家飲みを中心に2024年3月に飲んだワインの記録をアップします。
バターフィールドのムルソー、ヤラ・ヴァレーのシャルドネ、シモン・ビズの2017年が印象的でした。
バルバネーラ トスカーナ ビアンコ ヴィニフィカート イン ビアンコ サンジョヴェーゼ
Toscana Bianco Vinificato in Bianco Sangiovese Barbanera 2022
トスカーナの珍しいサンジョヴェーゼ100%の白ワインです。
外観は、澄んだクリームイエロー。フレッシュでアロマティックな香り。ヴィオニエやトロンテスのようなテルペン系の香りも少し感じられます。レモン、ライムの柑橘果実に加え、マルメロ、洋梨、サワーチェリーなどのフルーツや百合のフラワーの香り。味わいのアタックは溌溂とした酸とミネラル。ドライですが、柑橘果実に加えピーチやパイナップルのほのかに甘いトロピカルフルーツの果実味も。赤同様サンジョベーゼっぽい強い酸が特徴ですが、華やかな香りでボディもそこそこ感じられます。
1.5K円ほどの価格で、デイリーワインとしてお奨めです。
(3.1)
デイヴィッド・バターフィールド ムルソー 2018
David Butterfield Meursault 2018
バターフィールドの名前からはアメリカのワイナリーを思い浮かべてしまいますが、れっきとしたブルゴーニュのワインです。当主は、トロント出身のようです。ラベルに描かれている大きなBの文字は、 “Beaune” “Beautiful” “Butterfield”の頭文字を表しているとのこと。
ムルソーらしい輝きのあるイエロー、黄金色にも近い。香りは開いており、黄桃、アプリコット、パイナップルの黄色果実、石灰からのミネラル、バニラ、トースト、僅かにナッツ香も。ムルソーとしては、酸も結構しっかり感じられます。名前からオイリーでこってりなムルソーを想像してしまいますが、熟度は感じますが、特段に濃厚というわけでなく、甘酸のバランスが取れたスタイリッシュなワイン。ちょっとピュイニー・モンラッシェ的なムルソーです。
(3.3)
ドメーヌ ド ヴィレーヌ リュリー 1er マルゴテ ブラン 2018
[2018] Domaine De Villaine Rully 1er Cru Margotés Blanc
現DRCの経営者ドメーヌ ド ヴィレーヌが、DRCの経営を引き継ぐ前にフローズンに設立したド・ヴィレーヌです。ここのワイン、久しぶりに飲みました。
Margotés(マルゴテ)というのはあまり聞かない銘柄だったのですが、2015年入手した畑のようです。
外観は、上記のムルソーに近いイエロー。柑橘果実、青リンゴ、洋梨の香り、レモンバーム、ミネラルにバニラやトースト。アタックには、やや豊かな綺麗な酸、熟度を感じる柑橘系や洋梨の果実味、クリーミーで、樽熟からの複雑性が感じられるが濃縮度は中程度。そろそろ熟成が進み、オイリーさも期待して、エスカルゴやホワイトシチューと合わせましたが、冷蔵庫で冷やし過ぎたため、上記の状態になるまで、結構時間がかかりました。ただ、まだ意外に少し若いかな?という印象も。さらなる熟成のポテンシャルはありそうです。
(3.2)
ドミニク・ポルテ フォンテーヌ ヤラ・ヴァレー・シャルドネ 2018
[2018]Dominique Portet Fontaine Chardonnay, Yarra Valley
恥ずかしながら、この造り手のことは、全く知りませんでした。以下は、インポーターの情報から要約。
ドミニク・ポルテは、ボルドー生まれで、父のアンドレ・ポルテ氏はシャトー・ラフィット・ロートシルトでブドウ栽培及びワイン醸造の責任者として20年の長きにわたって勤務した人物。ドミニクは、父親の元シャトー・ラフィットの試飲でワインの味覚を確立させ、その後、モエ・シャンドン、ナパの名門、クロ・デュ・ヴァルで研鑽を積み、オーストラリアに移住して、1976年にビクトリア州でワイナリー「タルターニ」を設立。その後、2001年にヤラ・ヴァレーにドミニク・ポルテの名でワイナリーを設立。ラベルを飾るアラベスクの形は、有名なギリシャの宝石商イリアス・ララノウニスによって設計されている。
とのこと。大変なサラブレッドの家系のようです。
このシャルドネは、ヤラヴァレーのコールド・ストリームで栽培された樹齢40年の葡萄を酸を残すために早めに収穫し、ステンレスタンクで発酵、シュールリー6ヶ月の後、新樽を含めたオーク樽で熟成とのこと。
外観は少しグリーンがかった輝きのあるクリームイエロー。熟した柑橘果実に、青リンゴ、アプリコット、パイナップルの果実香。火打石、ストロー、バニラ、薫香。クリーム、ヨーグルトの乳製品。アタックには、とろみを感じる凝縮感のある果実味、少し間をおいて、口中に活き活きとした豊かな酸がひろがり、心地よいレモンピールの苦みの余韻に続く。シャープで溌溂なドライな口当たりながら、同時にボディを感じるワイン。オークからの複雑な香り・風味も絶妙で、美味しい。
(3.3)
セットワインであまり期待はしていませんでしたが、ちょっと追いかけてみたくなるワインでした。
シモン・ビーズ・エ・フィス サヴィニー・レ・ボーヌ・1er・レ・タルメット2017
[2017]Domaine Simon Bize & Fils Savigny-les-Beaune 1er Cru Les Talmettes
サヴィニー・レ・ボーヌのフラッグシップ畑、オー・ヴェルジュレスと地続きで西に延びた部分に位置する畑です。オーヴェルジュレスがやや南東向きの畑に対して、こちらは真南向きの斜面なので、日照的に優位な畑のようです。ただ、3haほどの小さな1級畑なので、オー・ヴェルジュレスと異なり他の造り手の名前はあまり聞きません。
かつては、ワイン誌(RWG)の評価は、オー・ヴェルジュレスの方が少し高かったこともあり、2000年前半くらいからオー・ヴェルジュレスを良く飲んでいましたが、最近はタルメットの評価が高くなっているようです。
縁にかけて茶色の熟成の色合いのグラデーションが入る中程度の濃さのラズベリーレッド。抜栓直後の香りはやや控えめで、15分ほどで開き出す。ラズベリー、レッドチェリーの赤系果実にに梅紫蘇、スミレ、ローズの花、セージ、ミント、ドライレーズン、スーボア、さらにクリーミーな香りに紅茶の香りが加わりミルクティのニュアンスも。味わいのアタックは豊かな酸、タンニンはきめ細かく滑らか。中盤から余韻に熟した果実味。凝縮度は中程度。時間と共に甘みも強まるが決して過度ではない。決して派手ではないけど口中に染み入る優しさと旨味。まさに飲み馴れたシモンビーズの味。安定して美味しいです。
(3.4)
数年前まで、手ごろな価格で村名であれば5K円前後、1級でも余裕で10K円以下で購入できましたが、最近は御多分にもれず、ずいぶん高くなってしまいました。何よりも、1級クラスを目にする機会がめっきり減って、1万円を切る村名が中心になっているような気がします。価格的な理由もありますが、国際的な評価の高まりから日本への出荷が減っているという背景もあるのではないかと思います。
アンリ・グージュ ニュイ・サン・ジョルジュ・1er・レ・シェヌ・カルトー 2017
[2017] Domaine Henri Gouges Nuites-Saint-Georges 1erCru Les Chenes Carteaux
かつてはタニックで硬いイメージがあり敬遠気味でしたが、数年前に2009年のNSGレ・サンジョルジュを飲んで、そのエレガントぶりに驚きました。最近も評価が高いので、そろそろ飲み頃に入ったと思われる2017年のNSGレ・シェヌ・カルト―を開けてみました。レ・シェヌ・カルト、あまり聞かない畑名ですが、ニュイサンジョルジュ村の南端、プレモー村に接するところに位置しています。レ・ヴォークランに隣接し、道を挟んで銘醸畑のレ・サンジョルジュですから、結構凄い場所ですが、隣接する両者にい比べ、柔らかく早くから飲めるワインを産出する畑のようです。アンリ・グージュのニュイ・サンジョルジュは、畑によっては、ドメーヌものと買いブドウによるメゾンものがあるのですが、この畑は、ドメーヌもののみのようです。
上記のサヴィニー・レ・ボーヌの2017に比べるとやや若さを感じる中程度のラズベリーレッド。2017年なので抜栓後直ぐに開くと思いましたが、還元臭とも言えないホコリっぽい香りが最初にあり、香りが安定するまで小一時間くらいかかりました。少し黒系を感じる果実、ブルーベリー、ブラックプラム、クローブ、リコリス、シナモンのスパイス香にニュイ・サンジョルジュらしいアーシーな香りも。オーク香は弱め。味わいに柔らかい酸と果実の甘み、中程度のタンニンは滑らかで凝縮度も中程度。2017年らしい柔らかさを備えているが、2018年的な甘さではない。ニュイ・サンジョルジュのプルミエ・クリュとしては、やや軽く感じるが、これはこれで飲み易い。もう少し妖艶な熟成香が出てくるのに時間はかからないかと。
(3.2)
ニュイ・サンジョルジュの骨格を意識して、赤身のステーキと合わせましたが、ややワインが負け気味でした。
2015 ブリューノ・デゾネイ・ビセイ ニュイ・サン・ジョルジュ・レ・ベル・クロワ
[2015] Bruno Desaunay-Bissey Nuites-Saint-Georges Les Belles Croix
最近、ネットショップでの露出が多くなってきたブリューノ・デゾネイ・ビセイの村名ワインです。レ・ベル・クロワ(Les Belles Croix)は、1級畑レ・プリュリエの下に位置する粘土石灰質土壌の畑です。この畑の所有者としては、ティボー・リジェ・ベレールが有名かと思います。ブドウは1950~56年に植えられとのことなので、ヴィエイユ・ヴィーニュです(ラベルをよく見ると左上に書いてありました)
中程度の濃さのラズベリーレッド。香りは、抜栓直後から良く開いている。ラズベリー、レッドチェリー、ブルーベリー、スミレ、リコリス、シナモンの甘いスパイスの香り、ミルクティ。アタックは意外に甘い。酸は柔らかく、タンニンも滑らかで甘みを伴う。2015年は、2018~2020年同様日照・天候に恵まれた年ですが、その影響が表れている印象。よく言えば、親しみやすいワインですが、ちょっと酸が不足しているように感じます。
(3.1)
ブリューノ・デゾネイ・ビセイは、2018年の評判が高かったので、グラン・エシェゾーを含めて数本購入してストックしています。3月にブルゴーニュ・レジョナルを開けてみましたが、紫を残すかなり濃い色合いで閉じ気味でワインでした。アルコール度数は14.5度もあり、味わい的にも粉っぽいタンニンを感じ、ちょっとボルドーっぽさを感じました。多く飲んでいる訳ではないので何とも言えませんが、気候の影響をダイレクトに反映したワイン造りをする造り手なのかもしれません。いずれにせよ、2018年は、しばらく寝かせる必要がありそうです。
テッレ・デル・バローロ バルベーラ・ダルバ スペリオーレ 2016
[2016] Terre Del Barolo Barbera D'alba Superiore
バローロの大規模生産者組合のテッレ・デル・バローロのバルベーラ・ダルバです。バローロの格調のあるクラシカルなデザインのラベルと異なり、猪が描かれたラベルで、店舗で見つけた時にテッレ・デル・バローロのワインということにピンときませんでした。スーペリオーレは、ノーマルのバルベーラ・ダルバに比べて熟度の高いブドウを使っているようです。
うっすらとグラスの底が見えるやや淡いダークチェリーレッド。ラズベリー、ブルーベリー、ブラックチェリー、プルーンのやや黒系寄りの果実香。オーク(多分大樽)からのクローブ、ナツメグや土っぽさも。味わいは、高いトーンの酸が特徴的。サンジョベーゼっぽい酸の強さ。良年らしい果実の凝縮度が感じられるが、かなり高い酸がちょっと気になる。
(2.8)
ドメーヌ・ド・モンティーユ ヴォルネイ・1er・レ・ヴルイヤール 2016
[2016] Domaine de Montille Volnay 1er Cru Les Brouillards
聞きなれない畑ですが、ヴォルネイの北東端、ポマールと接し、ミシェル・ラファルジュで有名なレ・ミタンの隣の畑のようです。ラックの資料だとドメーヌの所有は僅か0.37haとのこと。
色合いはやや淡~中程度のラズベリーレッド。赤スグリ、ラズベリー、レッドチェリー、ブルーベリー、ローズ、リコリス、ナツメグ。ドライフィグ、スーボアの熟成香。味わいのアタックは柔らかく、熟した果実からの甘みを感じる。酸、タンニンともに円やか。中程度の凝縮感と余韻。ド・モンティーユらしい柔らかくおだやかで、万人に好かれそうなワインですが、個人的な好みでいえば、もう少し酸が欲しいか?。
(3.1)
チキンの粒マスタード炒めといただきました。
シャトー・ファーゲェロール シャトーヌフ・デュ・パプ 2020
[2020] Chateau Fargueirol Chateauneuf du Pape
初めての造り手のCNDPですが、価格に惹かれて購入した1本です。普通は5K円を下らないCNDPですが、ウメムラさんのセールで、3190円という安さでした。
艶のある若々しさを感じるダークチェリーレッド。シャトーヌフ・デュ・パプとしては、やや淡い色合いです。色の割にレッグが長く、ラベルを見るとアルコール度数は15.5度もあります。
カシスのコンポート、ブラックチェリーやブラックプルーンの熟した黒系果実の甘い香り。黒糖、黒蜜、カルダモン、リコリス、コーヒー。味わいのアタックは甘みを感じる凝縮果実味。酸は低めで、タンニンも円やか。CNDPにしては凝縮度は中程度。アルコールの高さを感じるが、浮いた感じはない。気難しくなく、するする飲めてしまうが、やはり酔いは早い。時間と共に甘みが増す。
(3.2)
↓昔お世話になった横浜馬車道の肉バル(現在は閉店)の店主の肉の魔術師こと若林さんがプロデュースしているレトルトのグーラッシュ(ハンガリー式ビーフシチュー)です。甘めのタンニンと良く合いました。お奨めです。
楽天市場でシャトー・ファーゲェロールのシャトーヌフ・デュ・パプを探す
シャトー・クロ・ド・サルプ 2001
[2001] Chateau Clos de Sarpe ,Saint Émilion
セラー奥に眠っていたシャトー・クロ・ド・サルプ。サンテミリオンのグランクリュです。以前は、1900年代のかなり古いヴィンテージのワインが手ごろな価格で市場に出ていました。
縁にかけてやや淡い熟成の色合いはみられるものの未だ若さを残すダークチェリーレッド。カシス、ブラックベリー、ナツメグ、シダー、皮革、コーヒーリキュール。味わいは柔らかい酸、凝縮感のあるものの円やかな果実味、熟したタンニンは液体に溶け込んでおりきめ細かく滑らか。綺麗に熟成したメルローの柔らかさが感じられるワイン。
(3.2)
ベラヴィーターノエスプレッソというアメリカのアルチザンチーズです。表面がコーヒー豆で覆われておりコーヒーの深い香りと旨味が、赤ワインと好相性です。
20年以上経った古酒が1万円台で購入できるのであれば、買って損はないワインだと思います。
ドメーヌ・ロベール・シュヴィヨン ブルゴーニュ・ルージュ 2020
[2020] Domaine Robert Chevillon Bourgogne Rouge
ロベール・シュヴィヨンのニュイ・サンジョルジュは、プルミエクリュを中心に毎年購入しており、常に10本以上のストックがありますが、ここのブルゴーニュ・レジョナルは、おそらく初めてだったと思います。2020年ヴィンテージのニュイ・サンジョルジュのプルミエ・クリュ御三家は、とうとう2万円を超えてしまったので、購入を躊躇しており、とりあえずレジョナルを飲んでみました。
流石に紫は消えていますが、レジョナルと思えない濃い色調です。
抜栓後の香りは閉じており、開くまで時間がかかります。このクラスでもデキャンタした方がよさそうです。時間が経つと徐々にダーク(ブラック)チェリーやブルーベリーの果実香とローズやセージ、クローブやリコリスのスパイス香が顕れます。
味わいのアタックは熟度が高く凝縮した果実からの甘みをわずかに感じますが、未だタンニンが支配的で、酸は柔らかい。外向的なブルゴーニュ・レジョナルが多い2020年ヴィンテージですが、例外的に内向的に感じた第一印象ですが、徐々に甘みが強まっていきます。
(3.2)
購入はしていませんが、このヴィンテージのプルミエ・クリュに関しては、飲み頃に達するまで、結構忍耐が必要と想像されます。
最後に、当月に訪れた札幌のワインバー、”モンレーヴ”で出会ったワインです。
ここは、かつて札幌への出張の度に訪れていたワインバーで、コロナ禍で遠ざかっていましたが、5年ぶりに訪れることができました。
店舗は以前同様、すすきのにありますが、訳あって移転したようで、カウンターも広くリニューアルされていました。
ここは、フランスワインを中心に結構なワインをグラスで提供してくれます。
この日は、トマ・モレのシャサーニュ・モンラッシェ、ユベール・リニエのジュヴレ・シャンベルタン・レ・スヴレ2019、ドメーヌ・ド・モンティーユのニュイ・サンジョルジュ・レ・サン・ジュリアン2018の3種を楽しみました。
写真右端のロマネコンティは、マスターとの会話のなかで出してくれたボトルです(もちろん飲んでいません笑)。5年前は2015年ヴィンテージでしたが、今回は2018年です。いずれも、札幌では数本しか入荷しないようで、毎年争奪戦になるようです。
ド・モンティーユのニュイ・サンジョルジュは初めて飲みましたが、柔らかなテーストは、ニュイでも2018年でも変わりません。ユベール・リニエのこの畑のワインは何度か飲んでいますが、2019年は初めてです。飲み頃まで少し時間がかかる印象のユベール・リニエですが、このヴィンテージの特徴を反映させた甘く外向的なワインでした。
この2つのワイン、ヴィテージの近い同じコート・ド・ニュイの村名ながら、色合いは、まさにルビーとガーネット。面白いですね。
ワイン好きにはたまらなく心地よい時間と空間を作り出してくれるワインバーです。
次回は、ぜひプライベートな旅行で訪れてみたいと思います。
了