ギュファン・エナンのマコン=ピエールクロとティエリー・ヴィオロ・ギュイユマールのブル赤

ブルゴーニュ白ワインの天才と称されているギュファン・エナンのマコン・ピエールクロ ジュリエッテ・エ・ レ・ヴィエイユ 2016年です。ティエリー・ヴィオロ・ギィマールのブルゴーニュ赤と一緒に、(お国違いですが、)イタリアのモンターズィオを使った郷土料理「フリコ」と味わいました。 

マコンについて 

ブルゴーニュの南部、コート・シャロネーゼとボジョレーの間に位置するマコネ(Mâconnais)は、丘陵と巨岩に囲まれた地域です。特にマコネのほぼ中央に位置するヴィレとクレッセ村は、品質の高い知らワインを生みだすコミューンとして知られ、1999年のAOCヴィレ・クレッセを獲得しています。一方で、その南のマコンは、どちらかと言うと安いブルゴーニュワインのイメージがあります。マコンには、MaconとMacon-Village、そして地理的名称付きのMaconの3種類のAOC(原産地統制呼称)が存在します。最後のマコンの地理的名称を名乗れるコミューンは全部で26あり、そのなかのひとつが、今回のピエールクロ(Pierreclos)です。

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Les Vins de Bourgogne – The Wines of Burgundy – Sylvain Pitiot & Jean-Chales Servant

ちなみに Macon AOCは、赤が4分の3を占め、Macon-Village AOC は、白100%、Macon+地理的名称AOCは、白が9割近くを占めます。

安ワインのイメージがあったマコンの白ワインの品質を一気に高めたのが、ブルゴーニュの白ワインの天才と呼ばれるギュファン・エナンです。
ドメーヌ・ギュファン・エナンを立ち上げたジャン・マリー ギュファン氏は、1970年代にブルゴーニュに移住したベルギー人で、彼の名声を一気に高めたのが、1980年に立ち上げたネゴシアンのメゾン・ヴェルジェ(Verget)です。ヴェルジェの白ワインは、かなりの数を飲んでいますが、ブルゴーニュ白としては、抜群のコストパフォーマンスを誇るワインだと思います。

ギュファン・エナン マコン=ピエールクロ ジュリエッテ・エ・ レ・ヴィエイユ 2016年
Domaine Guffens Heynen Mâcon-Pierreclos Juliette et les Vieilles de Chavigne 2016

2003年に植樹された「ジュリエッテ」と呼ばれる木と、それでは少し若いというので「ヴィエイユ(=古木)」を組み合わせたピエールクロのトップキュヴェです。2016年が初ヴィンテージで、ワインアドヴォケイト誌でいきなり96点を獲得しています。その後見かけることはありませんでしたが、2018年にリリースされているようです。

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やや濃い目のレモンイエロ―。リンゴやアプリコット、パイナップル、ミラベルの黄色い有核果実にレモン、グレープフルーツの柑橘系の香りが混じる。やや強めのミネラル香。アカシアの花、レモンバーム等のフレッシュハーブの香り。ハチミツやバニラ香り。酸は結構しっかりしているが、南ブルゴーニュのシャルドネらしい熟度の高い果実からの甘さも。少し苦みを伴う余韻は長い。ミネラルの骨格に厚い果実味と酸と甘み。バランスの取れたシャルドネです。

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モンタズィオを使用したフリコ

▼イタリアのフリウリ地方の郷土料理「フリコ」とあわせました。フリコは、炒めた玉葱とジャガイモとチーズをカリカリに焼いたシンプルなチーズ料理です(玉葱ぎを使わないものや、ジャガイモを使用しないものもあるようです)。ジャガイモを使用したフリコは、いわば、ポテト&チーズのイタリア風おやきといったところです。

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フリコ作ったのは、イタリアのモンターズィオが手に入ったためです。モンターズィオは、フリウリ・ヴェネツィア ジューリア州を中心につくられているセミ・ハードタイプのチーズで、今回のモンターズィオは、スタジオナートと呼ばれる1年程熟成させたものです。そのまま食べても濃厚な旨味を感じるチーズです。

本来であれば、北イタリアのシャルドネと合わせたかったところですが、いつもあったヴィエ・ディ・ロマンスのストックがなくなっていました。

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▼海老のガーリック炒めです。

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▼チーズは、(左上)サント・モール・ド・トゥレーヌ、(右上)ナバッポ、(左上)フォンティーナ ヴァッレ ダオスタ、(右上)イディアサバル

厚い果実味とミネラルは、いずれのチーズとも良好な相性です。

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最後に、ティエリー・ヴィオロ・ギュイユマールの赤です。

ティエリー・ヴィオロ・ギュイユマール ブルゴーニュ・コート・ドール レ・メゾン=デュ 2017年
Domaine Thierry Violot Guillemard Bourgogne Les Masion-Dieu 2017

ティエリー・ヴィオロ・ギュイユマール のこの銘柄は、初めて飲みます。ACポマール村との境界に位置し、AOC制定前は、ポマール村名ワインとして販売されていたようです。17世紀に取り壊されるまで巡礼に向かう人達向けの施療院があったのが畑名の由来とのこと。

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少し紫がかったラズベリーレッド。クランベリー、ラズベリー、チェリーの赤系果実香とミネラル。薔薇、ドライハーブ、タンニンは柔らかく、甘みを感じる。典型的な外交的な2017年のブルゴーニュワインという印象。若いワインだが、開栓後しばらくすると、下草っぽい香りも出てきて複雑性も。基本的にはチャーミングな香りと柔らかな果実味のテーストのワイン。

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個人的には、甘みが少し強いような気がしますが、華やかな香りやこの柔らかさは、万人受けするタイプだと思います。おそらく、2018年も2019年もこの様な性格のワインになるのではないかと思います。

▼ボーフォール エテ プランピチュ。「エテ (été)」は、6月~10月の間につくられたもので、結構濃厚で塩味も強いチーズです。ねっとりとした食感と凝縮した旨味、ナッティで果実の風味もあります。
軽いワインだとワインの方が負けてしまいそうなチーズです。

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複雑さが出て真価を発揮するまで時間のかかるコート・ド・ボーヌの白ワインに比べると、南ブルゴーニュのプイィ・フュイッセやマコネのワインは、若いうちから外向的で、辛口ながら濃密な果実味をそこそこの価格で楽しめることから、結構嵌っています。今回のギュファン・エナンは、その中にあって、例外的に高価ですが、飲んでみるとやはり、それなりの理由があると思います。人気と生産量の関係か、なかなか手に入れにくいのが難点ですが、マコンのワインのイメージが変わるワインだと思います。

<了>

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この記事を書いた人

1958年東京生まれです。
昨年、仕事をリタイアして大好きなブルゴーニュワインとグルメや旅行を楽しんでいます。
主な資格(Foods&Drinks):
JSA ワインエキスパートエクセレンス
JSA SAKE Dioploma
WSET Level3
CPA チーズプロフェッショナル
唎酒師

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