ラトリシエール・シャンベルタン~ルイ・レミー&シモン・ビーズの飲み頃VT

目次

ドメーヌについて

ルイ・レミーは、1821年創設の歴史のあるドメーヌで、現当主は、6代目のシャンタル・レミー女史です。もともとレミー家は、ブルゴーニュの大地主でモレ・サンドニとジュヴレ・シャンベルタンに二つのドメーヌを構えて、ルイ・レミーと弟のフィリップ・レミーが管理していましたが、ジュヴレ・シャンベルタンの畑は、1989年にルロワに売却されジュヴレ・シャンベルタンのドメーヌは閉鎖されています。モレ・サン・ドニのドメーヌも相続問題から畑の大部分が売却され、現在は、1.27haのみを所有していますが、その大部分が、シャンベルタン、クロ・ド・ロッシュと今回のラトリシエールという錚々たるグランクリュ畑になります。
私がワインに興味持ち始めた1990年台には、まだ結構な数のワインが出回っていたと記憶していましたが、正直、あまり印象には残らず、個人的には、何となく、カミュ―と同じ位置づけにある造り手のイメージでした。
ちなみに3年前に2012年のシャンタル・レミーのラトリシエール・シャンベルタンを飲んでいます。印象としては、グランクリュにしては、やや厚みに欠ける印象で、高い酸がバランスを少し崩している印象でした。
ルイ・レミーは、もともと飲み頃のワインをリリースするというのがドメーヌの方針であったこともあり、今回の1999年も最近入手したワインになります。

テースティングメモ

中程度の濃さのルビー色。深みのある色調で、エッジにかけて僅かに熟成の色合いが見られますが、全体的に枯れた感じはほぼ無く、25年経ったピノノワールとは思えないような外観はちょっと驚きです。
レッドプラム、ブラックチェリー、ドライローズ、セージ、リコリス、ドライフィグ、プラム、ミルクティーに古酒らしいマッシュルーム、タバコ、林床に腐葉土の香りが加わります。1990年台の古酒で、しばらく当たりが無かったので、ちょっと感動ものです。
アタックに中程度の酸、熟度の高い赤黒系果実味にドライハーブ、甘苦スパイス、タンニンはきめ細かく滑らか。アルコール中程度のミディアムボディ。アーシーで、少し鉄っぽいテーストも。長い余韻。味わい的にも枯れた印象もなく、2日目には、更に旨味も増し、美味しい。

(4.2)

2012年ヴィンテージの印象もあり、正直あまり期待はしていなかったのですが、今回のボトルは、状態の良さもあり、良い意味で期待を裏切られたワインでした。

シャンタル・レミーの最近のヴィンテージは飲んでいませんが、最近の品質は向上しているとのことで、再度トライしたい気になりましたが、同時にルイ・レミー時代のオールドヴィンテージにも断然興味が湧きました。

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次に、シモン・ビーズのラトリシエール・シャンベルタンです。

サヴィニー・レ・ボーヌに拠を置くドメーヌで、畑もサヴィニー・レ・ボーヌを中心にコート・ド・ボーヌの畑が殆どですが、唯一生産しているコート・ド・ニュイのワインがこのラトリシエール・シャンベルタンです。前述のとおりこの畑は、ドメーヌの所有畑ではなく、フェルマージュと呼ばれる賃借耕作によるものです。

シモン・ビーズは、個人的に大好きな造り手で、(最近は、御多分に漏れず、価格高騰の影響もあり、頻度は減っていますが、)2000年代からサヴィニー・レ・ボーヌのプルミエ・クリュを中心にかなりの本数を飲んでいます。
ただ、ラトリシエール・シャンベルタンは今回が初めてになります。

テースティングメモ

中程度の濃さのルビー色。ルイ・レミーとは、10年の熟成期間の違いがありますが、濃さは、殆ど同じです。ただし、流石にエッジの色合いからは少し若いと感じられます。
抜栓直後の香りはやや控えめで、香りが全開になるまでには小一時間かかりました。
ラズベリー、レッドプラムの赤系果実にブルーベリーやダーク(ブラック)チェリーの青黒系の果実の香りが混ざります。ドライローズ、セージ、リコリス、ミントの冷涼感にシナモン、オーク香はそれほど主張せず、僅かなクローブ、ナツメグやココナッツ、それに熟成からの紅茶、林床、スーボア、土の香り。
アタックに柔らかな酸、中盤に旨味をともなう果実味が口中に広がり、きめ細かいタンニンとともに心地よい余韻を感じさせてくれます。流石にサヴィニー・レ・ボーヌに比べるとストラクチャーを感じますが、やはり、このドメーヌならではの柔らかさが持ち味と感じます。
こちらも2日かけて飲みましたが、2日目は、華やかな香りも強まり、味わいにもより奥行きが感じられます。飲み頃ではありますが、熟成のポテンシャルは高そうで、ピークは5年後以降にあるのではないかと感じました。

(4.1)

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ローストポークのシャンピリオンソースといただきました。肉の旨味とタマネギの甘さとの相性が抜群でした。

ルイ・レミーとシモン・ビーズ、隣接する畑ですが、10年近い熟成期間がありますので、比較自体は無意味ですが、やはり、畑の特徴か、どちらも力強い骨格感よりも女性的な柔らかさや繊細さを感じるグランクリュだと思います。特に25年熟成のルイ・レミーは、まさに、前述のジャスパー・モリスの「年月とともに土、トリュフ、腐植の香りが出てくる」という評価があてはまるワインでした。シモン・ビーズに関しても素晴らしいですが、妖艶さを感じる熟成感という点では、開けるのが未だ少し早かったような気がします。唯一セラーある2016年ヴィンテージの飲み頃は悩みます。

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この記事を書いた人

1958年東京生まれです。
昨年、仕事をリタイアして大好きなブルゴーニュワインとグルメや旅行を楽しんでいます。
主な資格(Foods&Drinks):
JSA ワインエキスパートエクセレンス
JSA SAKE Dioploma
WSET Level3
CPA チーズプロフェッショナル
唎酒師

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