ジュヴレ・シャンベルタンのお気に入り生産者ベルナール・デュガ・ピィの1級プティト・シャペルです。抽出の強さがデュガ・ピィの特徴ですが、濃いだけでなく、しなやかで、エレガントさも兼ね備えているデュガ・ピィのワインは、飲み頃を間違えなければ、常に満足を与えてくれます。
ドメーヌについて
ベルナール・デュガ・ピィ(Bernard Dugat Py)は、ジュブレ・シャンベルタンで17世紀からワイン造りを営んできた老舗デュガ家の出身で、カルト的な人気を誇るクロード・デュガ(Claud Dugat)とは従兄どおしになります。ちなみに「ピィ」というは、奥さんの旧姓のようです。
今年の9月にジュヴレ・シャンベルを訪れた際に、ラヴォー、クロ・サン・ジャックのh畑の近くで見つけだドメーヌです。

▼BERNARD DUGAT PYの上に、「L’AUMÔNERIE(オーモネリー)」と書いてあります。牧師とか司祭とかの意味のようですが、デュガ・ピィのホームページによると、ここは、9世紀からディジョンのサン・ベニニェ修道院に属していた小さな修道院だったようです。 現在残っている地下のセラーは11世紀と12世紀に建てられた地下室が使われているようです。丸い天井の美しいセラーのようですが、当然一般人の見学は受け付けていません。

生産量の少なさ故、以前から高い価格がネックでしたが、最近のブルゴーニュワインの価格高騰で、飛び抜けて高価とも感じなくなってしまいました(やっぱり高いことには変わりありませんが…)
強い抽出を特徴とし、色調の濃いワインは、ヴァン・ド・ガルド(長熟ワイン)と認識されていますが、濃厚といっても決して樽香が際立ったものではなく、果実味豊かで繊細さ・複雑さも兼ね備えたワインという印象を持っています。
ということで、結構好みの生産者でのひとつです。とはいえ、特級・1級共にそれほど多く飲んでいるわけではないので、語れるほどではないのですが、しばしば飲む村名(レ・エヴォセルやクール・ド・ロア)やブルAOC(キュヴェ・アリナール)でも充分その素晴らしさを理解できます。村名ワインは、1万円前半の良年のバックヴィンテージが見つかれば思わず手が出てしまいます。
評価の高い2001年のシャルム・シャンベルタンを数年前に飲みましたが、濃厚さはそれほど感じられず、抜栓後しばらくはあまり愛想は良くありませんでした。しかし時間と共に、エレガントさが滲み出てきたことを記憶しています。
プティット・シャペルの畑について
▼プティット・シャペル(小さな礼拝堂)の畑は、シャペル・シャンベルタンの東側、斜面下部に位置します。力強いシャペル・シャンベルタンに比べて、女性的な柔らかいワインを産出すると言われています。

▼デュガ・ピィのサイン入りボトルです。1年半ほど前に18K円ほどで購入しています。実は、このワインは、2年前にも購入して飲んでおり、その印象が良かったので、同じショップで再購入した経緯があります。
ベルナール・デュガ・ピィ・1er Cru・プティット・シャペル 2008年

以下、テースティングメモです。
結構濃いめのガーネットの外観。香りは、よく開いており、ラズベリー、ブルーベリー、ダークチェリー、ブラックベリーの赤系黒系が混ざる果実香。ローズ、フェンネルやわずかにローズマリーのようなハーブ香、甘草、ナツメグのスパイス、コーヒー、レザー、紅茶に腐葉土や獣香の妖艶な熟成香も時間経過と共に出てきます。味わいのアタックにはやや高めの酸を感じますが、このヴィンテージにありがちな過剰な酸ではありません。すぐに強めの抽出による熟度の高い果実味が広がり、シルキーなタンニンと絶妙なバランスです。素直に美味しいワイン。ボトル差かもしれませんが、1年半前に飲んだ同じワインに比べてもタンニンがこなれており、旨味も感じられます。

(4.0)
▼チーズは、スイスのヴュリー・ルージュです。
ピノ・ノワールで表面を洗ったチーズです。ねっとりした食感で割と濃厚なタイプ(実際は写真よりも黄色がかっています)ということでの相性の良さを感じました。

久しぶりのデュガ・ピィでしたが、ちょうど飲み頃ということもあり、やはり、オフヴィンテージでも期待を裏切らない美味しさでした。
<了>
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