モレ・サンドニの人気ドメーヌ、ドメーヌ・アルローのシャルム・シャンベルタンの2009年ヴィンテージです。ここ最近のレジョナルは安定した美味しさですが、そろそろ飲み頃を迎えていると思われる2009年のグラン・クリュを味わってみました。
ドメーヌ現当主は、シプリアン・アルロー。ドメーヌの創立者であるジョセフ・アルローの孫にあたる人物です。シプリアン氏の父親、すなわち2代目のウルヴェ・アルローの時代には、ノース・バークレーというアメリカのインポータ向けに新樽100%のスペシャルキュヴェを造っていたことで知られています。ノース・バークレー・セレクションについては、アルローではなく、同じモレ・サン=ドニのジャン・ラフェのワインで初めて知りました。ジャン・ラフェも確か2000年ヴィンテージ頃、同じシャルム・シャンベルタンのノーマルとノース・バークレーの2つのキュヴェが存在していたことを記憶しています。ただアメリカ人の嗜好にあわせて造られた濃厚なノース・バークレー・キュベは、日本では、敬遠されることも多かったようです。
ドメーヌは、2000年ヴィンテージより、シプリアン・アルローに引き継がれて、一転、エレガント路線に転換しており、以後、高い評価を得るようになります。すなわち、現在の評価は、ドメーヌ代々というより、シプリアン・アルローにより築かれたものと言えるかと思います。日本では、特に人気が出たのが2005年以降だったと思います。
ドメーヌ・アルロー シャルム・シャンベルタン 2009年
[2009] Domaine Arlaud Charmes-Chambertin Grand Cru
マゾワイエールの区画を含まない純粋なシャルム・シャンベルタンの区画のみから。100%除梗。
縁にレンガ色が見れるやや淡いガーネットがかったラズベリーレッド。ブルーベリー、アメリカンチェリーの熟した赤黒系果実を感じるもののフレッシュフルーツよりもドライフルーツやドライハーブを感じさせる香り。シナモンや甘草のニュアンス。樽熟成からのバニラ、ローストの香ばしい香りにミネラル。ほんのりと甘さを感じ、柔らかい酸のアタック。タンニンは、それなりに感じられるが滑らか。少し鉄っぽい苦みを感じるが、シャルム・シャンベルタンらしい柔らかさが明確に顕れている感じ。
時間と共に、紅茶や、下草、腐葉土の複雑な香りと出汁っぽい旨さも。柔らかい果実味と熟成感のバランスが素晴らしい!
(4.0)
前日の残りの鴨の胸肉、赤ワインソースと。1日置くことで低温調理の鴨肉からの旨味が素晴らしく、この熟成ブルゴーニュと絶妙な相性を見せてくれます。
抜栓前には少し早いかなと思いましたが、飲み頃のグラン・クリュでした。ジュヴレ・シャンベルタンのグラン・クリュの中では最も早熟と言われるシャルム・シャンベルタンですが、まさにシャルムらしい柔らかさを感じさせてくれる1本でした。
<了>