輝きのあるラズベリーレッド。レッグはやや長め。
ラズベリー等の赤いベリー香もあるが、よりチェリーっぽい甘やかな香り。樽からのロースト香がやや強めに感じる。ドライハーブやハイビスカスに冷涼さを感じさせるミント。甘酸のバランスが取れたアタック。凝縮した果実味はあるがやや軽く感じる。タンニンは丸く柔らかい。ふくらみのある酸を感じる余韻はやや長め。
(3.1)
ジャン・ジャック・コンフュロン1級 オー・ブドー 2012年
[2012] Domaine Jean-Jacques Confuron Nuit-Saint-Georges 1er Cru Aux Boudots
マルコンソールの隣接するヴォーヌ・ロマネ寄りの有名な1級畑です。気品を備えた女性的なワインを生み出すと言われています。
シャブッフよりも濃く深みのある色調。
ラズベリー、ブルーベリー、ダークチェリーの赤黒系果実の香り。甘草、ヨード、なめし皮、ドライハーブ、牡丹の花。やや酸度は低く、ビロードのような滑らかなタンニン。シャブッフに比べより骨格感、グリップ感のある味わい。艶っぽく複雑に感じられる。余韻も長い。
(3.5)
▼左がレ・シャブッフ、右がオー・ブドー。明らかにブドーの方が濃い色調。
▼豚の角煮と大根がよく合います。
▼スペイン産のロースステーキ。かなり厚いロースですが、低温調理(65℃2時間)で柔らかく美味しく味わえました。
J.Jコンフュロンの同じヴィンテージの1級畑2本の飲み比べでしたが、畑の特徴から予想したのとはかなり異なる評価になりました。専門誌の評価も価格もほぼ同じ2本ですが、今回の好みはオー・ブドーです。意外にもやや軽く感じたレ・シャブッフの比べて、オー・ブドーの方は、ヴォーヌ・ロマネの艶のある華やかさを持ちつつも、ニュイ・サン=ジョルジュの力強さを兼ね備えた1本でした。
あらかじめ知識を持って、比較すると往々に先入観に捉われてしまう傾向がありますが、これほど逆な印象だったのは珍しいかと。
何故か、2012年のJJコンフュロンには、入れ込んでいたようで、ロマネ・サン・ヴィヴァンやクロ・ヴージョ、ヴォーヌ・ロマネのレ・ボーモンも購入していましたが、今回の様子からグラン・クリュは、まだまだ早いかと感じています。少し辛抱し、熟成を待って味わいたいと思います。
<了>