ドメーヌ・フーリエのヴージョ・プルミエ・クリュ・レ・プティ・ヴージョです。そろそろ飲み頃に入ったと思われる2011年ヴィンテージの1級畑ワインです。ドメーヌ・フーリエの中では、購入の優先度は少し落ちがちですが、フーリエらしさが感じられる良いワインであることは間違いありません。
ドメーヌについて
フーリエはジュヴレ・シャンベルタン村に本拠地を構えるドメーヌです。
当主ジャン・マリー・フーリエはブルゴーニュ大学で醸造学を専攻し、その後はアンリ・ジャイエの元で栽培、醸造を学び、1994年に23才の若さで父ジャン・クロードからドメーヌを引継いでいます。2006年に醸造設備を刷新し、その後の評価はうなぎのぼりです。日本では、2007年ヴィンテージが、リアルワインガイド誌が高い評価を与えたこともあり、ブレークした感があります。

レ・プティ・ヴージョの畑について
このプティ・ヴージョ、フーリエのドメーヌもののジュヴレ・シャンベルタンやシャンボール・ミュジニーのプルミエ・クリュのラインアップの中でもやや地味な存在のような気がします。ヴージョ村のブドウ畑は、その70%以上がグランクリュのクロ・ヴージョなので、この村のプルミエ・クリュやヴィラージュ畑(更に極狭)の知名度が低いのも一因かもしれません。
▼レ・プティ・ヴージョは、地理的には、シャンボール・ミュジニーの超人気畑、レ・ザムルーズに隣接しています。この地図上には、表現されていませんが、ミュジニーに道路を隔てて接するプティ・ヴージョの上部(西部)には、実際には「クロ・ド・ラ・ペリエール」というドメーヌ・ベターニャが所有する小さなモノポールの1級畑が存在しています。

▼レ・ザムルーズから見た、ヴージョ村の畑です。右奥に僅かに見える石垣に囲まれた畑がクロ・ヴージョです。レ・ザムルーズの上部と地図上で隣接するレ・プティ・ヴージョですが、実際には、2つの畑にはこのような標高差があります。

▼クロ・ヴージョの畑の中にあるシャトーです。手前右側(上部)の方に小さな1級畑クロ・ド・ラ・ペリエールがあります。

土壌は泥灰質の薄い表土で、石灰岩が主体です。
いずれにせよクロ・ヴージョ・グランクリュの上部、レ・ザムルーズ、ミュジニーに隣接している素晴らしいロケージョンにもかかわらず、人気がイマイチなのは不思議です。
ドメーヌ・フーリエ・ヴージョ・1er・レ・プティ・ヴージョ V.V. 2011年
[2011] Domaine Fourrier Vougeot 1erCru Les Pettits Vougeot
フーリエが所有する畑は、面積0.34 ha、樹齢56年。新樽率は15%です。

艶のある中程度のラズベリーレッド。レッグも中庸。よく開いており、抜栓後すぐに、甘い果実のアロマ。ラズベリー、ブルーベリー、アメリカンチェリーの赤黒系果実が漂います。ドライハーブ、甘草、シナモン等のスパイスにスーボアの香りが混ざる。樽香は弱め。味わいは、色調の割にはそこそこの骨格感があり、豊かな果実味を感じるアタックであるが、少し酸が優勢なのが気になる。飲み終わる最後の方には、紅茶、腐葉土の熟成のブーケも。複雑な香りとそこそこの力強さは素晴らしいが、味わいは酸度が僅かにバランスを崩している印象。もう少し時間を置くと落ち着くかもしれません。
(3.5)

フーリエの2011年は、フーリエを最後に買い漁った(買い漁れた)最後のヴィンテージです。既に高騰していましたが、クロ・サン・ジャック含めて、平行ものですが、そこそこの値段で買えました。プルミエ・クリュも何本か飲みましたが、そろそろ飲み頃に入っているようです。今回のワインもやや酸は気になったものの、基本的にはフーリエらしい豊かな果実味を感じる美味しい1本です。2006年ヴィンテージ以降、大きく外さないのがこのドメーヌのワインの特徴(良さ)で、安心して開けられます。
<了>
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