以前から興味のあったオーストラリアのナチュラルワインの草分け的な生産者、ルーシーマルゴーの2021年ヴィンテージのピノノワール2本です。昨年アデレードヒルズを訪れた際に探しましたが、見つからず、結局、帰国後に日本で購入しました。ビオワインの特徴は別として、香り味わいが、この造り手の本来のものなのか?ちょっと判断が難しいワインでした。
ルーシーマルゴーは、オーストラリアの元シェフであるアントンファンクロッパーが 娘の名前を冠して設立したワイナリーで、世界的にオーストラリアの自然派ワインを知らしめた存在です。このワイナリーをはじめとしてオーストラリアを代表するナチュラルワインの生産地として名が知られるようになったバスケット・レンジは、南オーストラリアの州都アデレードから車で30分ほどのマウント・ロフティとよばれる高地にあります。昨年の11月にアデレードヒルズを訪れましたが、有名なバロッサ・バレーがアデレードから1時間半ほどの距離であるのに対して、バスケット・レンジのある産地、アデレードヒルズは、比較的気軽に訪れるワイン生産地でもあります。比較的、商業的でセラードアを備えた瀟洒なワイナリーが点在する地(→こちら)にあって、バスケットレンジ地区は、ほとんど観光地化されていないようです。ルーシーマルゴーのワインを飲めるレストランも見つけましたが、残念ながら定休日で当地で味わうことはできませんでした。
ということで、帰国後に見つけたルーシーマルゴーのピノノワールを2本(いずれもセットもので計6本のナチュラルワイン)を購入しました。
独特なイラストの描かれたエチケットは、個性的で、和紙のような材質のため、ちょっとカビには弱いようです。
ノワール・ド・フルーレット 2021
アルコール度数12.5度/7.4 Std Drinks。※Std Drinksは、オーストラリアのワインで使用されているアルコール摂取量(1 Std Drinks = Alcohol 10g)の目安です。

ピカデリー・ピノノワール 2021
アルコール度数10.5度/6.2 Std Drinks。

↓ノワール・ド・フルーレット

↓ローストポークのハーブマリネ焼きと

↓ピカデリー・ピノノワール

↓淡路どり炭火たたきと

外観は共通して、やや濁りのある、紫蘇や小豆のような色合い。
味わいも紫蘇梅的で、アタックにフレッシュでピュアな強い酸が感じられます。俗っぽい表現ですが、まさに甘酸っぱいという味わいです。加えて、ピカデリー・ピノノワールは、やや微発泡的な刺激があります。
ここまでは、チャーミングな典型的なナチュナルワインなのですが、時間が経つと、中盤から余韻にかけてちょっと異質な酸が広がります。酢酸やビネガーを感じる酸、明らかに果実からの酸ではなく、いわゆる揮発酸(VA)です。
揮発酸自体は、必ずしもオフフレーバ(欠陥臭)とは言えず、低濃度であればワインに複雑性を与え、それがナチュラルワインとして人気につながっていることもあります。ただこのワイン(というよりこの個体?)については、かなり強く、個人的には、オフフレーバーと感じました。
ちなみに、上記のラベルには、NO ADDED SO2!とありますが、日本への輸出向けには少量(35ppm)のSO₂を添加しているようです(インポータのラベルには、亜硫酸塩添加と書かれています)
ルーシーマルゴーは、現地では飲むことも購入もできませんでしたが、現地のショップでピノノワールのナチュラルワイン(ミニマムSO₂)を購入し、ハンドキャリーしたものを日本で味わいましたが、果実の瑞々しさとナチュラルな酸を感じるものでした。
ちなみに、同じインポータのヤウマのラルフ・シラーズも若干違和感のある揮発酸を感じました。
今回日本で購入した2本が本来のルーシーマルゴーのピノとは思いたくはありませんが、やはりちょっと難しさを感じました。単体では、7K近いワインのようなので、リピートするか微妙ですが、あくまで、今回は個体差ととらえ、評価の高いワインだけに機会があればリベンジしたい気持ちはあります。
<了>
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