2/7~2/16 イタリア・ドロミテでスキーを楽しみました。スキー場で堪能した素晴らしい”ゲレ食”については、先にスキー場編で書きましたが、こちらでは、今回滞在した冬季オリンピックを控えたコルチナ・ダンぺッツォの街の様子や滞在中の食とお酒を中心に、そして購入したチーズについても少し触れたいと思います。
コルチナ・ダンぺッツォへは、トルコ航空を利用してイスタンブール経由でベネチアまで飛び、そこからバスでコルチナ・ダンペッツォに入りました。
ヨーロッパの主要なスキー場へは、日本からの直行便で行けるところは少なく、基本は乗り継ぎになります。今回のツアーでは、ルフトハンザ航空でフランクフルト経由の選I択肢(一昨年前のフィレンツェ行で利用しました)もありましたが、日本を昼間発つヨーロッパ便は、乗り継ぎがあると、目的地に到着するのは、深夜になります。今回利用のトルコ航空は夜に日本を発ち、インタンブール経由し、最終目的地への到着は昼間になるので、非常に楽です。
ベネチア空港からは、車(専用車)で2時間ほどでコルチナ・ダンぺッツォに到着します。
↓町に入るとこんな光景が。ちょっと寂しい雰囲気ですが、橋の上部は昔は鉄道が通っていたようです。「CORTINA」の下、一瞬、五輪のマークと思いましたが、よく見ると、あの自動車メーカのロゴマークです。この地で、盛んにプロモーションを行っているようで、広場での展示や、大規模な試乗会を開催していました。
↓コルチナの街並み。昼なので、人通りが少ないですけど、さすがに夕方から夜にかけては、結構賑わいます。街の中心にあるコルチナの生協です。ロゴマークは、エーデルワイスの花です。
4階建てで、食料品からお酒、家庭用品、書籍、衣料品まで、あらゆるものが揃っており、ここへは、ほぼ毎日通っていました。ミラノ・コルチナ冬季オリンピックまで、あとちょうど1年ということで、街やショップにそれを意識したディスプレイは所々で見られましたが、あまり派手なプロモーションは行われていない印象でした。ただ、街中いたるところで、宿泊施設と思われる建設工事が行われていました。
コルチナで開催されるアルペン競技の会場は、当然ながら既存のスキー場が利用されますが、リュージュのコースは、新設されるようで、その工事が大々的に行われていました。唯一、オリンピックムードを感じさせるオブジェが、街の中心にありました。スキー場をバックに五輪マークがライトアップされています。
初日は12時前に着いたので、昼食は、街のレストランに出向きました。いろいろ探した挙句、ピザ店と迷った末に、パスタの店に。
↓Ristrante Aristoというお店ですが、tripadviserの評価は4.5。結構評価は高いようです。店のお薦めの黒トリュフフ入りのクリームパスタです。友人は、トマトのパスタをオーダーしました。長旅の疲れと寝不足が吹き飛ぶ美味しさです。
↓今回宿泊したホテル・トリエステ、3つ星ホテルです。街の中心からは、15分くらいですが、ちょっと坂道をのぼった静かな場所にあります。
こちらは、最近までワールドカップのイタリアチームの選手が宿泊していたそうで、おそらく来年のオリンピックでもイタリアチームの宿泊施設となるかと思います。朝食、夕食は、ここでいただきました。朝はビュッフェスタイル、夜はコース料理ですが、いずれもとても充実したものでした。過去に海外スキーで利用したホテルの食事としては、間違いなくベストといえる充実した内容でした。
以下は、こちらのディナーとワインについて書きたいと思います。
着いた初日は、ウェルカムドリンクとして、泡をオーダしました。
当然ながら、ヴェネトを代表するスパークリング、プロセッコです。
↓ヴェネチアからコルチナに向かう道路の沿いの平地のいたるところに、ブドウの樹がみられましたが、これらがプロセッコのブドウ(グレラ種)とのこと。初日は料理の内容が良くわからなかったので、無難なロゼのプロセッコをオーダーしました。プロセッコといえば、かつては、白のスパークリングでしたが、最近になってロゼがDOC(統制原産地呼称)ワイン認められ、2021年からProsecco DOC Roseとして市場に出回っています。プロセッコ・ロゼは、グレラ種にピノ・ネロがブレンドされています。コスパに優れた泡として、もともと世界的に人気の高いプロセッコですが、ロゼが加わったことで、その人気も加速しているようで、スーパにも多くのプロセッコ・ロゼが並んでいました。
サーモンピンクの美しい色合い。リンゴに白桃、ラズベリーやチェリーの赤い果実。柔らかな味わい。Extra Dryの表記がありますが、やや甘味を感じます。ただ、フレッシュな酸もあり、幅広い食事に合いそうです。
ここのレストランのディナーですが、前菜とメインを前日に数種類(その日のスペシャルメニューと定番メニュー)の中から選択することができます。
そのため、2日目以降は、選択した料理に合わせてワインをオーダーしました。
左上に黒っぽいパン(のかけら)がありますが、このパン、アニスシードが練りこんであります。あまり経験したことのない風味ですが、初日に食べて、結構気に入り、毎日、朝晩食べていました。2日目のメインの子牛肉のソテーに合わせて選んだのは、日本でも有名なモンタルチーノの造り手、コル・ドルチャのロッソ・ディ・モンタルチーノです。
カシス、ブルーベリー、チェリーの甘い赤黒系果実の香り、サンジョベーゼのやや強めの酸ときめ細かなタンニン。ミディアムボディで果実味が心地よいワインです。
ちなみに、ブルネッロは、オンリストされていませんでした。
3日目のメインは鴨のロースト、ラズベリーソースです。ジビエには、濃いめの赤ということで、ヴェネトの銘酒、アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラをチョイスしました。
深みのある鮮やかなガーネット。カシス、プラム、ブラックチェリーのコンポート、薔薇、バニラやリコリスの甘いスパイス香。円やかな酸と柔らかなタンニン、凝縮していますが、しつこくない甘味を感じる果実味、長い余韻。2018年ヴィンテージで、わずかに紅茶のニュアンスもありますが、まだ、熟成香は、それほど強くは出ていません。MASIのアマローネは、10年ほど前に1995年ヴィンテージを飲んだことがありましたが、しっかりした果実味に加え、その複雑さに驚いたことを記憶しています。
ちなみに、このアマローネ、レストランでの価格は56€だったと思いますが、スーパでは、52€で売られていました。良心的な価格にびっくり!
いずれにせよ、鴨にアマローネ、相性は抜群でした。
↓この日のデザート。デザートも数種類のメニューから選ぶことはできます。4日目は前菜にガルガネッリ・パスタ、メインは、鱸のフィレ(オリーブシチュー)をチョイス。
合わせたワインは、やはりヴェネトの白の銘酒、ソアーヴェ・クラシコです。
イエローの外観。柑橘果実に青りんごや白い花の香り、ミネラル感。フレッシュながらも、そこそこボディを感じます。
ソアーヴェは、軽いものもありますが、丘陵地で造られるクラシコは、概して厚みも感じられ、お気に入りのデイリーワインでもあります。MASIのソアーヴェ・クラシコは、初めて飲みましたが、美味しいです。
5日目は、イベリコ豚のグリル。メニューには”Grilled iberian white pluma <pork cooked rare>"とあります。plumaの意味が気になり、後で調べたところ、イベリコ豚の肩ロースの後方部にある三角形状の希少部位のようです。rareとありますが、低温調理と思われます。
見た目は、ちょっと地味ですが、ソース無しでもイベリコ豚の旨味が抜群に美味しい。これは、絶品です。滞在中に味わったメインの中では一番気に入った一品です。繊細な豚料理に濃い赤は合わないので、アルト・アディジェDOCのピノ・ノワールをチョイス。大好きなピノ・ノワールですが、ヴェネト州では、主要品種ではないので、あまり眼中になかったのですが、やはりピノが飲みたくなりました。
中程度のルビーカラー。甘やかなラズベリーやレッドチェリーの赤い果実のアロマが漂います。味わいは、しなやかな酸に果実のほどよい甘みが感じられ、最近 はまっている良年2022年のブルゴーニュのレジョナルを想起させます。
南チロルと呼ばれていたアルト・アディジェ産、ドイツ語圏でもあり、裏ラベルには、Südtirolの表記とともに、ピノ・ノワールのオーストリアとイタリアのシノニム、ブラウブルグンダーとピノ・ネロの表記もあります。6日目のディナーは、今回のフェロートラベルツアーのスペシャルディナーでした。
前菜は、鹿のタルタル ベリー添えです。鹿肉のタルタルというのは、初めて食べました。さっぱりとした味わいです。この日は、ファーストコースとして、2品つきました。
パンプキンと赤カブの大麦クリームリゾットとグリーンシュペッツレ(パスタの一種)に赤チコリとチーズフォンデュ、クルミ添え。この日は、本ツアーのスペシャルコースということで、オーナー一家自ら取り分けてくれました。右端の方がオーナーのサンドラさん、中央がワインのサーブをしていただいたロニーさんです。とてもフレンドリーなスタッフでした。
赤キャベツに隠れていますが、子牛のロース肉のグリルです。とても柔らかい肉でした。下の黄色いペーストは、ヴェネト名物のトウモロコシ粉を使った「ポレンタ」です。
この日はメニューが事前に分からなかったので、無難なロゼをチョイスしました。
ロゼにしては、濃いルビーレッドは、明らかにセニエ法で造られたロゼです。
ギルランというアルト・アディジェのドロミテ地方のワインで、日本にも輸入されているようです。ラベルに書かれた448s.l.mというのは畑のある海抜です。木苺、アセロラ、レッドチェリーの赤い果実香。適度な酸とタンニンがあり、フルーティな味わい。シンプルですが、いろいろな食事に合わせられそうなロゼです。
↓この日のデザート。アップル シュトゥルーデルの上にバニラアイスが乗っています。7日目、最後のディナーになります。
この日もスペシャル。2月14日ということで、バレンタインメニューでした。
どれも、バレンタインにちなんで、赤とピンクを基調とした料理になっていました。最後のディナーのワインは、ハウスセレクトワインからメルローをチョイスしました。
Podere dei Nidranというヴェネトのワイナリーのメルローです。濃いルビーレッドの色合いで、赤スグリ、レッドプラムの赤い果実香。複雑さはありませんが、酸と滑らかなタンニン、果実味のバランスが取れたワインで、するすると飲めてしまいます。
このレストラン、連泊を想定しているので、オーダーしたワインの取り置きが可能でしたが、結局、同行の友人と一晩で1本開けてしまい、この便利な取り置きを利用することはありませんでした笑。
↓バレンタインメニューの極めつけは、このデザート!
苺のムース(だったと思います)
イタリアの蒸留酒といえば、グラッパです。
食後に飲むのが基本ですが、スキー場のカフェにもしっかり置いてあります。スキーの最中に飲むのはちょっと気が引けますが、滑り終わって、スキー場で味わうグラッパは格別です。
シヴェッタのスキー場を滑り終えた後、カフェで、グラッパを注文したところ、
’White or XXXX?’と聞かれました。グラッパといえば無色透明のイメージしかなかったので意味が分かりませんでしたが、お薦めとして出されたのが、下の赤っぽいグラッパです。
その場では、分かりませんでしたが、CUMINOというのは、クミンでした。少し土っぽいスパイスの香りで、甘味があります。グラッパというより、グラッパベースのリキュールのようです。しつこくない甘味に何とも言えない複雑さもありこれは美味しいです。気に入ったこのリキュールをコルチナの街中のスーパーやリカーショップを探しましたが、残念ながら見つけられませんでした。
ただ、スーパ(生協)の売り場には多数のグラッパが並んでいました。もちろん、通常の無色透明のグラッパや樽熟成した琥珀色のレゼルヴ(結構高い)もありますが、目を惹いたのが様々な植物や果実を漬け込んだグラッパです。↓さんざん迷った挙句、クミン入りのグラッパを買ってみました。
スキー場で飲んだリキュールとはちょっと違いますが、これはこれで、ありかと。
ちなみに、手前のにあるのは、イタリア名物のポケット・コーヒー(Pocket Coffee)です。チョコレートの中に濃いエスプレットは入っています。グラッパとチョコ自体の相性は悪くはありませんが、正直クミンのフレーバとは微妙です。
もうひとつ、変わり種のグラッパです。
4日目のアルタヴァディアのアフタースキーで立ち寄ったカフェにて。「カフェ・コレット」、グラッパ入りのエスプレッソです。発音が悪かったのか通じませんでしたが、”Espresso with grappa”でなんとか通じました。
最後に、イタリアで購入したチーズについて、書きたいと思います。
イタリアは、フランスと並ぶチーズ大国で、スーパーにはイタリア産を中心に多くのチーズが並んでいます。ヴェネトを代表するDOP(イタリアにおける原産地名称保護制度)認定チーズといえば、アジアゴーAsiago、モンタージオMontasio、そして、ピアーヴェPiaveが代表格です。ピアーヴェは、日本でもしばしば購入していたお気に入りのハードチーズで、熟成したものは、パイナップルのような香りが感じられます。
↓今回、スーパで見つけた面白いチーズがコレ。
フリウリ産のイタリコI'TALIKOというタバコの葉で包んだ燻製チーズです。興味が湧きましたが、ニコチンを含んでいるという表示を見つけ、躊躇しましました。スモーカーには、受けるかもしれません。
結局、4 つのハード/セミハードチーズを購入しました。
テト・デ・モワンヌ(Tete de Moine) 3.7€/100g
ピアーヴェ・ヴェッキオ(Piave Vecchio)1.19€/100g
モンタージオ・メッザーノ(Montasio Mezzano) 1.39€/100g
ヴェルデ・パスコロ 27ヶ月(Verde Pascolo Monte 27) 1.19€/100g
ピアーヴェやモンタージオは、日本では、100gで軽く1000円(≒6.2€)を超えますので、圧倒的にお買い得です。 ヴェルデ・パスコロ というチーズ(DOPではありません)は、知りませんでしたが、この27ヶ月熟成したものは、ピアーヴェに似ていました。テト・デ・モワンヌは、イタリアではなく、スイスのチーズです。そのせいか少し高いですが、このチーズ、日本でホール(約900g)を購入すると1万円以上します。今回、ハーフで購入しました。
↓こんな感じで「ジロール」という専用の削り器で、花びら状に薄く削ります。とても濃厚で独特の美味しさがあります。
ゲレンデの食事を含めて、まさに美食の国イタリアを実感させてくれる素晴らしい料理を堪能することができました。
30年前の若かりし頃の海外スキーでは、あくまでスキーが中心でしたが、60代の今は、やはり美味しい食事とワインが楽しみに感じます。
今後、お金と体力が許せば、夏のヨーロッパアルプスもぜひ訪れてみたいと思います。
今回、天候には、あまり恵まれませんでしたが、なかなか楽しい10日間でした。
↓ちなみに、これは帰国日の雲ひとつない晴天の朝です。ちょっと残念!
了