3月のウィークディに飲んだワインです。新型コロナによる自粛で、外で飲むこともほとんどなくなり、じっくりと家でワインをチーズと共に楽しんでいます。デイリーからプレミアムワインまで入り混じっていますが、デイリーとしては、ベンティスケーロ、スペシャルとしては、ファルネーゼのエディツィオーネが印象に残りました。
ベンティスケーロ・レゼルバ・パイス・モスカテル 2016年
Ventisquero Reserva Pais Moscatel 2016
チリのマウレ・ヴァレ―のワイン。樹齢100年を超えるチリの土着品種「パイス」と「モスカテル」の混醸。比率は、パイス85%、モスカテル15%。
ラベルにも大きく記載されているVentisquero(ベンティスケーロ)というのは、スペイン語で「氷河」の意で、氷河のクリーンなイメージと、自然環境からの恩恵を思わせることからその名がつけられたようです。


輝きのあるガーネット。思ったほど濃い色ではなく、濃いめのピノノワールのような色調。ラズーベリー、ダークチェリー、ドライハーブ、薔薇、スミレ、甘草。ピノっぽくも感じられる。軽いバニラの樽香、比較的柔らかく酸と滑らかなタンニンのバランスも絶妙。僅かに苦みを伴ったアフター。特に香りが特徴的で、これは、15%ほど混醸された白ブドウのモスカテル(モスカテルは、黒ブドウもありますが、これは、白だと思います)の影響と思われます。ちなみにパイス100%のワインはまだ飲んだことはありません。チリワインのイメージとはちょっと違う柔らかなワインです。デイリーとしてはなかなか面白いワインかもしれません。重い肉料理より、鶏肉や豚肉料理に合いそうです。
(3.3)
ドメーヌ・アルロー シャンボール・ミュジニー 2013年
Domaine Arlaud Chambolle-Musigny 2013
モレ・サンドニ村に本拠を置く名門ドメーヌです。手頃な価格で買えるブルゴーニュレジョナルを以前は良く飲んでいました。あまり、外れたことがなく、ヴィンテージに関係なく安心して飲める造り手だと思います。


濃いめのラズベリーレッド。ラズベリー、ブルーベリー、アメリカンチェリー、スミレ、ブラックペッパーやリコリスのスパイス香、柔らかいオーク香。味わいは、比較的高めの酸がしっかり感じられるが、熟した果実香、滑らかなタンニンとのバランスが取れている。決して良いヴィンテージではありませんが、柔らかい口当たりのシャンボール・ミュジニーの特徴は良く出ていると思います。熟成のアロマがはっきり感じられるには、もう少し時間がかかりそうですが、今飲んで、普通に美味しいシャンボール・ミュジニーだと思います。
(3.4)
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フィリップ・シャルロパン・パリゾ ブルゴーニュ キュヴェ プレスティージュ 2016
Philippe Charlopin Parizo Bourgogne Rouge Cuvée Prestige 2016
ジュヴレ・シャンベルタンに拠点を置くドメーヌで、ブルゴーニュワインの神様アンリ・ジャイエの愛弟子としても知られていますが、あまり縁がなく、五本の指で数えるほどしか飲んでいません。今回のブルゴーニュレジョナルも初めて飲みます。


やや透明感のあるラズベリーレッド。抜栓直後は香りがあまり立たなかったが、徐々に開きだし、1時間も経つとようやく開き出しました。レッドチェリー、ラズベリー、ドライハーブ、スミレ、薔薇、リコリス。梅を感じる酸は若干強め。タンニンは柔らかだが、甘みはあまり感じない。抽出が強く濃いイメージを持っていましたが、このワインはそうでもありません。開き出しに時間がかかりましたが、それなりに美味しいレジョナルでした。
(3.1)
ドメーヌ・アルロー モレ・サン・ドニ 1級 オー・シェゾー 2012年
Domaine Arlaud Morey-St-Denis 1erCru Aux Cheseaux 2012
先日のシャンボール・ミュジニーに引き続いて、ドメーヌ・アルローです。本拠をモレ・サン・ドニ村に置くだけあって、モレ・サン・ドニに4つの1級畑を所有しています。そのうちのひとつ、オー・シェゾーです。ジュヴレ・シャンベルタンに接していることから、クロ・ラ・ロッシュのように骨格のしっかりしたワインと想像できます。



ガーネットがかったやや濃いめのガーネット。ダークチェリー、ブルーベリー、ブラックベリー、カシスといったどちらかと言えば黒系果実の香り。ドライハーブ、リコリス、バニラ、ナツメグ、コーヒー、土。オークのニュアンスがやや強め。味わいアタックには高い酸が感じられるが、熟度を感じる果実としっかりとしたタンニンにより骨格が結構しっかりしているので、あまり気にならない。熟成のアロマが感じられ、はっきしとした腐葉土の香りも。
先日飲んだシャンボール・ミュジニーに比べると明らかに一段上の力強さを感じます。1級なので当然かもしれませんが、少し鉄っぽさもあり、ジュヴレ的なテロワールが確かに感じられます。2012年もようやく飲み頃に入ってきた感じです。
(3.5)
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ダニエル・エ・ジュリアン・バロー プイィ・フュイッセ レ・クレイ 2014年
Daniel et Julien Barraud Pouilly-Fusse Les Crays 2014
我が家の定番、ダニエル・バローのプイィ・フュイッセです。ブルゴーニュの白で、コストパフォーマンスの点で、右に出るものはないと思っています。

輝きのあるイエロー。黄リンゴ、ビワ、蜂蜜、ドライイースト、ミネラル、火打石、黄色い花。果実味は、しっかりしているが、少しヘーゼルナッツの熟成香も。酸は落ち着いており、果実の厚みと熟成感が同居している。
(3.4)
ダニエル・バローは、セラーにそこそこストックしており、経年変化も楽しんでいます。このワインは、若いうちに飲むと「やや甘く、フルーティで、するする飲める」という印象になりますが、数年熟成させると、本領を発揮し断然美味しくなります。具体的には、厚みが出てきて、複雑性と深みが増します。コート・ドールと比べて、早く飲み頃に達すると感じています。
現在の飲み頃ベストは、2013年と思いますが、この2014年もそろそろ飲み頃をになっていると感じました。
ブドゥレアスカ ヴァイン・イン・フレーム シャルドネ 2018年
Budureasca Vine in Flames Chardonnay 2018
リアルワインガイド68号で旨安大賞に選ばれ、同誌の表紙を飾ったルーマニアのワインです。同じルーマニアのピノ・ノワールも同誌64号の表示を飾っています。
今注目の(?)ルーマニアワインのようです。

クリームイエロ―の外観。青リンゴ、レモン、アカシアの花、たっぷり目のミネラルと少しバターのオイリーっぽさも。少し時間を置くと、アプリコットやハチミツっぽい濃密な果実味も感じられてきます。樽熟からのバニラ香もそこそこ感じられます。酸は比較的シャープで、苦みは僅か。若いこともあり、複雑さはそれなりですが、ニューワールド的な甘みは感じず、ブラインドで飲んでもコート・ド・ボーヌやマコン等のブルゴーニュとあまり区別はつかないかと思います。普段飲みには良いかと。
(3.0)
シャトー・ムリネ・ラセール 2009年
Chateau Moulinet-Lasserre 2009
始めて飲むボルドーワインですが、シャトー・ペトリュスのムエックスグループの傘下のワインのようです。楽天のウメムラ・ワインセラーで大絶賛されているので2本購入しました。1本目は、飲み会に持ち込んだ為、あまり覚えておらず、2本目はじっくり家のみです。セパージュは、メルロー70%、カベルネ・フラン20%、マルベック10%とのこと。

濃いめのダークチェリーレッド。ブラックカラント、ブラックベリーの黒系果実、タバコ、ピーマン。芝生、黒胡椒、シダー、オーク。甘さはほとんど感じず、スパイシーな風味と、果実味を打ち消す青っぽさとざらつくタンニン。
良年の左岸の熟成メルローのまろやかさとフランのエレガントさを期待しましたが、ちょっとはずれでした。収斂性の残るタンニンと若いカベルネに見られる青っぽさ。あくまで個人的な感想になりますが、このワインはちょっと好みではありません。飲んだ際の体調もあるのかもしれないので、今回は、正直ネガティブな印象しか残りませんでした。

(2.5)
コンテ18M、ルクロン(ウオッシュ)、ロックフォールです。
ロックフォールは、パピオン社のブラックラベルで、通常の熟成期間より少し長い5ヶ月熟成です。フルボディの赤に合うと言われるロックフォールですが、特にシャープさが強いこのブルーチーズとタンニンが強く甘みを殆ど感じないこのワインの相性は、苦みが強調されてしまい、いまいちのように感じられました。

ジャン・フルニエ ブルゴーニュ・ピノノワール 2016年
Jean Fournier Bourgogne Pinot Noir 2016
コート・ドールの最北端のマルサネ村のドメーヌです。マルサネ最古の造り手で、マルサネ村の優良な畑を所有しています。2008年以降、完全ビオロジック栽培へ切り替えています。日本では、2014年ころからワイン評価誌を中心に評価が高まり、2016年は特に高い評価を受けたことから、そこそこの数を購入しました。


中程度~やや淡目のラズベリーレッド。レジョナルながら、やや閉じている印象で、抜栓後しばらくは香りは立たず。1時間ほどすると、ラズベリー、レッドチェリー、レッドプラムの赤系果実のの香りが出てくる。味わいには、ミネラルが感じられ、やや強めの酸とそこそこ豊かなタンニン。凝縮した果実味は十分感じられるので、2年くらい置いた方本領が発揮されるのではないかと思います。今飲むのであれば、1~2時間のエアレーションが必要かと。
(3.0)

味付きカルビ、チーズは、コンテ18M、ルクロン(ウオッシュ)、ロックフォール。意外に濃厚なチーズも合います。
ドメーヌ・ユドロ・バイエ シャンボール・ミュジニー V.V. 2012
Hudelot Baillet Chamnbole Musigny V.V. 2012
シャンボール・ミュジニー村にある、人気ドメーヌ、ユドロ・バイエを代表する古樹から造られる村名ワインです。


中程度の濃さのラズベリーレッド。ラズベリー、アメリカンチェリー、フェンネル等のドライハーブ、薔薇、甘草、コーヒー、下草、土っぽさも。タンニンは、比較的柔らかく滑らかで、甘酸のバランス良い。アフターに僅かな苦み。濃縮した果実味とそこそこのオーク香、スパイスに熟成アロマが加わり心地よい印象。深みはないもののシャンボール・ミュジニーらしい柔らかく華やかな風味は魅力的です。アルロー同様、外れがない造り手だと思います。
(3.4)
ダニエル・エ・ジュリアン・バロー プイィ・フュイッセ スー・ラ・ロシュ 2013年
Daniel et Julien Barraud Pouilly-Fusse Sue La Roche 2013
今月2本目のダニエル・バロー。前記のプイィ・フュイッセとは、畑違い・ヴィンテージ違いになります。

プイィ・フュイッセAOCには、4つの村が含まれますが、2つの畑があるのが、最も北に位置するヴェルジッソン村です。ダニエル・バローのドメーヌは、この村にあるようです。ちなみにドメーヌのフラッグシップは、アン・ビュランの畑のワインで、この畑は、村の一番南、ソリュトレ・プイィ村との境にあります。2017年にこのワインのみラベルのデザインを変えたこともあり、価格も人気も別格になってしまいました。
評価的に2番手は、レ・クレイですが、このスー・ラ・ロッシュも殆ど同じくらいの評価です。畑の標高もレ・クレイとほぼ同じのようです。

クリームイエロ。黄リンゴ、アプリコット、ライム、蜂蜜、ミネラル、バニラ。熟成によるナッティなが出てきており、果実味の濃縮感に加えて、より複雑さが感じられます。飲みごろを迎えている2013年ですが、あと2~3年は、同じように楽しめると思います。
(3.4)
4種のチーズと合わせてみました。
左上:フルムダンベールBIO
ブルーのなかではマイルドなフルムダンベールですが、やはりワインが負けてしまいます。
右上:コンテ34ヶ月(フルミエ追熟)
流石にコンテのなかでも濃厚。ややチーズの強さが目立ちますが、ナッティなところは良くマッチします。
左下:ナバッポ(タレッジョの羊乳版)
タレッジョに比べ、少し塩味が弱く、替わりに羊乳の酸味と少し甘みが感じられます。このチーズが芳醇なこのワインとは、最も合います。
右下:ファンブリヤ オレンジリキュール(ブリーにマスカルポーネをサンド、グラン・マニエ風味)
別な記事でも書きましたが、いかにも白ワインに合いそうですが、オレンジリキュールの香りが、ワインの果実香との相性が良くもあり、逆に喧嘩することもあります。

セリェール・ピニョル ラッチ・デ・ライム [2016]
Celler Pinol Raig de Raim Tinto 2016
スペインのカタルーニャのテラ・アルタD.O.のワインで、サクラ・アワードの金賞を何度か受賞しているコスパワインのようです。ガルナッチャ・ティンタ 70%/カリニェナ 15%/シラー 15%のセパージュ。ラッチ・デ・ライムは「ブドウの稲妻」の意味のようです。


紫がかったガーネット(ガルナッチャの由来はガーネットです)。レッグがやや長い。果実香的にはブルーベリーやブラックチェリー。コーヒー、バニラ。ややオーク香強い。少しジャミーながら、酸はしっかりしている。甘酸タンニンのバランスとれている感じ。千円台前半で購入できるワインで、コストパフォーマンスはそこそこ高いと思います。
(3.0)
ファルネーゼ・エディツィオーネ チンクエ・アウトークトニ 2016年
Fantini(Farnese)Edizione Cinque Autoctoni 2016
イタリア・アブルッツォ州のファルネーゼの手によるスペシャルキュベです。モンテプルチアーノ(Montepulciano)、プリミティーヴォ( Primitivo)、サンジョヴェーゼ( Sangiovese)、 ネーグロアマーロ(Negro Amaro)、 マルヴァジーア・ネーラ(Malvasia Nera)という5つのイタリアの土着品種をブレンドしています。ルカマローニ紙で99点(最高得点)を獲得しています。

とてつもなく重い瓶です。
中心が黒っぽいバイオレットが混ざる濃いガーネットの外観。完熟の黒系ベリー、カシス(というより、クレーム・ド・カシス)、煮詰めたプラム。バニラ、コーヒー、チョコレート、肉。
濃縮感のある甘い果実と酸、タンニンが絡み合う感じ。オーク香も強いですが、強い果実味でマスキングされている感じ。
モンテプルチアーノ、プリミティーヴォからの甘み、サンジョベーゼからの酸、ネグロアマーノからのボディ、マルヴァジーア・ネーラからのアロマティックな香りが、良いとこどりでブレンドされた感じです。
(3.5)
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甘みがそこそこ強いので、料理は少し選ぶかもしれません。
▼ロースト・ポークと。完全にワインの強さが勝り、相性的にはいまいちです。

▼フルム・ダンベールですが、左がビオ、右が普通のものです。風味的には、正直区別つきません。気持ちビオの方がマイルドに感じます。ブルーチーズとしては、マイルドですが、塩味と濃厚さに甘みの強い濃厚なワインが良く合います。

▼カチョ・ディ・ボスコ
イタリア・トスカーナ州の羊乳チーズで、黒トリュフが入っています。ベースは、ペコリ―ノ・トスカーノのようです。ペコリーノ・ロマーノに比べマイルドな羊乳チーズなので、トリュフの香りがより引き立ちます。
価格は、1280円/100gとやや高めですが、トリュフ入りチーズとしては平均的です。
以前、アマローネやバルバレスコとやはりベッピ―ノ・オッチェリのトリュフ入りチーズと合わせましたが、
この手の濃厚な赤ワインと香りの強いトリュフチーズの相性も悪くはありません。

気軽にガブガブと飲むワインではなく、ゆっくり、時間をかけて、チーズや料理と味わうワインだと思います。
<了>
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