今年2回目のスキーはあいにくの天候でした。毎年必ず1度は訪れる福島県のホテル・グランデコで、ドメーヌ・デュジャックのグラン・クリュ、クロ・サン・ドニ2005年とフレンチをたのしみました。
福島県の裏磐梯の山奥に建つ「ホテル・グランデコ」は、20年近く前から毎年欠かさず訪れるリゾートホテルです。グランデコ・スキー場に面したホテルなので、スキーが目的なことが多いのですが、春夏秋冬、一年を通じて、裏磐梯の自然を楽しめるリゾート地でもあります。コロナ禍にある今年の冬は、ここ数年のなかでも特に雪が多く降ったようですが、今年(2021年)3月以降は、あまり降雪に恵まれず、訪れた週末は、最悪なことに、終始雨天でした。
▼こんな、感じの天気です。降っているのは、雪ではなく雨です。
初日は、風雨強く、とても楽しめそうもなく、スキーは早々中止。車で1時間ほどの会津若松に日本酒の買い出しに行きました。
▼昨年も訪れた宮泉酒造です。「写楽」で有名な酒蔵です。
▼この蔵元で購入した3種の「宮泉」、左から、定番の純米吟醸、限定酒の純米酒無濾過生、純米吟醸「山酒四号うすにごり」です、昨年も飲んで印象的だった山酒四号は、2本購入しました。
ちなみに「写楽」は、主に飲食店向けのブランドで、「宮泉」との大きな違いは、酒米です。どちらかと言えば、写楽の方が、雄町等のメジャーな酒米が使われているようです。全国の契約酒販店での購入も可能ですが、地元の酒販店に確認したところ四合瓶は全て売り切れでした。ちなみに「写楽」と並んで有名な会津坂下の廣木酒造の「飛露喜」も同様で、地元でも発売当日に並ぶか抽選販売のようです。
▼昼食は、会津若松市内の蕎麦の名店、「飯豊権現蕎麦 桐屋 権現亭」のそば三昧(3種の蕎麦セット)です。 コシがあり美味しい蕎麦ですが、三種の味の違いはあまり分かりませんでした。
昼食後は、会津坂下町の有名な酒販店「五ノ井酒店」に立ち寄りました。ここは、会津を中心とした福島の酒を数多く扱っていることで有名な酒屋です。写真を撮り忘れましたが、地元でしか手に入らない日本酒が冷蔵ケースにずらりと並んでおり、当日も多くのお客さんで賑わっていました。
▼今回は、ここで5本購入しました。白井酒造の「風が吹く」山廃純米吟醸うすにごり、花泉酒造の純米吟醸酒、「花見ロ万(ろまん)」、曙酒造の純米吟醸「央」山田錦・中汲み・袋垂れ、曙酒造のSnow Drop(ヨーグルトの日本酒)生/火入れです。全て会津地方の造り手です。ロ万以外は、地元でないとなかなか入手できない日本酒かと。曙酒造は、天明のブランドで良く知られている蔵元ですが、「央」というブランドは、酒米だけでなく、酒母造りや搾り別に細分化して出荷している日本酒のようです。全て買って飲み比べてみたい衝動に駆られました。
グランデコに戻り、ホテル内のフレンチダイニング、「クレール」で夕食です。
コース料理に合わせ持ち込んだのは、ドメーヌ・デュジャックのクロ・サン=ドニ・グラン・クリュ2005年ヴィンテージです。2005年のデュジャックのグラン・クリュとしては、昨年夏に軽井沢で飲んだボンヌ・マーク以来になります。2005年のボンヌ・マールについては、昨年飲んだ全てのブルゴーニュの中でも、3本の指に入る素晴らしいワインでした。今回は、同じヴィンテージのクロ・サン・ドニなので期待大です。
▼オードブルのホタテのミ・キュイ 筍のタルタル仕立て添え。
白ワインは、ハーベスト・クラブ共通のハウスワイン、ラ・クロワザード(La Croisade)の白です。クロワザードは、南仏ラングドックのワインで、オリジナルのラベルには、太陽をモチーフにしたようなマークが入っていますが、ラベルに見覚えがあるので、おそらく過去に飲んでいると思います。但し、このワインは、ハーベストクラブ指定のスペシャル・ブレンドのようです。
厚みのある南仏のシャルドネをベースにアロマティックな香りが特徴のヴィオニエがブレンドされていることで華やかさが増しています。いかにも洋食には相性の良さそうな白だと思いますが、より繊細な和食ではどうでしょうか?
ハウスワインとして、今年一年は採用されるようですが、もう1種くらい選択できても良さそうな気がしますが、ボトルとグラス以外にデキャンタでもサービスされているので使い勝手は良さそうです。
▼グリンピースのポタージュ 豆乳仕立て。爽やかで優しい味わいです。
▼鰆のムニエル アンショワ(アンチョビ)入りスパイス風味のジュ(ソース)。
ハウスワインの白と赤のクロ・サン=ドニを合わせてみました。定石通りムニエルにシャルドネはよく合いますが、山菜(こごみとうるい)の苦味とブレンドされているヴィオニエが持つ苦味が意外に良くマッチします。まさにこのハウスワインにはピッタリの料理です。
アンチョビソースには、黒胡椒が入っており、スパイシーな感じもあるので、クロ・サンドニとの相性も悪くはありません。
▼メインの肉料理。牛フィレ肉のソテー 緑胡椒のソースと。
クロ・サン=ドニのテースティングメモです。
深みのある美しいルビー。レストランの照明のせいもあり、素晴らしい艶が感じられる色合い。縁に僅かにレンガ色も混ざりますが、まだまだ若々しいラズベリーレッド。ダック型のデカンタでデキャンタ―ジュしてもらったこともあり、最初からラズベリーやカシス、ブラックベリーやダークチェリーの赤黒系果実にドライハーブやシナモン、ブラックペッパーのスパイスやスーボワの混ざる華やかかつ複雑な香りが立ち上がる。デュジャックらしいやや強めのロースト香も感じられるものの、厚い果実味であまり気にならない。豊かな酸と収斂性は強くないもののしっかりと感じられるタンニン。時間の経過とともに、更にむせ返るような芳香と2005年のブルゴーニュに感じられる甘露さも顕れ、素晴らしい。あと5年も経てばタンニンが更に溶け込み、満点のワインになっていたかも知れない。
(4.5)
▼デザートの胡麻のブラジル風プディングと蜂蜜のアイスクリーム
毎回のことながら、美味しいフレンチです。ここは、スタッフの対応も素晴らしく、テーブルを担当して頂いたウェイターの方は、昨年の同時期に訪れた時も対応して頂いたようで、何と1年前に持ち込んだワインの銘柄を覚えていました(自分自身ではすっかり忘れていました)
デュジャックの2005年のグラン・クリュはやはり素晴らしいです。若いデュジャックは結構オーキーでやや苦手ですが、やはり15年熟成させると魅力的なワインに変身します。今回のモレ・サン=ドニは、このテロワールの持つしっかりとした骨格が感じられながらも、前回のボンヌ・マール同様、香水のような華やかな香り、美しい酸とブルゴーニュ・グラン・クリュの素晴らしさを見事に具現化してくれる1本でした。
<了>