2024年5月に飲んだワインの記録です。相変わらず、家飲みもブルゴーニュワインが中心ですが、ニュージーランドのピノやバローロも加えながら、飲み頃を意識しつつ、できるだけ、色々なバリュエーションを楽しむようにします。
ダヴィド・デュバン シャンボール・ミュジニー・1er・レ・センティエ 2014年
[2014] David Duband Chambolle Musigny 1erCru Les Sentiers
ボンヌ・マールの斜面の下、モレ・サンドニのプルミエ・クリュLes Ruchotsに隣接する素晴らしいロケーションの畑です。ここは、ジャッキー・トルショー氏から引き継いだ畑になります。
熟成感の感じられるやや淡いラズベリーレッド(ガーネット)。抜栓直後には少し強めの火打石のような還元香が感じられますが、しばらくすると、この香りは消え、レッドチェリー、ブルーベリー、バラやリコリス、トースト、クローヴに熟成を感じるドライレーズンやドライフィグ、シナモン、下草、林床、紅茶の香りが加わる。
アタックには豊かな酸、熟度の高い果実味、タンニンは未だしっかり感じられるものの質感的には、きめ細かく、滑らか。最初はドライに感じられるが、時間とともに甘みを伴う旨味が出てくる。香りは全開になるほど1時間ほどかかるが、シャンボールミュジニーらしい華やかな香りに熟成からの複雑さが加わった心地よい香りに。
(3.6)
2014年は今飲むと閉じ気味のワインが多いのですが、このワインも抜栓直後は、一瞬それが感じられましたが、開いた後は、妖艶な香りと、まさにこの造り手のワインの特徴でもある、薄旨が感じられる印象的な1本となりました。
ロベール・シュヴィヨン ニュイ・サン・ジョルジュ 1er・レ・ヴォークラン 2015年
[2015] Robert Chevillon Nuit-Saint-Georges 1erCru Les Vaucrains
ロバート・パーカ氏によりニュイ・サン・ジョルジュの王様と評されるロベール・シュヴィヨンのトップ3の1級畑のひとつ、レ・ヴォークランの2015年です。
深みのあるラズベリーレッド。外観の色調からも、力強さを感じます。
抜栓直後は閉じ気味ながら、徐々に黒スグリ、ブルーベリー、ダークチェリー、ブラックプラムの黒系寄りの果実香、ドライハーブ、リコリス、コーヒーにナツメグ、そして、土、林床の熟成香。味わいのアタックの酸は中程度で円やかな質感。ミドルパレットには、熟度を感じる果実味が広がり、直ぐにきめ細かいタンニンが味を引き締める。時間とともに徐々に果実からの甘みが強くなるが、一方で酸も力強く感じられるようになり、バランスを保ったまま、旨味が増していく。
(3.4)
今飲んでも美味しいですが、ただ未だ熟成の入り口にたった印象で、ここに更なる熟成感が加わると、複雑で素晴らしいワインになることが容易に想像できます。
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低温調理のローストポークといただきました。
ドメーヌ・デュロシェ シャルム・シャンベルタン グラン・クリュ 2011年
[2011]Domaine Duroché Charmes Chambertin Grand Cru
ジュヴレ・シャンベルタンのスペシャリストです。クロ・ド・ベーズ、グリオット、ラトリシエート、シャルム、と錚々たる畑を所有しています。今回のヴィンテージがリリースされた当時は、比較的安価なグランクリュでしたが、最近は御多分に漏れず、価格的にハードルが上がってしまいました。
縁にかけてややオレンジのグラデーションが見られる中程度のガーネット。
ラズベリー、レッドチェリー、レッドプラム、ブルーベリーの赤青系果実に、リコリスやバラ、トースト、クローヴ、ナツメグの第二アロマ、さらにイチジク、乾燥させたブラックベリー、シナモン、紅茶、土の熟成ブーケが香る。
味わいのアタックは、豊かながら柔らかな質感の酸、タンニンは中程度だが、滑らかできめ細かい。やや不利なヴィンテージではあるものの、そこそこの熟度は感じられる。ミディアムボディ、中程度の余韻。
(3.5)
ヴィンテージの特徴か、グランクリュらしいストラクチャはそれほど感じないが、柔らかく開いている印象でドライハーブのニュアンスの余韻が特に印象的。2日目も美味しく飲めました。
ドメーヌ・レシュノー ニュイ・サン・ジョルジュ レ・ダモド 2008年
[2008] Domaine Lécheneaut Nuits Saint Georges Les Damodes
フラッグシップとして、クロ・ド・ラ・ロシュの畑も所有していますが、このドメーヌを代表するワインとしては、ニュイ・サン・ジョジョルジュ・レ・ダモードだと思っています。レ・ダモードは、一級畑とわずかに標高の高い所にある村名に分かれていますが、この2008年は村名の畑です。個人的には、1990年台から思い入れのあるワインで、このワインは、某ワイン誌の編集長のプライべートコレクションとして販売されたものを最近入手したものです。
熟成の色合いが混ざるやや淡いガーネット。
抜栓直後に僅かに還元香。キイチゴ、ブルーベリー、イチジク、ドライレーズン、オーク(あまり強くない)由来のヴァニラやクローブ、シナモン、皮革、腐葉土、タバコ。香りには、複雑な熟成香が感じられますが、味わいはドライで甘みは少なく、このヴィンテージらしい酸が支配的。果実の凝縮感はあまり感じられず、やや痩せている印象。酸ときめ細かなタンニンを感じる余韻は中程度。
(3.1)
香りは素晴らしいのですが、味わいがちょっと追い付いていない印象。ややピークアウト気味か、これ以上の熟成は期待できないかも。
ドメーヌ・ビュイッソン・シャルル ムルソー・1er・レ・シャルム 2018年
[2018] Domaine Buisson Charles Meursault 1er Cru Les Charmes
ムルソーの老舗的なドメーヌですが、あまり知られていません。埼玉の松澤屋さんが直輸入しており、比較的安価に購入できるムルソーとして、以前から、しばしば購入しています。
外観は2018年ながら、意外に熟成感のある黄金色。パイナップル、アプリコット、マンゴー、びわ、菩提樹の花、濡れた石からのミネラルに、パン生地、トースト、ヴァニラ、バタースコッチ、ハチミツ、へーゼルナッツ、干し草の熟成香。アタックの酸はやや低く柔らかい。やや苦みを感じる果実味が口中に広がり、余韻はやや長め。非常に複雑な香り・風味で美味しいのですが、ヴィンテージにしては、少し熟成が進みすぎているような気がします。シャルル・ビュイッソンは何度か飲んでいるので、ちょっと違和感がありました。セラーがやや不調の時期があったので、その影響を受けたの知れません。
(3.2?)
↓ホタテのソテーと。
ルシアン・アルブレヒト ゲヴュルツトラミネール グラン・クリュ スピーゲル 2015年
[2015] Lucien Albrecht Gewürztraminer Grand Cru Spiegel
古い歴史のあるワイナリーですが、クレマン・ダルザスのパイオニアとして知られているようです。現在は、アルザスの農業共同組合(コーペラティブ)のウォルフベルジェの傘下にあるようです。51あるアルザスのグラン・クリュ畑のひとつで、コールマールの南に位置しているspiegelのゲヴァルツトラミネールです。
外観は、輝きのある濃いめのレモン色。香りは良く開いており、レモンピール、ライチ、アプリコット、ネクタリン、アカシア、シナモンの柑橘とストーンフルーツ、黄色い花、甘いスパイスの香りにナッツやハチミツの熟成香。
アタックに蜜のようなとろみを感じる甘さ。半甘口とまではいかないが、オフドライ。酸は中程度だが、甘みに隠れる印象。ミディアム(+)ボディ。僅かに苦みを伴う甘い余韻は中程度。
(3.1)
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そこまでの甘さを予想していなかったので、甘みのあるホタテソテーと合わせようと思いましたが、ちょっと食材が負けてしまう甘みです。食中酒としては、ハニーチキンや中華が合いそうですが、食後酒の方が向いているかもしれません。
↓ホタテには合わないので、急遽、前述のムルソーを開けました。
コルダーナ バローロ リゼルヴァ 2013年
[2013] Cordana Barolo Riserva
カスティリョーネ・ファッレット村にある生産者協同組合コーペラティヴァ フラ プロデュットーリのバローロ・リゼルヴァです。「コルダーナ」は、ピエモンテの名エノロゴとして知られるルイージ・マルティーニ氏がセレクトしたスペシャルキュヴェで、特に出来の良い畑のブドウをブレンドしています。バローロリゼルヴァDOCGで規定されている法定熟成期間は62ヶ月ですが、こちらのバローロは84ヶ月以上の熟成となっています。にも拘わらず、価格は、ぎりぎり3千円台と破格値でした。
縁に熟成感が感じられるラズベリーレッド(やや淡いガーネット)の外観。
香りは良く開いており、ラズベリー、ブラックチェリー、プルーン、レーズン、クローヴ、トースト、乾燥させたブラックベリー、タバコや林床の熟成香。
味わいはネッビオーロらしい高めの酸、タンニンも豊かだがきめ細かい。2013年のバローロとしては、意外に柔らかくて、エレガントな印象。アルコールはそこそこ高い(14%)が、フルボディというよりミディアム+のボディ。
(3.3)
3K円で買えるバローロとしては、テッレ・デル・バローロやベルコッレのスタンダードキュヴェもありますが、長期熟成で本領を発揮するバローロですので、それを考慮すると非常に価値はあるかと思います。この2013年は、現在もまだ4K円台で市場に出回っているようで、最近のブルゴーニュのレジョナルを購入するのであれば、この選択子もあると思います。
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リッポン・ティンカーズ・フィールド ピノ・ノワール 2017年
[2017] Rippon Tinker's Field Mature Vine Pinot Noir
ニュージーランド セントラル・オタゴ、ワナカのリッポン、ピノ・ノワールでは、今やフェルトン・ロードと並ぶセントラル・オタゴを代表するワイナリーだと思います。
リッポンは、「リッポン・マチュア・ヴァイン」「エマズ・ブロック」「ティンカーズ・フィールド」の3つの畑のピノ・ノワールをリリースしており、リッポン・マチュア・ヴァインについては、2017ヴィンテージを1年ほど前に飲んでいますが、ニューワールド的な印象は微塵もなく、繊細で、冷涼さを感じさせるクラシカルなブルゴーニュ的な味わいを楽しめるワインでした、
外観の色調は、やや濃いめのガーネット。以前飲んだマチュア・ヴァイン2017に比べても濃い印象です。香りの強さ中程度、ブルベリー、ブラックベリー、ブラックチェリーのやや黒系寄りの果実香、スミレ、ドライセージ、リコリス、シナモン、クローヴ。土や林床の熟成香も顕れているが、妖艶なほどの香りではない。
アタックに感じる上質な酸はやや高く、豊かだがきめ細かいタンニン、色調から想像するとおり、結構力強さを感じる。アルコールもやや高めに感じられる。果実味のトーンはやや低く、まだ少し閉じこもっている印象。マチュア・ヴァインに比べると、飲み頃は少し先?でも、凝縮感が感じられ、かなりのポテンシャルを感じるワイン。
(3.5)
リッポンのピノノワールは、マチュア・ヴァインが5K円台、今回のティンカーズ・フィールドやエマズ・ブロックは、10K円に近い価格なので、リピートには、少し躊躇を感じますが、ブルゴーニュのプルミエ・クリュクラスの風味や質感は充分に味わえるワインだと思います。
シャトー・モンブリソン 1988年
[1988] Chateau Monbrison
マルゴーのアルザック村のクリュ・ブルジョワですが、初めて飲みました。
手元にあったロバートパーカーのボルドー第4版にこのワインの記述がありましたが、ジャン・リュック氏が当主だった1986年から1990年の間に造られたワインを絶賛しています。ちなみに1988年ヴィンテージには90点を付けています。
ジロンド川に近い砂利質土壌から。カベルネソーヴィニヨン主体、メルロー、少量のカベルネ・フラン、プティ・ヴェルドのブレンド。
外観は濃いダークチェリー。中心部は漆黒、縁には僅かにレンガ色が混ざりますが、36年経っているワインとは思えない色調です。
香りは良く開いており、黒スグリ、ブラックチェリー、ブラックプラムの黒系果実、牡丹の花、リコリス、クローヴ、ナツメグ、シダー。イチジク、皮革、コーヒー、チョコレート、肉類の熟成香が加わり、複雑な香り。
味わいはドライで甘みはほとんど感じないものの、果実の凝縮感を感じる。タンニンは、未だ豊かだが、ざらつきは無くなめらか。最初に感じる酸は中程度で、果実味とタンニンに隠れている印象だったが、抜栓後しばらくすると前面にでてくる。ヴィンテージから想像していたより、強いストラクチャが感じられ、余韻も長め。
(3.5)
最近入手した久々のボルドー古酒でしたが、状態も完璧で、これはなかなか、当たりでした。
シャトー・デュアール・ミロン 2010年
[2010] Chateau Duhart-Milon
説明不要かと思いますが、5大シャトーの筆頭シャトー・ラフィット・ロスチャイルドが所有するシャトーです。少し早いかなと思いつつ、良年の2010年を開けました。
外観は艶のある濃いダークチェリー。あたりまえですが、前銘柄に比べ黒さが違います。
カシス、黒スグリ(ブラックカラント)、ブラックベリー、ブラックプラムの黒系果実、黒胡椒、ナツメグ、クローヴにポイヤックらしいシダーや鉛筆の芯。コーヒ、皮革、タバコの熟成香。アタックに豊かな酸、タンニンも多いが収斂性は感じられず落ち着いている。ドライながら前銘柄に比べ熟度が感じられる果実の甘みが感じられる。14年経って酸・タンニン・果実味バランスがとれ始めた印象だが、骨格感のあるボディから、まだまだ熟成のポテンシャルが感じられる。美味しい。
(3.6)
メゾン・ルロワ・コトー・ブルギニヨン・ルージュ 2021年
[2021] Maison Leroy Coteaux Borguignons Rouge
久しぶりのルロワ。といってもボジョレーを除くと最も安いルロワです。10年以上前にはさんざん飲んできたブルゴーニュ・レジョナルもちょっと手を出しにくい価格になっています。ちなみに、ドメーヌもののコトー・ブルギニヨン・ルージュ(飲んだことありません)は、10万!近いので、10分の1以下で購入できるルロワのコトー・ブルギニヨンは、お買い得なのかもしれません。あくまで、相対的にではありますが...
僅かに紫も残る淡いラズベリーレッド(ルビーレッド)。2021年らしい?色合い。
香りは良く開いており、ストロベリー、クランベリー、レッド(スイート)チェリーの赤い果実。薔薇、スミレの花。僅かにキャンディを感じるが、ジャムっぽさはない。
味わいは、チャーミングな赤系果実の風味。酸は中程度。甘苦いタンニンはやや少ない。ボディは、ミディアム(ー)(ライトボディに近いミディアムボディ)
(3.2)
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裾ものとはいえ、ルロワらしいエレガントを感じるコトー・ブルギニヨン・ルージュですが、このヴィンテージの特徴も手伝っているのかもしれません(2020年ヴィンテージを飲めば分かるかと)
最後は、白です。
ビオンタ アルバリーニョ 2022年
[2022] Vionta Albariño
レモン色の外観。香りは、レモン、ライム、青リンゴ、洋梨、モモ、果樹の花、濡れた石からのミネラル。
溌溂としたクリスピーな酸のアタック、ライトボディ、ミッドパレットにやや膨らみのある柑橘や緑色系果実や洋梨の果実味が広がる。僅かな塩味と苦みの余韻。
(3.0)
割とシンプルながら、典型的なアルバリーニョです。欲を言えば、もう少し、ボディが欲しいところですが、2K円以下で買えるのアルバリーニョなので、結構お買い得かと思います。
了