9月28日に開催された長野東御市のヴィラデスト ガーデンファーム アンド ワイナリーでの収穫体験とワイナリーオーナの玉村豊雄さんとのワインパーティイベントに参加しました。
ヴィラデストワイナリーは、画家であり、エッセイストとして活躍されている玉村豊男さんが1991年に東御市に移住し、農園の経営を経て2003年に設立したワイナリーです。生産されているワインは、最近は、リアルワインガイド等の評論誌等でも非常に高い評価を得ています。
こちらは、6月にもブドウの枝の誘引作業のお手伝いで訪れており(→こちら)、今回は、ワイナリのHPで一般募集された「ブドウの収穫体験と玉さんとワインパーティー」というイベントに参加させていただきました。
当日はあいにくの曇天でしたが、何とか雨には降られず、秋らしい涼しい気候のなか、収穫体験を楽しむことができました。
今回の収穫のお手伝いをさせて頂いたのは、同ワイナリー傘下で醸造や委託醸造等の生産者支援を行っている「アルカンヴィーニュ」さんの近くにあるピノ・グリ種のブドウ畑です。
デイリーワインとしていつも愛飲しているピノ・グリですが、成熟しているブドウの姿を見たのは初めてです。
グリぶどうなので、甲州のような色をイメージしていましたが、黒ブドウと一瞬見間違うような濃い色をしていました。
ピノ・グリ種は、ピノ・ノワールの突然変異種として知られており、果皮の色もグリ色というより、ちょっとピノ・ノワールに似ていますが、れっきとした白ブドウです。
今回、畑で教えてもらいましたが、ピノ・ノワールへの突然変異(先祖返り?)も時々見られるとのこと!
葉や果実に見られる白い点は、べと病の対策として広く使用されているボルドー液(硫酸銅と生石灰からの殺菌剤)です。
今回の収穫体験は、単なる収穫でなく、現場での選果、すなわち、腐敗や萎びれた果粒を排除して、健全なブドウのみを選定する作業も兼ねていました。
今年は、生育期に雨が多く、一部の果粒に灰色カビ病や、晩腐病等が発生しており、収穫の際に、ひとつひとつ取り除き、健全なブドウのみを収穫していきますが、結構大変な作業でした。
2時間ほどの収穫体験後は、ヴィラデストワイナリーのレストランに移動して、ワインパーティです。
当日用意されていたのは、白7種(シャルドネ4種、ソーヴィニヨン・ブラン2種、ピノ・グリ1種)、ロゼ1種、赤6種(メルロー5種、ピノノワール1種)の計14種の大判振る舞いで、ワイナリーで市販されている殆どのワインを試飲することができました。
各ワインについては、取締役社長であり、醸造責任者でもある小西さんから紹介がありました。
この中には、今年初めてリリースされた御堂シャルドネ2023も含まれていました。
これは、東御市・御堂地区の自社畑からぶどうによるものとのこと。HPによると、今年は1,698本ほど生産されたようです。
通常のシャルドネシリーズは、樽熟成していますが、この御堂シャルドネは、樽を使用しておらず、シンプルながら、フレッシュで豊かな果実味が印象的なワインでした。
他にレイトハーベスト(遅摘み)も生産されたようで、こちらは僅か109本の限定のようでで、流石に飲むことはできませんでした。
料理は、バイキング+メインディシュでしたが、どれも美味しく、ワインとのマリアージュを愉しみました。
今回は、玉村さんを囲んでのワインパーティということで、来月(10月)で79歳を迎える玉村豊男さんの楽しい話を聞かせていただくことができました。
このワイナリーを代表するのは、やはり、シャルドネとメルローです。今回は、ヴィエイユ・ヴィーニュを含めて、市販されている殆ど全てのキュヴェを愉しむことができました。シャルドネは、円やかながら、綺麗な酸を保ち、オークとのバランスが絶妙です。メルローは、滑らかなタンニン、黒系果実の凝縮していながらも、繊細さを感じさせる味わいは、ニューワールドのメルローとは一線を画すエレガントさを備えています。最新のリアルワインガイド誌でもこちらのヴューロンズリザーブのメルローが高く評価されていました。欲を言えば5K円を切った価格で飲めれば素晴らしのですが...
今回、ちょっと嵌ったのは、ピノノワールです。6月もロゼと赤を飲んでいますが、その時は気温もせいもあったのかロゼの方に惹かれました。赤については。とにかく淡い色に驚きました。
↓ピノノワール赤(左)・ピノノワールロゼ(右)です。
今回はじっくりと赤を味わせてもらいました。ヴィンテージは、2019年です。淡いラズベリーレッドに縁に少しオレンジの熟成の色合いが見られます。クランベリーやレッドチェリーの赤系果実に樽からのクローヴ、ナツメグ、トーストの香ばしい香り、妖艶な熟成香とまではいきませんが、僅かなスーボアや紅茶のターシャルナなニュアンスのアロマが感じられます。淡い色合いからは、ビオ系のナチュラルワインを想起しますが、揮発酸的な香りはありません。味わいは、豊かな酸と梅紫蘇の柔らかな果実味、優しいタンニン、そして、何よりも旨味が感じられます。まさにThe日本のピノノワールワインと言っても過言ではないかと思います。
気が付くと、このピノ赤だけで、4、5回お替わりをしており、おかげで、メルロをじっくり飲み比べる時間がなくなってしまいました笑。
家でじっくり味わいたくなり、ピノ・ノワールとリザーヴ・シャルドネはショップで購入して持ち帰りました。
ここ数年(2018~2020年)のブルゴーニュを飲み馴れているせいか、この淡い色合いに驚かされますが、口に含むとこのワインのもつ心地よい旨味に癒されます。
ちなみに、ヴィラデストの全てのスティルワインにはスクリューキャップが採用されています。有名なフランスのSTERVIN社製のもので、熟成に必要とされる酸素透過度をもっているスクリューキャップです。
短い時間ながら、今回の収穫体験では、湿気の多い日本で高品質なワインを造る為に、選果の重要性と大変さを実感することができたのは、何よりも貴重な体験でした。
ワインパーティは、美味しい料理と共に、ワイナリーの殆んどすべてのワインを楽しめ、さらに玉村さんと色々とお話もでき、非常に楽しいイベントでした。
素晴らしいイベントを企画・開催していただいた、ヴィラデスト ガーデンファーム アンド ワイナリーの皆様に感謝申し上げたいと思います。
了