毎年スキーシーズンを中心に訪れている福島県の裏磐梯。今年も2022年3月頭の週末にスキーを兼ねて滞在しました。ホテルのレストランにて、持ち込みワインのジャン・マルク・ミヨの2005年のエシェゾーをフレンチ・ディナーと味わいました。
滞在した裏磐梯ホテル・グランデコへは、金曜夜遅くに到着し、ホテルの部屋で軽い夕食をとりました。
ワインは、ドメーヌ・デ・ザコルの白、リーナトンデュ(L’Inattendu)です。
ドメーヌ・デ・ザコルは、ドメーヌ・ド・ラルロの元醸造長であったオリヴィエ・ルリッシュが2011年に南ローヌのアルデッュに立ち上げたドメーヌです。Des Accolesは、中世フランスで、ロワール川以南の南フランスの方言であるオック語の「段々畑」を意味する言葉のようです。
この白ワインのエチケットデザインは、他のデ・ザコルのワインと異なっています。L’Inattenduというのは「予想外」という意味で、希少品種のカリニャン・グリ(カリニャンの突然変異種)100%というちょっと変わったワインです。購入した畑にこの希少品種が植えられていたことが判り、「予想外」という名前が付けられたようです。
色調は、透明感のある黄金色。花梨等の黄色フルーツに混じって感じられるのが、揮発酸(VA)の香りです。オフ・フレーヴァーとして取り上げられる香りでもありますが、不快に感じるほどでもなく許容範囲です。ポジティブにとらえれば、複雑さを与えてくれるアクセントになっていると言ってもよいかと思います。
味わいは、柑橘や黄色果実からの比較的伸びやかな酸とオイリーに感じられるやや厚みのあるテースト。
(3.0)
↓フランスのAB(有機農業)認証に加えて、より厳しいデメター認証を取得しているようです。
天気にも恵まれ、土曜日の昼間は裏磐梯のグランデコスノーリゾートにてスキーを楽しみました。
↓夜はホテル内のレストラン「クレール」に
ジャン・マルク・ミヨのエシェゾー2005年を持ち込み、フレンチのコースディナーと愉しみました。
ジャン・マルク・ミヨは、ニュイ・サン・ジョルジュに拠を構えるドメーヌですが、ヴォーヌ・ロマネ村やフラジェ・エシェゾー村を中心に、エシェゾー、グラン・エシェゾー、クロ・ヴージョ、ヴォーヌ・ロマネ・レ・スショといった錚々たる銘醸畑を所有しています。ドメーヌとしての歴史は1992年からのなので、それほど古い訳ではありませんが、ピノ・ノワールの代名詞であるアロマと果実味を強調した純粋で柔らかな味わいの魅惑的なワインを造る生産者として知られており、「香りの魔術師」と言われています。厳しい収量制限とコールド・マセラシオンにより、色味とアロマに特徴を出しているようです。
今回のエシェゾーは、ドメーヌを代表するワインといっても良いかと思います。
レ・プーラリエール、エシェゾー・デュ・ドゥシュ、クロ・サン・ドニの3つの小区画のブドウを使用しています。レ・プーラリエール(Les Poulailleres)という区画は、DRCがその9割を所有しており、デュ・ドゥシュ(Dussus)は、エシェゾー最高の区画として知られています。
↓エシェゾー・デュ・ドゥシュの区画です。
Jean Marc Millot Echézeaux Grand Cru 2005
縁に僅かにレンガ色がみられる艶と深みのあるラズベリーレッド。年相応の色調。
ラズベリー、ブルーベリーやアメリカンチェリーの赤黒系果実、赤いドライフラワーやドライハーブ、リコリスの華やかで複雑な香りが豊かに広がる。酸は、尖ってはいないがくっきりと主張しており、タンニンはきめ細かく滑らか。
果実からの酸味とこのヴィンテージらしい熟した果実からの甘み、そしてタンニンが素晴らしく調和している。時間とともに、紅茶や腐葉土のブーケが顕れてくる。
(4.0)
↓ホワイトアスパラガスと煮鮑のサラダ仕立て(メニューより)
↓オマール海老のポワレ オリエンタル風 アーモンドの軽いソース(メニューより)
↓国産牛フィレ肉のソテー
↓デザートは「洋梨の樽とヴァニラ風味のグラス」
ジャン・マルク・ミヨ、所有している畑にもかかわらず、メディアにはそれほど取りあげられず、どちらかと言えば、地味なイメージのあるドメーヌですが、グレートヴィンテージであることと相まって、流石に素晴らしい香りと味わいの1本でした。あと数年すれば、さらに妖艶な香りも加わり、最高な体験をさせてくれることと思いますが、おそらく、2度と手に入らないヴィンテージかと思います。唯一のストックは、2009年ですが、飲むのは数年後になりそうです。
了