モレ・サンドニに本拠を持つブルゴーニュの名門レミー家の6代目シャンタル・レミーによる、グラン・クリュ、ラトリシエール・シャンベルタンの2012年ヴィンテージです。クラシカルな造りで地味な存在ですが、レミー家のワイン、すごく久しぶりに味わいました。
ドメーヌ・ルイ・レミーは、1821年創立、200年の歴史を持ち、ジュヴレ・シャンベルタンとモレサンドニに多くの畑と所有していた名門ドメーヌでした。1989年までにジュヴレ・シャンベルタンにフィリップ・レミーが所有していた畑は、ドメーヌ・ルロワに売却されています。一方、モレ・サンドニに畑を所有していたルイ・レニーは、ワインを造り続け、妻と娘のシャンタルがドメーヌを継承して現在に至ります。
新樽をほぼ使用しない古典的な造りに加えて、生産量の1/3~1/2を飲み頃と判断するまでリリースしないという非常にクラシカルな醸造方針をもつ造り手です。
ルイ・レミーに関しては、個人的には、クラシカルな造り手である反面、ジャーナリストには、あまり評価されない、どちらかと言えば地味な造り手のイメージを持っています。
その為、昨今のブルゴーニュワインの高騰の波からは取り残されており、このワインも昨年、14Kほどの価格(松澤屋)で購入しました。アルヌー・ラショーの同銘柄と比べると半値以下です。
▼2019年の2度目のブルゴーニュの際に立ち寄ったラトリシエール・シャンベルタンの畑です。ブルゴーニュの畑は所有者が細分化されているのて、所有者を明示する標識はそれほど多くないのですが、レミー家の所有を誇示するこの標識は、かなり目立つものです。
ドメーヌ・シャンタル・レミー ラトリシエール・シャンベルタン 2012年
[2012] Domaine Chantal Remy Latricieres-Chamnbertin Grand Cru
ややレンガ色の混ざるラズベリーレッド。レッグは中庸。
熟した赤系ベリーやアメリカンチェリーに、シナモン、紅茶や腐葉土の香り。味わいには、やや高めの酸、タンニンはやや強めで、アフターに苦みとわずかな収斂性がある。ジュヴレ・シャンベルタンのグランクリュの力強さはあまり感じず、中盤の厚みもちょっと足りない気がしますが、少し女性的な優しさと僅かに鉄っぽいニュアンスにこの畑のテロワールを僅かに感じます。2012年というヴィンテージにしては、熟成が進んでいます。まるで、20年を超えた古酒のような味わいも。ちょっと意外だが、ラトリシエール・シャンベルタンというグラン・クリュを意識しなければ、これはこれで美味しい。
(3.5)
薩摩牛のモモステーキと。
イメージ的には、どうしてもユベール・カミュ―や昔のドルーアン・ラローズとダブってしまう、造り手ですが、あまり銘柄を意識せずに、結構リーズナブルな値段で楽しめるグラン・クリュかと思います。酸度がもう少し低く、タンニンが丸くなれば、好みの真ん中に近づくのですが...。コスパ的にここのシャンベルタンはちょっと手が出しにくいですが、クロ・ド・ラ・ロシュくらいは、飲んでみたいと思います。
<了>