アンリー・グージュ NSG レ・サン・サンジョルジュ2009年

小作農だったアンリー・グージュ氏が1925年にニュイ・サンジョルジュで設立したドメーヌで、自家元詰の元祖的な存在です。ここのワインは、しばらく、濃く、タニックであることを特徴としていましたが、2000年代後半ごろから、エレガント路線に転向したことを知り、8年前に購入したワインです。思い込んでいたイメージを覆す素晴らしいワインでした。

 アンリー・グージュ氏は、20世紀初に当時のネゴシアンによって名前を偽ったブルゴーニュワインが広がるのを危惧して、ブルゴーニュで最も早く自家元詰めを始めた人物です。いわば、ブルゴーニュのドメーヌワインの立役者として知られています。マルキ ダンジェルヴィルやアルマン ルソーらと共に1935年にINAO(原産地統制名称協会)の設立に尽力した人物でもあります。

 このドメーヌのワインは、1960年代後半から1980年後半まで評価を落としていたようで、評論家のマッド・クレイマは、「ブルゴーニュワインがわかる」の中で、この生産者をかなり酷評しています。その後、濃厚なワインを生みだすようになり、米国の評論家の評価は回復したようです。現在は、4代目のグレゴリー氏が中心になり、濃い目ながらもエレガントなワインを生産しているようです。2008年には、ビオロジー(有機栽培)に移行しています。100%除梗で、発酵はコンクリートタンクで行っています。

日本のリアルワインガイド誌でも発刊当初からドメーヌでのテースティング評価を取り上げており、2000年代前半までは、濃く骨太のワインとして紹介していました。2000年代後半からややエレガント路線に転換したようで、そのころから評価も向上していますが、濃く・タニックのイメージが強く、購入しても直ぐ飲むのを控えていました。

▼ニュイ・サン・ジョルジュ・1erCru・レ・サン・ジョルジュ2009年です。

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写真では濃く見えますが、実際は中程度のラズベリーレッドで上からグラスの底が見えます。縁に少しレンガ色が混じります。濃く・タニックのイメージは、良い意味で裏切られました。ラズベリー、ダークチェリ、プラム、バラ、甘草、バニラの甘い香りが漂います。時間の経過とともに、紅茶、枯葉、腐葉土の熟成香も。豊かだが高すぎない酸、タンニンはスムーズでシルキー、果実実豊かで中域もしっかりしており、アフターも長めです。正に飲み頃を感じますが、ニュイ・サン・ジョルジュ最良の1級畑から生み出される骨格感のあるワインであると同時に、ヴォーヌ・ロマネと言われても信じてしまうエレガントさも兼ね備えています。美味しい!

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こういうワインと炭火焼き鳥の組み合わせは最高です。

濃い・タニックのイメージが強くで長く敬遠して、しばらく買い控えていたのを後悔していますが、幸いにも最近の価格高騰の流れには、あまり乗っていないようです。比較的地味なドメーヌなので、在庫も未だそれなりに残っているようです。ただ、早飲みに向いたワインではないので、入手しても若干の辛抱は必要かと。

<了>

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この記事を書いた人

1958年東京生まれです。
昨年、仕事をリタイアして大好きなブルゴーニュワインとグルメや旅行を楽しんでいます。
主な資格(Foods&Drinks):
JSA ワインエキスパートエクセレンス
JSA SAKE Dioploma
WSET Level3
CPA チーズプロフェッショナル
唎酒師

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