エポワス&フィリップ・ルクレール

久々にエポワスをホールで購入しました。ワインは同郷のジュヴレ・シャンベルタン。エポワスに負けない力強いワインの印象をもつドメーヌ・フィリップ・ルクレールのジュブレシャンベルタン 1erシャンポーを選択しました。後半は、風変りのフィリップ・ルクレールのドメーヌを2015年に訪れた際の訪問記です。

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 エポワスは、ブルゴーニュ地方で、ワイン醸造の際に使用したぶどうの搾りカスから作られる蒸留酒「マール」で洗ったウォッシュタイプのチーズです。時々購入していますが、ホールで3000円を超えるチーズの為、大抵、チーズショップで熟成して内部がトロトロになったもの物を狙って、ハーフカットしてもらい購入しています。今回は、世田谷の信濃屋で、賞味期限が近いということで、割引されているエポワスを久々にホールで購入しました。熟成して最も美味しい時期のものなので、直ぐに食べるのであれば、間違いなくお買い得です(フレッシュチーズ以外の、チーズの賞味期限というのはそのようなものです)

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合わせるワインとして浮かぶのが、やはり、同郷のブルゴーニュの赤ワインです。中でもエポワスの強い風味に負けないブル赤として、ジュヴュレ・シャンベルタン、更に、力強く、タニックなワインを生み出すドメーヌ・フィリップ・ルクレールのジュヴレ・シャンベルタンの1級シャンポー(Champeaux)です。ジュヴレ・シャンベルタン村の北端にある1級畑です。

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ブルゴーニュアペラシオン完全ガイド(美術出版社)から引用

フィリップ・ルクレールといえば、このど派手なラベルです(今回飲んだボトルではありません)。f:id:turque1991:20190721233740j:plain

豪華なラベルにも惹かれ、ブルゴーニュワインにはまり始めた1990年後半によく飲みました。とにかくタニックなワインという印象でした。20年ほど前に、「やまや」が主催する(リアル)オークションで、1997年のGevery Chanbertin Les Platièresという村名ワインを1ケース落札したことがあります。当時の価格で1本2千円位だったと思います。最初に飲んだ瞬間、まさに渋柿を食べたようなタンニンに驚いた記憶があります。2年ほどかけて、12本全て飲みましたが、タニックさは殆ど変化ありませんでした。その後、何回か飲む機会はありましたが、90年代に比べると多少飲みやすくなっていますが、やはり濃く、スパイシーなワインという印象は変わりませんでした。いわゆるアメリカ市場に目を向けた新樽率の高いワインを生産するドメーヌという印象を持っていました。

今回は、良年の2010年のジュブレ・シャンベルタン1級ということで、逆にエポワスに負けない力強さを期待して、セラーの中にあったこのワインを選びました。

結果は..良い意味で裏切られました。

思ったほど色は濃くありません。中程度のガーネットです。ラズベリー、レッドチェリーのフレッシュな赤系果実に乾燥イチジク、ドライハーブやリコリス、ナツメグ。新樽熟成によるスパイシーさはそれなりに感じられますが、それほど突出したものではありません。中程度の酸と少し苦みを伴うフィニッシュ。時間が経つと、甘みや妖艶な腐葉土の熟成香が出てきます。

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1990年代によく飲んだフィリップ・ルクレールではありません。野暮ったさは見られず、エレガントにすら感じられるワインに変身しています。シャンボール・ミュジニーやヴォーヌ・ロマネと言われても、納得してしまうかも知れません。

ここで、エポワスです。同郷であることに加え、(ブドウの絞りかすを蒸留させて造られる)マールでウオッシュしているというのが、一般的に相性の根拠となっています。ただ、果たして繊細で華やかなブルゴーニュに強い香りと癖のある風味を持つエポワスが合うのかと考えてしまいますが、実際に合わせてみると、ブルゴーニュワインのもつ酸や甘みが、エポワスの塩味や旨味を引き立ててくれることがわかります。また熟成ワインに感じられている腐葉土や獣香と熟成の進んだエポワスの発酵臭との相性もポイントになるかと思います。

下のクラッカーに乗っているのは、ドライクランベリーです。ブリー等の白カビにはよく合いますが、エポワスの香りには飲み込まれてしまいます。まあ、飾りです。

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料理は、エポワスと一緒に買った鴨のコンフィです。これもブルゴーニュ赤によく合います。

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以上が、エポワスとフィリップ・ルクレールのワインのテースティング記録ですが、このドメーヌ・フィリップ・ルクレールについて、少し書きたいと思います。

2015年8月の、このジュヴレ・シャンベルタンに本拠を置くドメーヌを訪問しています。

入口近くには、フィリップ・ルクレールとショーン・コネリーとの2ショット写真が。見ての通りワイルドな風貌です。ラモス瑠偉に似ています笑。

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セラーの中です。石造りのセラーに古酒を含む多くのボトルが藤蔵されているところは、他のドメーヌと変わりありません。

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ところが、別な部屋に移動するといきなり、これです(笑)

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フィリップ・ルクレールはどうも狩りが趣味のようで、至る所に剥製や角が飾られています。

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あと、ワイン造りの道具も展示されています。中には、何に使用するのか解らない道具もあります。

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巨大な牛のオブジェです。馬がブドウ畑を耕すことが知られていますが、牛も使われていたのでしょうか?

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 一部の部屋を改築中でしたが、まるで遺跡の発掘現場です。

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要するにセラーにちょっとした風変りな博物館があります。これを見るだけでも、ここのワインの好き嫌いは別にして、このドメーヌを訪問する価値はあるかと思います。

セラー見学を終えると、入り口近くのショップでテースティングです。飲んだワインは忘れましたが、ショップのリストを見ると1995年のEm Chanpsという村名ワインが目に留まり、迷わず購入しました。54€でした。この記事の前半に出てくる写真右のワインです。

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 以上、後半は、このドメーヌの訪問記でしたが、ここのワインは、日本での評価はいまいちのようです。今や日本のブルゴーニュ・ラバーのバイブル的な存在のリアルワインガイド紙に至っては、完全無視です。この雑誌は、濃くタニックでなアメリカ市場志向のワインを毛嫌いする傾向があります(最近は、デュジャックの評価も止めています)

2015や2016年といった最新ヴィンテージは飲んでいませんが、少なくとも、今回の2010年を飲んで、印象が少し変わりました。売れ残っているせいか、時々良年のバックビンテージも出てきます。しかも、この価格高騰のブルゴーニュワインの中にあって、1級でも1万円ちょっとで購入することができる良心価格は、非常にありがたいことです。

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この記事を書いた人

1958年東京生まれです。
昨年、仕事をリタイアして大好きなブルゴーニュワインとグルメや旅行を楽しんでいます。
主な資格(Foods&Drinks):
JSA ワインエキスパートエクセレンス
JSA SAKE Dioploma
WSET Level3
CPA チーズプロフェッショナル
唎酒師

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