オスピス・ド・ボーヌの創始者ニコラ・ロランの夫人である ギゴーヌ・ド・サランの名を冠したワイン、ボーヌ プルミエ・クリュ ギゴーヌ・ド・サランの1996年ヴィンテージです。エルヴァージュ(熟成)は、マルク・ルージョ・デュパンというドメーヌ兼ネゴシアンです。
ホスピス・ド・ボーヌ キュヴェ ギゴーヌ・ド・サランにいて
15世紀当時非常に貧しい状態にあったボーヌの街には病人や貧困者が溢れ、その事に心痛めたブルゴーニュ公国の財務長官、ニコラ・ロランとその妻ギゴーヌ・ド・サランが設立したのがオスピス・ド・ボーヌです。ギゴーヌ・ド・サランが自ら寄進した畑がこのキュヴェ名の由来です。レ・ブレッサンド1.2ha、レ・スレイ0.83ha、シャン・ピモン0.6haの合計2.65haの畑のようです。ボーヌの1級畑の中でもレ・ブレッサンドは銘醸畑として知られており、それだけで素性の良さは想像つきます。

マルク・ルージョ・デュパン オスピス・ド・ボーヌ ボーヌ 1erCru ギゴーヌ・ド・サラン 1996年
[1996] Hospices de Beaune Beaune 1er Cru Cuvée Guigone de Salins Marc Rougeot Dupin
ホスピスで開催されるオークションでこのワインを落札し、熟成・瓶詰を行ったのが、マルク・ルージョ・デュパンというネゴシアンです。正直、名前を知りませんでしたが、ドメーヌも兼ねており、ムルソー、ヴォルネイ、ポマールなどに約19ヘクタールもの畑を所有する1975年設立の造り手のようです。ネゴスものかと思いますが、ロマネ・サンヴィヴァン、シャルム・シャンベルタンやヴォーヌ・ロマネ・マルコンソールといった錚々たるワインも生産していたようです。


縁にレンガ色の入った艶のあるやや淡いラズベリーレッド。レッグは中庸。
抜栓直後は、果実香よりも、マッシュルームやタバコ、ロースト香、バニラ、リコリス、シナモン等のスパイスのセイヴォリーのニュアンスが優先だが、少し時間が経つとベリー系や、乾燥させたクランベリーやイチジク等の発展した果実香が顔を出し、そこにスーボアや紅茶の熟成香も加わり複雑な香りに。味わいのアタックに甘みを伴う綺麗な酸。ボーヌらしい柔らかな果実味、タンニンは完全に液体に溶け込んでおり滑らか。24年もの年月を経ているが、劣化の兆候は見られず、少なくとも、あと数年はこの状態を楽しめそう。
(3.6)

合わせたのは鳥料理ずくしです。
合鴨のパストラミ、焼き鳥、鶏肉のトマト煮です。いずれもブルゴーニュ古酒との相性は良好です。

久々に綺麗に熟成した古酒を味わえました。
ホスピス・ド・ボーヌは、全て新樽に詰めた状態で落札されます。落札したネゴシアンによっては、別な樽に移し替えることもあるようでが、おそらくこのネゴシアンはそのような手の込んだことは行っていないと思います。コルトンやマジ・シャンベルタンのようなグランクリュならともかく、ボーヌのプルミエ・クリュに新樽100%というのは、ちょっと合わないような気がします。そのせいか、最初は、果実香や果実味より、樽からのロースト香や、フェノリックな香りが支配的というのが最初の印象でした。ただ時間が経つと、果実味が顕れ、樽からのスパイスやキノコ系の複雑な香りと混じり、さらに熟成のブーケが加わるという、少し時間はかかりますが、結果的には、古酒の醍醐味を味わえるワインでした。家でじっくりと時間を掛けて、その変化を愉しむには最適なワインでもありました。
さまざまなネゴシアンにより熟成されたホスピス・ド・ボーヌですが、これまで飲んだ中では、ハズレはありません。中での高くなっちゃいましたが、マジ・シャンベルタン(キュベ・マドレーヌ・コリニョン)、最高です。
<了>
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