Bon Vin , Bon Sake , Bon Fromage

ブルゴーニュワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒とチーズの出会いを中心に日常を綴ります。

オーストラリア旅行2022~バロッサ・ヴァレー編

2022年のオーストラリア旅行。後半の南オーストラリア州は、前日のアデレードヒルズに続き、この日は、オーストラリアを代表するシラーズ・ワインの銘醸地、バロッサ・ヴァレーへ行きました。Seppeltsfield、Two Hands Wines、Henschke、Torbreckの4つのワイナリーを訪れました。

シラーズの銘醸地、バロッサ・ヴァレー(Barossa Valley)は、アデレード市内から車で1時間半ほどの距離にあります。今回のオーストラリア旅行を決めた際に目的地として真っ先に考えたのがここになります。当初はアデレードからのツアーも考えましたが、行きたいワイナリーを訪れる適当なツアーが見つからなかったため、現地の日本人ガイド(ロコ)仲介サイトで、ワイナリーまで車でアテンドしてくれる人を探しましたが、残念ながら見つかりませんでした。そこでテースティングは諦め、アデレード滞在のホテルに近くのレンタカー会社で車を借りて、自らの運転で周ることにしました。

 ↓最初に立ち寄ったバロッサ・ヴァレー内にあるタヌンダ(Tanunda)という町にあるビジネス・センターです。

ここには案内所や土産店に加えて、バロッサ・ヴァレーに関するちょとっしたライブラリーがあります。バロッサの土壌のサンプルの展示やブドウ品種(40種類以上植えられているようです)、代表品種のフレーバー等の説明の掲示あります。

土壌は、粘土・ローム層を主とする6種ほどに分類されていますが、この土壌とワインの関係を解説しようとする試みが2008年から「Barossa Grounds」というプログラム名で始まっています。
品種は、黒ブドウが85%を占め、全体のの5割を占めているのがシラーズ(Shiraz、オーストラリア以外ではシラーと呼ばれる品種)です。
バロッサ・ヴァレーのブドウの特徴として、多くの古樹の存在があります。2009年には、これらの保存・維持を目的とした「古木憲章(Barossa Old Vine Charter)」なるものが制定されています。

古木憲章は、上の展示にあるように、Old Vine(樹齢35年以上)、Survivor Vine(樹齢70年以上、Centenarian Vine(樹齢100年以上)、Ancestor Vine(樹齢125年以上)の4つのカテゴリーに分類されています。ちなみに、2019年のエクセレンスの資格試験にこの4つのカテゴリーを全て原語で書けという問題が出題されています。また、現時点でもっとも古いのが、バロッサ・ヴァレーの”Langmeil Winery”にある1843年植樹のシラーズと知られています。
バロッサ・ヴァレーに古木が多い理由ですが、19世紀にヨーロッパに持ち込まれ、1889年までにヨーロッパのブドウの90%を壊滅させたフィロキセラ(ブドウの木につくアブラムシ)の害を免れたとことにあります。オーストラリアでも1877年にヴィクトリア州のジロングという地で初めてフィロキセラが発見されています。その後、ニューサウスウェールズ州やさらに西オーストラリア州まで広がってブドウ園を壊滅させています。幸いにも、ここ南オーストラリア州はこの被害を免れたことより、プリ・フィロキセラ時代のブドウの樹が多く残っています。フィロキセラの脅威は、今でも変わっておらず、下の写真のようにSeppeltsfield内の畑の傍ら看板には、畑の間を歩かないように注意書きが書かれています。

↓古樹の畑です。通常、ワイン用のブドウは、オーストラリアでもヨーロッパで見られる垣根仕立てが主に採用されていますが、古樹は、写真のように枝を誘引しない株仕立て(ゴブレ)になっています。

ちなみに、写真は、畑の中ではなく、路肩から望遠で撮影しています。

Seppeltsfield

上の古木のオーナでもあるSeppeltsfield Wineryです。セッペルツフィールドはバロッサ・ヴァレーの中の西部(ウェスタンリッジ)に位置する産地名ですが、てっきりこの産地名をワイナリーの名前にしたのかと思っていましたが、その逆で、ヨーロッパ(シレジア)からの移民でこのあたりの土地を購入したJoseph Ernst Seppeltという人物の名前に由来しているようです。

当時は、タバコ栽培の畑だったようで、その後ブドウ栽培とワイン造りに力を入れ、今のワイナリーがあるようです。かつて、酒精強化ワイン全盛のころは、アペラ(オーストラリアでのシェリーの呼び名)やトウニーポートも盛んに作られていたようで、いまでも生産し続けているようです。
ワイナリー周辺には、所有している広大なブドウ畑が広がっています。ワイナリーは、大規模で豪華なセラードアを備えており、多くの観光客が訪れるようです。庭園にはナツメヤシが至る所に植えられており、南国ムードの漂うワイナリーです。

ちなみに、畑を横切る道路の傍らにもヤシの木が並んでいます。

今回は、大手で、日本でもお馴染みのPenfoldsやJacobb’s Creekは訪れませんでしたが、訪れたワイナリーの中では群を抜いて大きなセラードアでした。当然、本格的なレストランも併設されています。

運転者だったので、テースティングは諦め、ワインのみ購入しました。
ここでは、スタンダードとシングル・ヴィンヤード(The Westing)のShirazを購入しました。30豪ドルと85豪ドルだったと思います。シラーズとグルナッシュの単一畑のワインは、オーストラリアでは高い評価を得ているようですが、ここのワイン、正規輸入されていないのか、特にシングル・ヴィンヤードのワインは、日本ではほとんど目にすることはありません。

seppeltsfield.com.au

楽天市場でSeppeltsfield Wineryのワインを探す

Two Hands Wines

次に向かったのが、Two Hands Winesです。このワイナリー、名前は聞いたことはあったのですが、今回の旅行の計画を立てるまで、あまり眼中には入っていませんでした。しかし、アデレード在住のロコが強く推奨しているのを知り、俄然興味を持ち、今回訪れることにしました。ワイナリーは、Maranangaという小地区にあります。セッペルフィールドとは全く異なるこじんまりとしたワイナリーです。

HPによると1999年にMichael Twelftree と Richard Mintzという人物が意気投合して創設した若いワイナリーで、主にオーストラリア全土の色々な産地から入手したシラーズから、その多様性を生かしたワインを造っているいわゆるネゴシアンのようです(オーストラリアは契約栽培が基本)。2000年が初ヴィンテージで、その後、自社のブドウ畑を取得しているようですが、ロバート・パーカーが「赤道以南の最高級のネゴシアン」と紹介したことで人気が高まったようで、ワインスペクテイター誌の年間Top100に10年連続で選ばれていたようです。

テースティングルームも小さく、訪問時には、セラードア内には他のお客さんもいませんでした。

事前に銘柄を調べておらず、とりあえず、このワイナリーを代表する銘柄として奨められたBella's Garden Barossa Valley Shirazを購入してみました。85豪ドルくらいだったと思います。スクリューキャップ全盛のオーストラリアワインでは珍しいコルク栓を採用しています。

後に知ったのですが、このプレミアムレンジのラベルのシリーズ、バロッサ ヴァレー、クレア ヴァレー、マクラーレン ヴェイル、エデン ヴァレー、アデレード ヒルズ、ヒースコートの6地区からの6種のシラーズワインが作られているようです。

Two Hands の ホームページから引用

ラベルの縁の色が産地ごとに異なるようで、購入したバロッサ・ヴァレーのラベルは赤でしたが、これはバロッサ西部の山脈の赤土を反映しているようです。ワイナリーのシンボルカラー?の赤も同じ意味合いかと思います。車なので無理でしたが、もし、ここで、各産地の比較テースティングができれば幸せだったと思います。興味のある方は、ぜひチャレンジしてもらいたいと思います。このワイン日本では三国ワインさんが輸入しているようですが、すべての種類が輸入されているかはわかりません。

www.twohandswines.com

楽天市場でTwo Handsのワインを探す

Henscheke

ヘンチキ家は、バロッサ・ヴァレーに隣接するエデン・ヴァレーに拠を置く、6世代に渡るワインメーカです。

このワイナリの第4世代のCyril Henschekeの手による”Hill of Grace”は、ペンフォールドの醸造技術者Max Shubertにより生み出された”Grange”(当時は、Granege Hermitage BIN1の名称)と双璧をなすオーストラリアン最高峰のプレステージワインです。Grangeが、当時主流であった複数の地域や区画のぶどうをブレンドしてる作られる「マルチ・リージョナル・ブレンド」「マルチ・ディストリクト・ブレンド」と呼ばれるワインであったのに対して、Hill of Graceは、単一畑(シングル・ヴィンヤード)のブドウから作られるワインです。どちらも、現在は既に1本10万円を軽く超えており、なかなか手を出しにくいワインになっています。
ヘンチキ家の歴史を造る6世代の写真が、ワイナリー内に飾られています。左下が第4世代のCyril Henscheke、左中央が、現在の当主、5代目のStephan Henschekeとその妻で栽培家のPrue Henschekeです。

以上は、日本ソムリエ協会の教本にも詳しく記載されており、ちょうど直前までエクセレンス資格の勉強をしていたことから、印象に残る訪問となりました。ちなみに、このCylil Henchekeを「原語」で書かせる問題も過去のエクセレンスの問題で出題されています。結構意地悪い問題です(笑)

さきほどの前知識が殆ど無いままに訪れたTwo Handsとは対照的で、やはり訪問するワイナリーや生産者に関する知識を持ち合わせているか否かで、受ける印象や感動が全く違うことを改めて感じる訪問でした。
Hill of Graceは1度だけ飲んだことがあります。30年ほど前に当時の会社の部下が新婚旅行にオーストラリアに行った際に、もしこれらのワインがあれば買ってきて欲しいといって渡したリストの中の1本です。当時は、あまりオーストラリアワインへの知識もなく、有名なワインを軽い気持ちで頼んだつもりですが、苦労して見つけ出してくれたようです。当時の価格はわかりませんが、少なくとも1万円は超えていたのではないかと思います。今考えると申し訳ないことをしたという気持ちですが、数年後に飲んだこのワインは、当時ボルドーワインに嵌っていたもののテースティング能力などなかった自分にとっても、非常にインパクトのあったワインであることを覚えています。ただ美味しいという印象とともに凄まじい量の澱があったという記憶です。
現在のHenschekeのワインのラベルは、黒に銀文字のインパクトの強いラベルですが、左の写真にあるように昔(1960年代)のラベルは白だったようです。

↓流石に高級ワインのテースティングルーム、モダンながら、石造りの建物と木を組み合わせた広く落ち着いた感じです。

シラーズワインを購入するべきなのでしょうが、日本でも比較的容易に入手できるので、今回は、2018 Keyneton Euphoniumというシラーズ(65%)、カベルネ・ソーヴィニヨン(23%)、カベルネ・フラン(9%)、メルロー(3%)のブレンドタイプのワインです。Keynetonは、バロッサ・ヴァレーではなく、エデン・ヴァレーの小地区です。ラベル上には”BAROSSA”とありますが、”Valley”のつかないG.I. Barossaは、エデン・ヴァレーを含むGIになります。

https://www.henschke.com.au/

www.henschke.com.au

楽天市場でHenschekeのワインを探す

Trebreck

最後は、Tanundaにあるトレブレック(Trebreck)です。

日本でもよく知られている生産者なので、詳しい説明は不要かと思います。1994年にDavid Powellによって設立されたワイナリーで、シラーズワインを中心に、国際的に非常に高い評価を受けています。スタンダードレンジの”Woodcutters”からフラッグシップの”Run Rig”まで(さらに最上位に”The Laird”という単一畑ワインがあります)幅広いシラーズワインを生産しています。
高価なLaird以外は、日本でも比較的容易に買えるので、今回はワインでなく、セラードアで販売していたオリーブオイルを購入しました。おそらく日本には輸出されていないと思います。

↓セラードアを出て、あらためて周りを見まわすと、オリーブの樹が結構植えられていることに気が付きました。

torbreck.com

楽天市場でTrebreckのワインを探す

以上、今回は4つのワイナリーを訪れましたが、どこも規模の大小はあれ、モダンで非常に美しいセラードアを備えています。
日本でも最近は、テースティングや自社ワインを直販するセラードアをもつワイナリは増えていますが、食事と一緒に楽しめたり、パーティスペースまでを備えたワイナリーは稀かと思います。ワインにこだわりのある人だけでなく幅広い層の集客により、販売拡大につなげていくこのスタイルは、ニュー・ワールドの産地の特徴ともいえるかと思います。

アデレード最後の夕食の食材調達を兼ねて、宿泊したホテル(Aderaide Hilton)のすぐ近くにある食品店が集まるマーケットに立ち寄りました。

↓カラフルなフルーツショップ。アジア風の店も多いですが、マーケットのすぐ近くにはちょとした中華街があります。

↓これは、オリーブ専門店のようです

↓やはりチーズショップに目が行きます

↓↓Quince Paste(クインスペースト)、マルメロ(西洋花梨)のゼリー状ペーストです。日本ではそれほどポピュラーではありませんが、イギリスなどでは、スチルトン等のブルーチーズやチェダーチーズと一緒に食べられています。オーストラリアでもポピュラーなのかもしれません。このような形で売られているのは、初めて見ました。

楽天市場で、Quince Pasteを探す

飲んだことのあるワインのワイナリーを訪ねたり、日本では入手が難しいワインを購入したりするのは、やはり現地訪問ならではの楽しみです。
アデレードに行く機会がまたあれば、今回できなかったテースティングツアーや行けなかったマクラーレン・ベイルやクレア・ヴァレー等のワイナリ訪問も実現させたいと思います。

<了>