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ブルゴーニュワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒とチーズの出会いを中心に日常を綴ります。

秋のニュージーランド旅行③~ワイヘキ島&クメウ ワイナリー訪問

秋のニュージーランド旅行、後半はオークランドに滞在して、ワイヘキ島のワイナリーとクメウのクメウ・リヴァーを訪れました。ワイヘキ島はあいにくの天候でしたが、なかなか個性的なワイナリーもあり、あまり馴染みのなかったワイヘキ島のワインを知る良い機会となりました。

オークランドからワイヘキ島へ

オークランドからワイヘキ島へは、約30分間隔でフェリーが運航されています。。
当日は。雨が降り続く悪天候で、多少揺れがありましたが。40分ほどで、ワイヘキ島のフェリー乗り場に到着しました。

ワイヘキ島内は、バスが運行されているようで、それを利用してワイナリーを周ることも考えましたが、必ずしもワイナリーの近くに停車する訳でなく、また、あまり飲みなれないワイヘキ島のワイナリーの知識を持たないため、ワイナリーの選定のアドバイスから訪問アレンジまでをお願いできる現地在住の方にガイドをお願いしました。

ワイヘキ島のワイナリーの多くは、フェリーターミナルのある島の西側に集中していまるので、比較的効率的にまわることができます。
今回は、下記の3軒のワイナリー(予定では4軒)を訪れることができました。

↓ワイヘキ島のフェリーターミナルです。

最初に訪れたのは、Mudbrickです。

マッドブリック・ヴィンヤード(Mudbrick Vineyard)

ワイナリーについて、HPによると、
オークランドで会計士として働いていたニコラス・ジョーンズと会計士を目指していたロビン・ジョーンズ夫妻が1992年にマッドブリックを購入し、ブドウ園をスタート。1996年からワインをリリースし、その後レストランを開業しています。
ということで、ワイナリーの正式な名前は、’Mudbrick Vineyard &Restraunt’となっています。
眼下にハウラキ湾を臨めるレストランをもつこのワイナリーは、結構人気があるようで、多くのワイナリーツアーにも組み込まれているようです。テースティングは、Flagship Tasting 44NZ$、New Zealand Tasting 22NZ$の2つのコースがありますが、後者はマールボロ産のワインを含むスタンダードレベルのワインのテースティングなので、ここは迷わず、ワイヘキ島産の6種類の上級ワインのテースティングができるFlagship Tasting をチョイスしました。

まずは、シャルドネから

Reserve Chardonnay 2023 Waiheke

レゼルヴでないワインがあるのか不明ですが、リストにある中では、シャルドネの中では、このレゼルヴが最も安いワイン(69NZ$)でした。
フレンチオークで8ヶ月熟成。
熟したリンゴ、白桃、洋ナシ、アプリコット、果樹の花、バニラ、バター。過度ではないほどよいオークの香り。味わいは、中程度の酸を感じた後でリッチな果実味。まだ若いので複雑性はそこそこだが、酸と凝縮した果実味から熟成にも期待が持てそう。
ということで、こちらを購入しました。

’Francesca’Chardonnay 2024 Waiheke

フラッグシップの’Franceca’、飲む前に価格を見てしまいましたが、170NZ$。ブルゴーニュのプルミエ・クラスレベルですが、ニュージーランドシャルドネとしては結構高価かと思います。良い葡萄を選別して醸造しているとのこと。樽熟成は、レゼルヴ同様フレンチオーク8ヶ月ですが、2024年ヴィンテージなので瓶詰め直後でしょうか?
生産量は10樽ほど。2024年は天候が良かったようで、いつもは、4~5樽の生産量のようです。少量生産ゆえの高価格かと思います。需要に供給が追い付かず、過去ヴィンテージは、早々に売り切ってしまっているものと思われます。
ちなみに、Francescaは娘さんの名前とのこと。
重厚なワインを想像しましたが、ヴィンテージのせいもあってか、よりフレッシュに感じました。香り、風味は、レゼルヴに似ていますが、わずかにミネラル感が強いように思われました。

シラーも同様に2種類

Reserve Syrah 2023 Waiheke
Oscar Syrah 2024 Waiheke

フラグシップのOscarは、息子さんの名前とのこと。
やはりシラーは人気が高いようで、2024年ヴィンテージ以外は売り切れてしまったようです。ちなみに、価格は、Francescaと同様170NZ$です。
濃いダークチェリーレッドの外観。Oscarのほうが、やや縁に淡さが見られます。
カシスやブラックプラムの黒系果実、ブラックペッパー、リコリス、グローヴの香り。この品種にしてはやや高めの酸、タンニンはなめらかで柔らかい印象。余韻も長い。お隣のオーストラリアのシラーズとの例えでいえば、バロッサヴァレーのような濃厚なタイプではなく、アデレードヒルズのシラーズに似ており、エレガントなタイプのシラーズ。気候的にも似ているのかもしれません。ちなみにワイヘキの気温は、オークランドよりも2℃ほど高いようです。

シャルドネ、シラーともにワイナリーからちょっと離れた島の中央近くの畑で栽培されているようです。

Reserve Bordeaux Blend 2022

ワイヘキ島のワインは、シラーに定評がありますが、ボルドーブレンドも多く造られています。純ボルドー品種以外にマルベックをブレンドしているのが特徴のようです。
メルロー60%、プティ・ヴェルド、カベルネ・ソーヴィニヨン、マルベックのブレンド
カシス、ブラックプラム、ダークチェリーの黒い果実。リコリスナツメグ、グローブ、メルロー主体で熟したまろやかな果実味を中心に、他の品種が鮮やかな色調やスパイシーさや複雑さを加えているようです。タンニンも豊かですが、収斂性はなく、飲み口は滑らか。Reserve Montepulciano 2024

今年初めてリリースされたモンテプルチアーノを試飲させてもらいました。
ワイヘキ島でモンテプルチアーノというのは、ちょっと意外ですが、実は、このワイナリーのすぐ近くにあるJurassic Ridgeというワイナリーで、評価の高いモンテプルチアーノのワインを生産しており、今回、Jurassic Ridgeも訪問予定でした(結果的に、気まぐれな?当主不在で実現しませんでした)。どうもこのあたりの土壌や気候がモンテプルチアーノと相性が良いようです。
黒系果実の香りに、少し甘みを感じる濃厚な果実味とスパイス感。
こちらも若いながらも、タンニンは柔らかくで、十分楽しめる味わいでした。Matiatia Port Waiheke 2021

テースティングの最後は、何とポートワインでした。しかもプティ・ヴェルド100%です。プティ・ヴェルドは、色が濃く、タンニンが豊富なボルドー品種ですが、主体品種となることはあまりなく、補助品種として扱われるのが通常です。
おそらく、品種のもつ濃厚なパワフルさを生かすためにポートワインに使われていると思われます。
あまり飲みなれないポートですが、全く違和感はありません。2軒目は、ケネディ・ポイント・ヴィンヤードです。

ケネディ・ポイント・ヴィンヤード(Kennedy Point Vineyard)

ワイナリーは、フェリー乗り場の近くにあります。
島で唯一のオーガニック認定を取得しているワイナリーとのこと。前訪問地のセントラル・オタゴと異なり、暖かく、雨も多い気候の為か、オーガニック栽培はなかなか難しい地域のようです。

質素なセラードアですが、別に宿泊施設(ゲストハウス)も備えているようです。
下の写真は、ニュージーランド観光局のHPから引用したものですが、なかなか素晴らしいロケーションです。この写真で赤い花が咲いた木か見えますが、ポフツカワという名前でクリスマスの時期に咲くことから、別名ニュージーランドのクリスマスツリーと呼ばれているようです。↓訪問時、セラードアの窓から見えるポフツカワのはこんな感じでした。

↓ワイナリーのHPのトップページですが、角があり茶色い毛の長い牛はハイランド種と思われます。↓当日は醸造責任者のブランデルさんが対応していただきました。まず、ロゼから。

2023 Rosé Waiheke Island

他のワインと異なるポフツカワの木がデザインされている丸い真っ赤なラベル。
シラーからのロゼで、樽熟成しているようです。イチゴやチェリーの華やかなアロマ。、クリスピーな酸のアタックにわずかにタンニンの余韻が感じられる美味しいロゼ!

2022 Syrah Waiheke Island

少し紫がかったガーネットの外観。
ブラックベリー、プラムの黒系果実にブラックペッパー、グローブの香り。Mudbrick同様、熱さを感じないエレガントなシラー。↓2021年のシラーが国際コンクール(IWC)で金賞を受賞したようです。

2015 Sunbow Wiiheke Island

ちょっとスペシャルなワインを試飲させてもらいました。
カベルネソーヴィニョンとメルローボルドーブレンドです。
2015年ということで少し熟成感も出ており、落ち着いた果実味と滑らかなタンニン。セイヴォリーな味わい。
このワイン、ブランデルさんの大のお気に入りとのこと

2022 Hauraki Waiheke Island

ハウラキ湾(ハウラキはマリ語で北の風の意味)の名前を冠したワイン。
カベルネフラン56%、メルロー24%、マルベック20%のブレンドワイン。ブルーベリー、レッドプラム、ダークチェリーの赤黒果実にフランからのグリーンノートが加わり、エレガントさを感じる。フルーティさとセイヴォリーさが両立したワイン。
個人的には、シラーよりもこちらのワインが気に入りました。このワイナリー、ハチミツを造って販売しています。
マヌカと前述のポフツカワからのハチミツのようです。純粋なマヌカハニーは物凄く高価ですが、こちらは割と手頃な価格だったので購入してみました。ハチミツが並んでいる棚の下にコルクがありますが、ここのワインは、スクリューキャップでなく全てコルクが使われています。
コルクにこだわる理由について聞いたところ、リサイクルできて、環境にやさしいということとワインの風味に影響を与えない為とのこと。スクリューキャップのシール材についている糊がワインに影響を与えるという懸念をもっているようです。

話し出すと止まらないこだわりの醸造長のようです。コルクへのこだわりを含め、ナチュラルなワイン造りに強い思いを持っていることが感じられました。

ランチは、海岸沿いの’Three Seven Two’というレストランで。名前の由来は、ワイヘキの電話番号の最初の3桁とのこと。

↓セントラル・オタゴでは出会えなかった(というより探さなかった)美味しいシーフードを堪能できました。ハウスワインのソーヴィニヨンブラン。
ラベルデザインをよく見ると「372」になっています。

最後のワイナリーは、タンタラス・エステートです。

タンタラス・エステート(Tantalus Estate)

2013年にこの地にオープンした比較的新しいワイナリーです。
ボルド&ローヌスタイルのワインを造っています。

↓こちらも、洒落たレストランが併設されています。テースティングはここで行えます。

シャルドネは2種。

Estate R&D Reserve Chardonnay 2022(62NZ$)
Reserve Cachette Chardonnay 2021(105NZ$)

どちらも、やや淡いレモンイエロー。
青リンゴ、洋ナシ、パイナップルの果実香にバターやブリオッシュ、樽からのバニラもあるが、樽香はあまり強くなく、割と軽やかなシャルドネ。一方は、手書きラベルで開発中のもののようですが、正直あまり差は感じませんでした。↓所有するブドウ畑を説明してくれます。畑は、ワイナリーを囲むように存在しているようです。Estate Rosé 2023 (62NZ$)

シラーからのロゼ。やや濃い目のサーモンピンクで、それなりの期間のマセラシオンを経ているかと思われます。赤いベリーとチェリーの果実香にミネラルとスパイス。ドライなテーストで軽いタンニンの余韻。美味しいロゼ。様々な料理にあわせやすそう。

Reserve Évoque Merlot/Malbec/Cabernet 2018(95NZ$)
Reserve Écluse Cabernet/Merlot/Malbec 2018(110NZ$)
Reserve Évoque Merlot/Malbec/Cabernet 2014(145NZ$)
Reserve Écluse Cabernet/Merlot/Malbec 2014(165NZ$)

ボルドーブレンドの主要品種とヴィンテージの飲み比べです。
エヴォーク(Évoque)は、メルロー主体で、マルベック、カベルネソーヴィニヨンのブレンド。エクルズ(Écluse)は、カベルネソーヴィニヨン主体で、メルロー、マルベックのブレンドです。ブドウは全く同じで、樽熟期間(18ヶ月)も同じ、ブレンドの比率だけを変えているようです。
エヴォークは、ブラックプラム、ダークチェリー、リコリスナツメグに僅かにユーカリに、レザー、バニラの香り。ややスモーキーなニュアンスも。酸、タンニンはほど良く中程度。余韻も長い。
エクルズは、カシスやシダーの香りにレザーやタバコの香りが加わります。カベルネの青っぽさはほとんど感じません。酸は中程度、タンニンはやや強め。
どちらも酸、果実味、タンニンのバランスが取れたワインです。

↓2014年は、ガーネットの色調も落ち着いており、流石にタンニンもまろやかになっていますが、2018年の今でも十分美味しく飲めます。

Estate Syrah・Viognier 2017(65NZ$)
Reserve Voilé Syrah 2018(95NZ$)

シラーはやはり、エレガントなタイプだと思いました。
なかでも、ヴィオニエを少量ブレンドしたシラー・ヴィオニエはまさにローヌスタイルですが、より柔らかな口当たりで、重くスパイシーなシラーが少々苦手な私にとっては好みのタイプです。ということで、このシラー・ヴィオニエ、購入しました。↓流石に、この頃はちょっと酔いが回ってきており、この最後のシラーについての記憶はちょっとありません笑。ブレンドの比率は、その年の各ブドウ品種の出来により変えるのが通常ですが、同一ヴィンテージで、同じブドウを比率を変えてブレンドし、別々にリリースするというのはあまり聞いたことがありません。新しいワイナリーならではのチャレンジかと思います。なかなか興味深いテースティング体験でした。

ジュラシック・リッジ(Jurassic Ridge)

今回、訪問予定に入っていたジュラシック・リッジです。最初に訪れたマッドブリックのすぐ近くにあります。オーナが気まぐれな方のようで、訪れた時は留守で、残念ながら、すっぽかされてしまったようです。こちらのモンテプルチアーノが絶品と聞いていたので、ぜひ試したかったのですが、残念!

ワイヘキ島のワインショップ

最後にワイヘキ島のワインショップを訪れました。
Waiheke Wine Centreというワイヘキ島で最大のワインショップのようです。

↓今回訪れたマッドブリックやタンタラスのワインもありました。ケネディ・ポイントのワインはありません。
写真左上は、ニュージーランドで高価なワインのひとつとして知られているデスティニー・ベイです。tちなみに、最も高価なマグナ・プラミエ(Destiny Bay Magna Praemia)が835NZ$でした。

ワイヘキ島の翌日、オークランドの北西20kmほどのクメウ(Kumeu)を訪れました。ここは、ニュージーランドのワインの歴史を語るうえで欠かせないワイナリー、クメウ・リヴァー(Kumeu River)があります。

クメウ・リヴァー・ワインズ(Kumeu River Wines)

クロアチアからの移民であるマイケル・ヴラコヴィッチ氏が1944年にクメウに設立したワイナリーです。特にシャルドネが欧米の評論家から高い評価を受けており、日本でも高い人気があります。マイケル・ブラコヴィッチはニュージーランド初(1989年)のマスター・オブ・ワインでもあります。

当初は、ここを訪れる予定はなかったのですが、オークランドでレンタカーを借りることになったのと天気が良かったので、アポなしでしたが、ワイナリーを訪問しました。

テースティングはシャルドネ3種、ピノ・グリ、ピノノワール2種の計6種類です。

Kumeu Village Chardonnay 2024
Rays Road Chardonnay 2023
Estate Chardonnay 2023
Estate Pinot Gris 2024
Hunting Hill Pinot Noir 2021

テースティング料は15NZD$(1300円)と良心的。以前は、10NZ$だったようです。
やはりシャルドネはヴィラージュクラスから美味しいです。ピノ・ノワールは日本での試飲会でも飲んでいますが、正直あまり印象的ではありません。↓壁にはヴラコヴィッチ家の家族写真が飾られています。

↓テースティング中、こんな記事を見せてくれました。
かつて皇太子(現天皇陛下)がイギリスを訪問した際に晩餐会で提供されたワインのひとつが、ハンティング・ヒルシャルドネ2016だったとのこと。試飲後、フラッグシップのマテズ・ヴィンヤード2023年を購入しました。100NZ$(約8500円)でした。日本では、1万円と遥かに超えてしまったので、こちらの価格も良心的です。マテズ・ヴィンヤードの場所を尋ねたところ、ワイナリーのすぐそばということでした。
↓道路を挟んで、すぐ向かい側に畑がありました。↓当然ながら収穫は終わっていますが、手入れの行き届いた綺麗な畑でした。↓購入したマテズ・ヴィンヤードのワインと記念撮影。

絶品!緑のムール貝

当日の夕食の材料を調達するため、クメウのスーパーに立ち寄りました。
↓ここで発見したのが緑色のムール貝ニュージーランドで養殖されているグリーン・マッスル(Green lipped mussels)というムール貝のようです。

↓これが絶品でした。臭みもなく、こんな肉厚のムール貝、初めてです。

おわりに

今回のニュージーランド旅行は南島が中心だったため、オークランドは短い滞在でしたが、美味しいシーフードを味わうこともできて、なかなか充実した時間を過ごすことができました。

最後にワイヘキ島のワイナリー訪問でお世話になった、ワイヘキ在住のAyaさんに深く感謝いたします。あいにくの天気でワイヘキの自然を楽しむことはできませんでしたが、機会があれば、またゆっくり訪れてみたいと思います。