シャンボール・ミュジニーの名門ルーミエ家の一角、ドメーヌ・エルヴェ・ルーミエのフラッグシップ、ボンヌ・マールの2009年です。ルーミエ家のドメーヌの中で最も地味な存在ですが、クラシカルなブルゴーニュの造り手として知られています。
ドメーヌについて
ジョルジュ・ルーミエの次男でヴォギュエの支配人を長く務めたアラン・ルーミエの長男のエルヴェ・ルーミエによって1978年に設立されたドメーヌです。エルヴェは、2004年に55歳の若さで他界し、現在は妻のヴェロニック・ルーミエがドメーヌを運営しています。ちなみに、エルヴェ・ルーミエは、ジョルジュ・ルーミエの継承者のクリストフ・ルーミエとは、従兄弟関係、もう一つのルーミエ家の造り手のローラン・ルーミエは実弟になります。言うまでもなく、ジョルジュ・ルーミエの当主クリストフの手によるワインは、品質も価格もトップクラスですが、ローランとエルヴェのワインは、マイナーな分、比較的リーズナブルな価格で手に入ります(といっても絶対的には高いですが)。ちなみに、この時代のエルヴェ・ルーミエのワインの醸造は、ローラン・ルーミエが醸造を担当しているようです。
ドメーヌ・エルヴェ・ルーミエ ボンヌ・マール 2009年
[2009] Domaine Hervé Roumier Bonnes-Mares Grand Cru
ここのシャンボール・ミュジニー村名は飲んだことがありますが、ボンヌ・マールは初めてだったと思います。価格は正確には覚えていませんが、リリース時に購入しており、おそらく1万円台前半だったと思います。

紫蘇色がかった深みを感じるラズベリーレッド、縁にオレンジ色が僅かに入っているが、中心には未だ若い色調を残す。熟度を感じるラズベリーやアメリカンチェリーの赤系果実、スミレ、ヨードのミネラル香、バニラやロースト、オークからの黒胡椒のスパイス香、リコリス。味わいは、中程度の柔らかい酸に熟度の高い果実味としっかりとしたタンニンからの骨格を感じる。抜栓直後は少し粉っぽを感じたタンニンは、時間とともに滑らかになり、同時に甘みが出てくる。熟成のブーケは最初は果実の凝縮感に隠れていた印象だが、時間とともに下草や少し腐葉土香の形で感じられるように。土っぽさはそれほど感じられず、骨格を保ちながらも同時にエレガントさも感じる。綺麗に熟成したワイン。
(3.9)

▼鴨のコンフィーとひよこ豆トマトソースと合わせました。最もお気に入りの鴨料理です。

良年の2009年だけあって、最初は凝縮果実と力強さが主体ですが、時間と共にどんどん華やかさが増していきました。あと10年は愉しみそうですが、残念ながらこの1本しかありません。
実弟のローラン・ルーミエのワインはモダンなスタイル、このエルヴェ・ルーミエのワインはクラシックなスタイルなスタイルといわれているようです。実際に比較して飲んだ訳ではないのであまり実感は湧きませんが、近いヴィンテージのローラン・ルーミエもあるので、近々、試してみたいと思います。
<了>
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