少し大きめのロブスター(ボイル)が手に入ったので、生牡蠣とともに白ワインと味わいました。最近お気に入りのマールボロのソーヴィニヨン・ブラン、ドック・ポイントとアルザス ヒューゲルの混醸種のワインです。
ロブスター(オマール海老)と白ワインのペアリングですが、海老の甘味にアロマティックな白という点では、一般的には、ヴィオニエやシェナブランといった選択なのかと思います。火が通っているとはいえ、魚介類なので、塩味を感じるミネラルの強いのある品種、例えば、アルバリーニョやギリシャのアシルティコなど、また、当然ながらシャブリも対象かと思います。ただ、海老味噌とかも考えると、生臭さが出てしまう樽香が主張したワインは避けるのが定石です。今回、溶かしバターにディップしますが、そう考えると、やはりオイリーなヴィオニエか?
▼ちなみに少し前にレストランでロブスターを食する機会があり、この時は、ギガルのコンドリュー・ラ・ドリアーヌを合わせてみました。相性はもちろん悪くないのですが、ヴィンテージが2015年で、比較的早飲みのコンドリューとしては、(あるいは保存状態からか)やや熟成が進んでおり、オイリーさに加えて、ナッティな香りが結構強く感じられ、ワインとしては非常に複雑で気に入ったのですが、素直にロブスターに合うかと言えば、ややワインが浮いてしまう印象を持ちました。
▼[2015] E.Guigal Condrieu La Doriane
色々と考えましたが、いつも常備しているノーマルシャブリもアルバリーニョもこの日は手元に無く、アシルティコも先日飲んでしまい、更にヴィオニエは、ちょっと個性が強すぎる(ギガルのラ・ドリアーヌよりも個性的な)ガングロフしかなかったので、結局、無難なアルザスを選びました。ヒューゲルのジョンティです。デイリークラスですが、何年か前には、ANAの国際線のビジネスクラスにも採用されていたようです。
ちなみにGentil(ジョンティ)というのは商品名ではなく、高貴品質のリースリング、ミュスカ、ピノ・グリ、ゲヴェルツトラミネールを50%以上アッサンブラージュしたアルザスワインに認められる名称で、それ以外のアッサンブラージュワインは、 Edelzwicker(エデルツヴィッケール)を名乗ることができます。
▼左のワインですが、(写真にはありませんが)ロブスターの前に食べた生牡蠣にあわせて選んだ、ニュージーランド・マールボロのドック・ポイント、ソーヴィニヨンブランです。ドック・ポイントには、樽を使ったソーヴィニヨン・ブランもありますが、こちらはステンレスタンクのみの熟成によるノーマルタイプのソーヴィ二ヨン・ブランです。品種の持つ柑橘系の香りとミネラル、溌溂とした酸に加えて、トロピカルフルーツの華やかな香りが特徴のワインで、最近は、結構愛飲している1本です。予想通り、レモンを絞った牡蛎との相性は抜群です。
(左)[2018]Dog Point Sauvignon Blanc, Marlborough
(右)[2018] Hugel Genti,Alsace
▼前菜のチキンソテーと芽キャベツ。芽キャベツとアロマティックな白の組み合わせ、最高です。
さて、メインのロブスター(カナダのプリンスエドワード島産)です。
結構大きいです。
▼捌いたロブスターです。慣れないので、あまり綺麗ではありませんが...
ぷりぷりと引き締まったテールの身はもちろん美味しいのですが、この黄色くみえる海老味噌、甘みがあり絶品でした。大きいのでそこそこ味噌も詰まっています。
さて、ワインとの相性について。ヒューゲルのジョンティですが、このワインは、アルザスの代表的な品種、リースリング、ゲヴァルツトラミネール、ピノグリ、ミュスカの規定品種にシルヴァーナを加えた混醸です。アロマティックな個性を期待したのですが、やや冷やし過ぎたせいもあり、アロマティックな香りは控えめで、スッキリした香りと味わいでした。ただミネラル感はきちんと感じられます。なんとなく、まろやかなピノ・グリと爽やかなシルヴァーナの特徴が前面にでているようで、魚介類、野菜、和食と何にでも合うような印象でした。これはこれで悪くはありませんが、素直にリースリングやゲヴァルツトラミネールといったアロマティックな単一品種の方がメリハリが楽しめ面白かったかも知れません。
ロブスターとワインのペアリング、あまり機会には巡り合いませんが、なかなか奥深いものがあります。
<了>