ルイ・ジャドのグリオット・ジャンベルタン2006年です。ジュヴレ・シャンベルタンのグランクリュの中では、比較的早くから飲め、野生のサクランボを意味するグリオットの名前が示すとおり、チェリーのチャーミングな果実を連想させてくれるワインです。
グリオット・シャンベルタンについて
グリオット・シャンベルタンは、ジュヴレ・シャンベルタンの中でも2.69haほどの小さな畑で、グラン・クリュ街道沿い、一連のグランクリュの畑のほぼ中心に位置しています。この地は、元々、大きな石切り場で、ここから石を切り出して民家を造っていたという記録があるようです。
グリオット(野生のサクランボ)を想像させるということからの語源説もあるようですが、実際には、小川を意味する”リュイソ―”の古語ルオット(RUOTTE)に由来するという説が有力のようです。

土壌は石灰岩を含む粘土質。下の写真(グランクリュ街道から国道974号側を撮影)でもわかるように傾斜はゆるやかです。

クロード・デュガ、ポンソ、ユベール・リニエ、フーリエなどが主な所有者ですが、年間1000ケース程の規模な為、希少性が高く、価格も高めです。クロード・デュガやフーリエの最新ビンテージは、軽く7万円を超えています。
今回の造り手は、大手のルイ・ジャドです。ボーヌに洒落た建物をもつ、ネゴシアン兼ドメーヌです。
ルイ・ジャドについて


昨年9月に訪れましたが、夕方だったので、残念ながら地下セラーの見学はできず、試飲のみでした。

ルイ・ジャド グリオット・シャンベルタン(Griotte Chambertin) 2006年
昨年、バックビンテージで20K円で購入したものです。

中心に少し黒が入った艶のあるラズベリーレッド。レッグは、やや長め。
抜栓後しばらくは閉じているのか、ラズベリー、アメリカンチェリーのチャーミングな香りを僅かに感じるものの、あまり華やかさを感じず、口に含んでも甘みも殆ど感じません。どちらかというと愛想がない状態でしたが、1時間ほど経つと、赤系果実の香りに加え、ドライハーブやローズの華やかな香りが開き出し、風味には少し甘露さが出てきます。リコリスやシナモンのベーキングスパイスが香りのアクセントになっており、味わいは豊かな酸に熟度を感じる果実味。タンニンは丸く溶け込んでいます。さらに時間をかけると、腐葉土や下草の香りも加わり、果実香を中心とした香りはさらに華やか、そして複雑になっていきます。
(3.7)
グリオット・シャンベルタンは、昨年の5月にジョセフ・ロティの2008年を飲んでいます。

https://www.wine-and-cheese.net//2019-05-30-002751/
ロティの方は、デキャンタの効果もあり、最初から開いていました。色調も明るめです。ただ、ルイ・ジャドも、最後は、同じような華やかな味わいになりました。

若干、グリオット(野生のサクランボ)という名の先入観があるのかも知れませんが、ロティも今回のルイ・ジャドも、最良のヴィンテージでないですが、そこそこの力強さと華やかな果実味を兼ね備えたワインでした。
グリオット・シャンベルタンは、数多く飲んでいませんが、骨格のあるジュヴレ・シャンベルタンのグラン・クリュの中にあって、親しみやすさを感じます。
生産量が少なく、なかなか手頃な値段で入手するのが難しいワインではありますが….
<了>
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