2022年の「Les Meilleurs Vins de France」誌で3つ星を獲得したアルザスのライジング・スター、バルメス・ブシェールです。WAで96点という高評価を獲得したクレマンとピノ・グリとシルヴァーナの混植混醸のフィリグラーヌ、リースリングのクロ・サンドを味わいました。
ドメーヌ・バルメス・ブシェールについて
ドメーヌ・バルメス・ブシェールは、アルザスの200年以上続く2つのドメーヌ、ドメーヌ・バルメスのフランソワ・バルメスとドメーヌ・ブシェールのジュヌヴィエーヴ・ブシェールが結婚し1985年に誕生したドメーヌです。
両家は17世紀からヴェットルスハイムにブドウ畑を所有しており、両親の代には大部分のブドウは原料売りしていましたが、代替りした事を機に、全てのブドウを自家醸造・瓶詰めにし、テロワールを意識した醸造を行った結果、品質が飛躍的に向上しました。1995年からはビオディナミ農法に取り組み、1998年には16haの所有畑で正式にバイオダイナミック農法への転換を開始し、ビオディナミ認証(DemeterでなくBiodyvin)を取得しています。
2011年フランソワが急逝しましたが、ブルゴーニュで醸造学を学んだ息子のマキシムが指揮をとり、母ジュヌヴィエーヴと、姉ソフィーのサポートのもとドメーヌの名声を飛躍的に高め、2022年には、アルザスから唯一、「Les Meilleurs Vins de France」誌の3つ星を獲得しています。
ちなみに、2022年時点でのアルザスの3つ星生産者は10人。最新版では、4つ星が新設され、マルセル・ダイス、ヴァインバック、ツイント・フンブレヒト、アルベルト・ボクスレーが昇格しましたが、バルメス・ブシェールはアルベール・マンやトリンバックらと共に、引き続き3つ星を維持しています。
ドメーヌは、家族の伝統と先人たちが成し遂げてきた業績を尊重しつつ、「テロワール、ヴィンテージ、そしてブドウ品種の持つバランス、調和、そして最も純粋な自然な表現を生み出す」という目標を持ち、自然への敬意という価値観を掲げています。
今回、入手したのは、クレマン・ダルザス ブリュット・ナチュール、フィリグラーヌ、リースリング・クロサンドの3種類です。いずれも松澤屋さんから購入しています。各3,960円、4,950円、5,940円(いずれも予約価格)です。

クレマン・ダルザス ブリュット・ナチュール 2021年/ Cremant d’Alsace Brut Nature 2021
一次・二次発酵とも補糖を行わず、ドサージュもゼロ、天然の糖分だけで仕上げたクレマンです。
ピノ・グリ 62%、ピノ・オーセロワ 25%、シャルドネ 12%、ピノ・ブラン 1%という個性的なブレンド。
手摘みのブドウを長時間(9~15時間)かけて圧搾後、天然酵母で発酵、澱と長期間(5~18ヶ月、時に24ヶ月)接触、補糖・清澄剤不使用。SO₂添加は最小限。Alc12.5%。デゴルジュマンは、2024年1月26日。
7角形という変わった形のラベルは、7つのテロワールとビオディナミの7要素を象徴しているようです。
ちなみにこのクレマン、Wine Advocate 96点を獲得しています。クレマン・ダルダスとしては、極めて高い評価だと思います。

レモンイエローの外観。持続性のあるきめ細かい泡。抜栓直後は、冷蔵庫で冷やし過ぎたせいか、香りはやや控えめ。シトラス、グレープフルーツの柑橘果実に青リンゴ、白い花、フレッシュハーブ。ブリオッシュ香はやや弱め。味わいは、塩味を伴う生き生きとしたリニアな酸。甘みをほとんど感じない極めてドライなテースト。
このクレマン、2日に渡って飲みましたが、2日目の印象はかなり異なります。香りには、洋梨や白桃が加わり、オートリシスによるブリオッシュ香も明確に感じられます。味わいは、初日に感じた硬さがほぐれ、ピノ・グリ由来と思われる膨らみのある果実味や旨味が感じられ、複雑さもグッと増し、酸、ミネラルとレモンピールのやや長めの余韻に続きます。
(3.7)
あまり冷やし過ぎず、ゆっくり時間をかけて食中食として楽しむのがお薦めです👍
生ハムとムール貝と味わいました。塩味が同調し、相性は抜群です。

フィリグラーヌ 2022年 / Filigrane 2022
ローゼンベルグという畑で混植されたピノ・ブランとシルヴァーナの混醸(フィールドブレンド)のワインです。
比率は不明ですが、ピノ・ブラン主体と思われます。
フィリグラーヌ(Filigrane)は「繊細な細工」という意味のようで、HPによると、「互いに優雅に調和し、尊重し合い、それぞれにふさわしい対話を繰り広げる」という意味合いをあらわしているようです。

やや濃い目のレモンイエローの外観。甘みのある柑橘、洋梨や白桃、熟したリンゴ、レモンバーム、アカシアの白い花やオレンジブロッサム、ほんのりシャスミンのフローラルな香り。味わいのアタックは、いきいきとした、ただし硬さはなく、柔らかな酸。塾度の高い緑色系果実やストーンフルーツの丸みのあるなめらかな果実味が広がります。塩味とオレンジピールの僅かに苦みを伴うやや長めの余韻。
(3.5)
派手さこそありませんが、酸と果実味のバランズが取れており、幅広い食事に寄り添えるワインだと思います。
スモークした淡路どりのたたきとの相性も良好でした。

クロ・サンド リースリング 2023年 / Clos SAND Riesling 2023
ドメーヌ所有の石垣(クロ)に囲われた急斜面の単一畑です。標高350~400mなので、アルザスにしては比較的高い標高にある畑のようです。名前から察すると砂質土壌と思われますが、花崗岩土壌という情報もあります。

フィリグラーヌに比べやや淡いレモンイエローの外観。レモン、ライム、グレープフルーツの柑橘果実、青リンゴ、白い花、火打石に、ごく僅かなペトロ香。味わいのアタックは、シャープで引き締まった酸。ミネラルの骨格と爽やかな柑橘の果実味が広がり、酸とレモンピールの苦みのやや長い余韻に続きます。
(3.3)
極めてドライで高い酸による爽快感を感じるリースリングですが、果実の厚みも感じられ、不思議と酌が進みます。
バルメス・ブシェール、良い意味で個性的なワインの造り手だと思います。特に、クレマン・ダルザスとフィリグラーヌは、ブレンドの妙を感じさせてくれるとても印象的なワインでした。
是非今後、グランクリュのリースリングや評価の高いヘングストのピノ・ノワールも試してみたいと思います。

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