珠玉の特級畑を多数所有する名門ドメーヌ、ドルーアン・ラローズのボンヌ・マール2009年です。ここ数年の評価はうなぎ上りですが、それ以前のヴィンテージになりますが、綺麗に熟成した、素晴らしいボンヌ・マールでした。
ドメーヌについて
ドルーアン・ラローズは、1850年設立のジュヴレ・シャンベルタンに本拠を置く歴史のあるドメーヌです。現在の当主は5代目のフィリップ・ドルーアン氏で、 テロワールの個性を生かし、ブドウの持っているポテンシャルを最大限に引き出すワイン造りに取り組んでいる造り手です。
所有する15haの畑の半分が、グランクリュで、ボンヌ・マール、クロ・ド・ヴージョ、シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ、ラトリシエール・シャンベルタン、シャペル・シャンベルタン、そして1996年に手に入れたミュジニーという錚々たる特級畑を所有しており、「ミスター・グランクリュ」の異名をもちます。
ここ数年の評価は上がっているようです、今回のワインを購入した2012年当時のメディアの評価はそれほど高くなく、人気もいまいちだった為、ちょうど1万円と比較的安く購入することができました。どんな造り手であれ、こんな価格のボンヌ・マールは今や存在しません。
▼ボンヌ・マールの畑(2019年)。おそらくややモレ・サンドニに近い、シャンボール・ミュジニー側のグロフィエの畑付近だと思います。
▼コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエの区画。トータルで2.7haとボンヌ・マール最大の所有者になります。

ドルーアン・ラローズの区画は、ジャンボール・ミュジニーの中心から北東に延びるボンヌ・マールの畑のほぼ真ん中にある複数区画です。15.06haのうち1.49haを所有しています。ボンヌ・マールの畑は、上部が石灰質の多い土壌(テールブランシュ)、下部が粘土質の多い土壌(テール・ルージュ)になります。ドルーアン・ラローズ上部・下部両方にまたがっているので、ワインに複雑性を持たせるには、ある意味、理想的な所有形態かと思います。

ドメーヌ・ドルーアン・ラローズ ボンヌマール・グラン・クリュ 2009年
2009 Domaine Druhin Laroze Grand Cru Bonnes Mares
濃いめの深みのあるガーネット、ダークチェリーレッドの色合いにも近い。ラズベリー、ブルーベリー、ダークチェリー、カシスのしっとりとした赤系黒系果実の香り、バラや牡丹の花、セージやローズマリーのドライハーブ、シナモン、リコリスのスパイス香。オークからのバニラ、トースト、カカオはやや控えめ。腐葉土、妖艶な獣香の熟成香が時間と共に湧き上がってくる。豊かだが過剰すぎない酸、中盤に広がる濃縮感があり甘露さも感じさせる果実味、タンニンは豊かだがきめ細かくシルキー。

バランスのとれた酸とタンニン。力強い骨格感を持つボンヌマールかと聞かれると、ちょっと違うようなイメージですが、(わかりにくい表現ですが、)しなやかで繊細な女性的なシャンボール・ミュジニーらしさに骨格感を加えたようなイメージです。いずれにせよ、エレガントなグラン・クリュでした。
(4.0)
グラン・クリュの良心的な価格の割にメディアの評価はいまいちだったこともあり、あまり積極的にはセレクトしませんでしたが、良年のヴィンテージを反映した果実の濃縮感に加え、樽に頼らず、畑のテロワールの特徴を最大限に反映した自然な造りに徹したワインであることを感じます。
若いヴィンテージは、あまり飲んだ記憶はありませんが、少し前に飲んだ1995年の「シャンベルタン・クローズ・ド・ベーゼ」を含め、熟成により真価を発揮するワインだと思います。
<了>
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